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INTERVIEW! 大駱駝艦・天賦典式 創立40周年公演『ウイルス』 麿赤兒さん part2

今年、創設から40年を迎える大駱駝艦。国内はもとよりヨーロッパやアメリカなど海外でも公演を行い、近年では舞台『金閣寺』に舞踏手たちが参加するなど、注目を集める舞踏カンパニーです。その40周年記念公演が7月5日より世田谷パブリックシアターにて上演されます。上演に先立ち、主宰者の麿赤兒さんにお話をうかがいました。

(取材・文/高橋彩子 トップ画像撮影/松田純一 2011年公演『灰の人』より)

INTERVIEW & SPECIAL  2012 7/3 UPDATE

*今回は大駱駝艦40周年公演です。40年という長さをどうとらえていますか?

ウィルスが辿って来た35億年の歴史からすると大したことないよ(笑)。ただまあ、「あ!」「あ!」 となる瞬間が、幾つかあったということですな。「あ」は「遊び」の「あ」でもあるわけだ。一番大きかった「あ」は、初めての海外公演でアメリカに行った時かなあ。違う目玉で見て果たして通じるのか?というのがあったけれども、それなりの反応があって、少しは自信が出たかもしれないね。

とはいえ色々な作品を出して、うまくいくかな?というのはいつもある。作ってからつまんねえなと思ったり、幕が開いたら面白くなったり。その繰り返しです。全ての作品に通じるのは、生き物って、愛おしいなという気持ちですね。今回もウィルスを運ぶ生き物が愛おしい。よく運んでいるな、と思う。

「シンフォニーM」2009(世田谷パブリックシアター) 撮影/松田純一

*その運び手である踊り手の身体含め、40年で“変わった”とお感じになることとは?

環境が変わることによって進化する部分はありますからね。例えば、椅子に座って生活する人はしゃがめないとか。でも、太陽をじーっと眺める人はいないわけで、同じようにまぶしく感じ、顔を覆ったり目をそらしたりする。プリミティブなものはそうそう変わりません。それはもう、ウィルスなどによって定められていると考えられます。

ただ、舞踏では土方巽さんが昭和の日本の身体を、特権的なものとして世に問うたところがあって、がに股一つとっても、世界中に農民が多いから通底するものがあったわけだけれども、いつまでもブランドだけでやっていられない。老舗としてそれは置くけれども、包み紙はもっと色々変えたいし(笑)、それでも舞踏的であるとはどういうことか、問いかけの時期に来ているとも思うね。

*つまり、がに股などの表面的な形だけではなく、本質として舞踏とは何かということでしょうか。

うん。絵描きが字を書いたら、その字も絵でなくてはならないのと同じで、モダンダンスだろう、コンテンポラリーダンスだろう…と色々な言い方をしてもなお、舞踏であるということだね。それが何だか、わからないんですけれどもね。

「G.は行く」2009(シアタートラム) 撮影/松田純一

*既にお話に出ている、時間の長さを意識した身体というのは、舞踏的だと言える気がします。

単なる肉体ではなく、生物のすべてを背負うということは、確かに舞踏的ですね。そういうことを、ほかではあまり言わないからな。近いところではお父さん、お母さんを背負っているし、もっと歴史全体を背負っているとも言える。舞踊手たちにはそういう立ち方であってほしいと思います。

*つまり、世界の中での存在のしかたのようなことでしょうか?

まあ大きく偉そうに言えばそうだね。ただ、これが舞踏だ!という核があるということ自体、妄想だともわかっている。わかりつつ、核を探し続けているわけだ。

*今回の公演のプレスリリースには「全宇宙生命の創造と破壊を設計した あなたのゆったりとした微笑に 私は哄笑で答えよう」という麿さんの言葉が載っていますが、ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った』における哄笑をふと想起しました。お話をうかがっていると、西洋的な価値観と違うものを模索なさっているご姿勢からして、あながち的外れな連想でもないような…?

ニーチェを意識して書いたわけではないけれど、西洋もまた枯渇しているというのは確かに言えると思うんだよ。若いころは「すべてがわかる」「これで平和になる」という思想がほしかったけれど、70歳を目前に、最近とくに、それは無理なんだと実感するね。幾ら考えてもわからないものはわからないから、自分はどちらかというと、仏教の色即是空、悪即善といった考え方のほうがしっくり来ます。

でもって、宇宙を作った存在が…それが神だか誰だか、上から見ているか下から見ているか知らないけど、ゆったり微笑んでいるとすれば、こっちは、はははって笑うんだ。悲しいことがあっても敢えて、笑っていたい。

*なるほど。その笑いが、客席にどう伝わるのかも楽しみですし、観ていて様々な想像・妄想をかき立てられる予感がします。

笑うのはいいぞ!(笑)。ぜひ、大いに妄想してください。舞台の妄想と観客の妄想がぶつかり合ってね、こう、わーっと行くと良いなと思っています。

『ウイルス』は7月5日から8日まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演されます。

「灰の人」2011(世田谷パブリックシアター) 撮影/松田純一

 

[プロフィール]

麿赤兒

まろ・あかじ
1943年生まれ、奈良県出身。
「ぶどうの会」(山本安英主宰)を経て、1964年より舞踏家土方巽に師事。その間唐十郎との運命的出会いにより状況劇場設立に参加。唐の「特権的肉体論」を具現化する役者として、60~70年代の演劇界に大きな変革の嵐を起こす。状況劇場退団後、72年に舞踏集団「大駱駝艦(だいらくだかん)」を旗揚げし、舞踏に大仕掛けを用いた圧倒的スペクタクル性の強い様式を導入。“天賦典式”(てんぷてんしき)と名付けたその様式により国内外で注目を集める。また、役者としても活躍。映画『月はどっちに出ている』『KILL BILL』ドラマ『水戸黄門』『篤姫』『サラリーマン金太郎』舞台『毛皮のマリー』『丹下佐膳』など数多くの作品に出演している。2006年度文化庁長官賞受賞。2012年10月にはフランス・メキシコでの公演が決定している。

[公演情報]

大駱駝艦・天賦典式 創立40周年公演『ウイルス』

7月5日(木)~8日(日) 世田谷パブリックシアター
振鋳(振付)・演出:麿赤兒
鋳態・出演:
麿赤兒
村松卓矢 / 向 雲太郎 / 田村一行 / 松田篤史 / 塩谷智司 / 奥山ばらば / 湯山大一郎
若羽幸平 / 橋本まつり / 小田直哉 / 小林優太
我妻恵美子 / 高桑晶子 / 鉾久奈緒美 / 藤本梓 / 真鍋淳子 / 梁 鐘譽 / 伊藤梨紗 / 岡本彩 / 西森由美子 / 三田夕香 (以上22名)

問い合わせ:大駱駝艦 0422-21-4984  ticket@dairakudakan.com
http://www.dairakudakan.com/

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