インタビュー & 特集

INTERVIEW! 舞台『MACBETH』矢崎広さん×板垣恭一さん 対談 part3

初主演舞台『MACBETH』に挑む矢崎広さんと、演出の板垣恭一さん。Part3では、マクベス役に挑む矢崎さんの「野心」について語っていただきました。

(写真/笹井孝祐 取材・文/臼井祥子)

INTERVIEW & SPECIAL 2012 7/6 UPDATE

*「生き急いでる感じ」が面白いということですが、実際のところ、矢崎さんは生き急いでいるんですか?

矢崎 正直、マクベスの野心は、今の僕にリンクする部分がすごく多いなって、僕も思ったんですよ。若いマクベスと思われるかと思うんですけど。だから僕が生き急いでいるかと言われたら、確かに生き急いでいます。マクベスの生き急ごうとした結果の部分も含めて、今の俺っぽいっていえば、俺っぽいかなと。

*マクベスのように野心がある?

板垣 そりゃあるでしょ。

矢崎 役者はみんな、あるんじゃないですかね。

板垣 野心がないとダメですよ。今、サッカーをやっている子どもに、ワールドカップに出たいと思っていない子はいないと思うんですよ。それと同じで、役者さんはみんな野望を持っていていい。野望をまとっている生き物だから、お客さんはそこに感動するわけで。

真面目な話ですけど、優れた物語であれば、その登場人物は、日常の僕らが持っているものを持っているはずなんです。ましてや『マクベス』はシェイクスピアの代表作ですよ。だから男であればみんなマクベスのはずなんです。女であればみんなマクベス夫人のはずなんです。だからこそ優れた戯曲なので。

矢崎 初主演なんて、まさにマクベスだなと思ってます。

*でも、マクベスと同じ道をたどると最後は…。

板垣 殺されちゃうね(笑)。

矢崎 その前にたくさん殺してますからね。でも俺、どんな時でもそうなんですけど、基本的に燃え尽きたい人なんで。だからあんまり考えてないです。最後に僕が倒されても、そうなったらそうなっただなって。それくらいの気持ちがあります。常に。

*最後殺されてしまっても悔いがないくらいの気持ちで取り組んでいる?

矢崎 そういうふうにしたいですね。本当はちょっとビビってはいるんですけど、初主演なので、もうそれくらいの気持ちで。俺はもう「矢崎広、マクベスとして死亡」くらいでもいいです。悔いというか、忘れ物は絶対しないようにしたい。

*そのための演技プランは、今の時点で何かありますか?

矢崎 まだ板垣さんと話してないので、僕の勝手な考えですよ。マクベスって3人の魔女が出てきて「コーダーの領主になる」って予言をされるわけじゃないですか。それでその予言が当たった。だけれども、そのときにまだ選択権はマクベスにあったと思っているんです。魔女っていう得体の知れない存在の、友達でもなんでもない、そんな人たちの言うことが一個当たったからって、「よっしゃ!俺は王になる」ってなるか。「いやいやいや」ってバンクォーの気持ちの人間も絶対いて、そこでマクベスは「よっしゃ」ってなった。そこがマクベスの始まりだなってなんとなく思っています。

登場から「これほど汚くてきれいな日は見たことがない」って出てくる。それがすごくマクベスだなと。常に野心を抱えていて、戦果を残したはずなのにそんな台詞で出てくる。そこから始まっていきたいなと思っています。

板垣 なるほどね。

矢崎 現場に入った瞬間「あの時の取材で言ってた演技プラン、全部なしだからね」っていうこともあると思いますが(笑)。

板垣 いやいやいや。そんなことない。今の矢崎くんの言葉を拾うと「野心」っていうものがマクベスという有名なキャラクターの核にあるのは間違いがないよね。野心は誰でもみんなある。それを大切にしたいってことだね。僕はこの物語は「野心の顛末」を見せる作品だと思っています。野心から始まって、それがどういうふうに着地して終わるのかを、ぜひ楽しみに劇場にいらしてください。

 

最後に、矢崎さんから動画のメッセージをお届けします!

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『MACBETH』は 8月11日(土)~19日(日)、東京・ラフォーレミュージアム原宿にて上演されます。

[プロフィール]

矢崎 広

やざき・ひろし
1987年07月10日生まれ、山形県出身
2004年、ミュージカル『空色勾玉』で初舞台を踏む。『愛と青春の宝塚』『ザ★ミュージックマン』『時計じかけのオレンジ』『ドラキュラ』『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎすぎると討たれちゃうよ~』『サンセット大通り』など数多くの舞台に出演。映画『バッテリー』やドラマ『ごくせん』『戦国鍋TV』『勇者ヨシヒコと魔王の城』など映像の仕事でも活躍している。
http://www.tristone.co.jp/actors/yazaki/

 

板垣恭一

いたがき・きょういち
第三舞台を経て、フリーの演出家になる。最近の主な演出作品に『スピリチュアルな1日』『僕等の図書室』『ビューティフル•サンデイ』『大江戸鍋祭』『サイド•ショウ』『姉妹たちの庭で』『新春戦国鍋祭』『アントニーとクレオパトラ』『キサラギ』『奇跡のメロディ』など。劇場の大きさやジャンルを問わず活躍。演技学校の講師を務めるほか、映像ディレクターとしても活動中。
http://itata.exblog.jp/

 

[公演情報]

『MACBETH』

8月11日(土)~19日(日) ラフォーレミュージアム原宿
原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
脚本:斎藤栄作
演出:板垣恭一
出演:矢崎広、馬渕英俚可 / 永田彬(RUN&GUN)、国沢一誠(ヒカリゴケ)、小林且弥、二瓶拓也、末原拓馬、マーク、長倉正明、山本侑平、加藤啓 / 松村雄基
お問い合わせ:る・ひまわり 03-6277-6622(平日11:00~19:00)
http://ameblo.jp/yazakimacbeth/
http://le-himawari.co.jp/

 


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