インタビュー & 特集

INTERVIEW! 舞台『MACBETH』矢崎広さん×板垣恭一さん 対談 part1

ミュージカル『ザ★ミュージックマン』や『時計じかけのオレンジ』などさまざまな舞台で活躍している矢崎広さんが、舞台に初主演します。演出は舞台『キサラギ』やミュージカル『Side Show』を手掛けた板垣恭一さん。今注目を集める若手俳優とジャンルの垣根を越えて活躍する演出家の出会いは……。

(写真/笹井孝祐 取材・文/臼井祥子)

INTERVIEW & SPECIAL 2012 6/22 UPDATE

*矢崎さんは役作りをすごくするほうだと聞いたのですが、今はどんな準備をしていますか。

矢崎 すごいってほどでもないです。でも取材はします。それは役者の仕事だと思っているので。

板垣 役者さんの言う「役作り」って何をするの? 演出家はしないからさ。

矢崎 たとえば『マクベス』だったらその場所までは行けないから、原作本を読んだり、考察したものを読んだりして、稽古に臨んでいます。今は、福田(恒存)さんの翻訳した『マクベス』を読んでいるところで、考察も載っていて面白いんですよ。

板垣 なるほど。周辺状況も含めてね。そうしたら僕ら演出家と一緒ですね。

矢崎 稽古が始まる前は、演出家と同じことをしないといけないと思っています。始まったらもう全然違うお仕事なんですけど。

板垣 役ってどういう時に捕まえるの?

矢崎 いろいろ準備して作っていくじゃないですか。でもハッと思う瞬間はそこではなくて、稽古で人と接した時に生まれるものが多かったり、本番の中日に「あ、板垣さんの言ってたことは、こういうことかもしれない」って思ったりします。

板垣 そういう時に、自分が調べてたことが全部つながったり?

矢崎 はい。そういう瞬間があります。

*今回の舞台はどういった経緯で決まったんですか?

板垣 矢崎くんで『マクベス』をやりたいとプロデューサーにお話をいただきました。それで「これちゃんとやっていいの?」って聞いたんですよ。一般的にはまだ矢崎くんはそんなに売れ売れの役者さんではない。それで「お笑いマクベス」とかをやるんならあまり興味はないんで。逆に、たとえば平幹二朗さんでお笑いマクベスなら面白いと思うんですけど。でもちゃんとやっていいって言うから、だったらそれは面白いと思って、「矢崎くんだったらできるんじゃない?」ってわりと即答したんです。

矢崎 ありがとうございます。僕はお話をいただいて、「マジですか?」って思いました。主演で、しかも『マクベス』だって聞いて。シェイクスピアだ。どうしよう。それからどんどん楽しみになってきましたね。読んでいて面白いし、今、僕はすごくマクベスが好きです。やってやろうという気持ちもすごくあります。しかも板垣さんだし。

*おふたりは2011年舞台『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎすぎると討たれちゃうよ~』が最初ですか。

矢崎 はい。でももちろん板垣さんのことは知っていました。『大江戸鍋祭』に入る前にウィキペディアで調べたりもしましたし(笑)。それで実際稽古に入ったら、イメージが変わったっていうか、なんかピリッとした。板垣さんはピリッとする演出家です。

板垣 そうなの? プロフィールに書こう。「ピリッとする演出家として評判である」って(笑)。

矢崎 『新春戦国鍋祭』が楽しそうにやっているように見えたから、そういうのがうまい演出家さんなのかな? ちょっと語弊があるかもしれないけど、緩い感じなのかな?って思って、で現場に入った瞬間、まさに初日の顔合わせの時に、ピリッとしました。板垣さんのお話から入ったんですよね

板垣 「面白い芝居を作りましょう」っていう話をしたんだよね。「面白い芝居とは、お客さんの心が動くことです。泣かしてもいいし、笑かしてもいいし、驚かしても、カッコいいと思われてもなんでもいいんで、皆さんの能力をフルに発揮して、点をたくさん取ってください」と。僕はよくサッカーにたとえるんだけど、「全員で点を取りにいかなくちゃ勝てるわけないでしょ」ってけっこう本気で言ってます。どんな大御所の前でもこの話をしています。

矢崎 それがピリッとして。で、いざ稽古が始まったら板垣さんは「さあ、どうぞ。面白いの見せて」ってくるから、僕らは常にプルプルしていたんですよ。

板垣 僕は役者にまかせることが多いんだよね。もちろん「そこから出てきて、必ず途中でブランコにのってね」みたいなことは言います。でも砂場を経由するのかジャングルジムを通るのかは自分で考えてもらう。演技って役者が作るものだと思っているからさ。でも昔はそういう演出ができなかった。できるようになったのは、人間の力を信じられるようになったからなんです。役者たちは、やれって言われたらちゃんとやりますよ。やらない人は次に呼ばれないから、やる人が残るから、だから大丈夫なんです。

(part2に続く)

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[プロフィール]

矢崎 広

やざき・ひろし
1987年07月10日生まれ、山形県出身
2004年、ミュージカル『空色勾玉』で初舞台を踏む。『愛と青春の宝塚』『ザ★ミュージックマン』『時計じかけのオレンジ』『ドラキュラ』『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎすぎると討たれちゃうよ~』『サンセット大通り』など数多くの舞台に出演。映画『バッテリー』やドラマ『ごくせん』『戦国鍋TV』『勇者ヨシヒコと魔王の城』など映像の仕事でも活躍している。
http://www.tristone.co.jp/actors/yazaki/

 

板垣恭一

いたがき・きょういち
第三舞台を経て、フリーの演出家になる。最近の主な演出作品に『スピリチュアルな1日』『僕等の図書室』『ビューティフル•サンデイ』『大江戸鍋祭』『サイド•ショウ』『姉妹たちの庭で』『新春戦国鍋祭』『アントニーとクレオパトラ』『キサラギ』『奇跡のメロディ』など。劇場の大きさやジャンルを問わず活躍。演技学校の講師を務めるほか、映像ディレクターとしても活動中。
http://itata.exblog.jp/

 

[公演情報]

『MACBETH』

8月11日(土)~19日(日) ラフォーレミュージアム原宿
原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
脚本:斎藤栄作
演出:板垣恭一
出演:矢崎広、馬渕英俚可 / 永田彬(RUN&GUN)、国沢一誠(ヒカリゴケ)、小林且弥、二瓶拓也、末原拓馬、マーク、長倉正明、山本侑平、加藤啓 / 松村雄基
お問い合わせ:る・ひまわり 03-6277-6622(平日11:00~19:00)
http://ameblo.jp/yazakimacbeth/
http://le-himawari.co.jp/

 


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