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INTERVIEW! コクーン歌舞伎 第十三弾『天日坊』中村勘九郎さん

今年六代目を襲名した中村勘九郎さんが、この6月、コクーン歌舞伎『天日坊』に出演します。平成中村座ロングラン公演中の勘九郎さんにお話をうかがいました。(写真/笹井孝祐 取材・文/臼井祥子)

INTERVIEW & SPECIAL  2012 5/22 UPDATE

『天日坊』は河竹黙阿弥の『五十三次天日坊』をおよそ150年ぶりに復活させた作品。脚本を宮藤官九郎さん、演出・美術を串田和美さんが担当し、勘九郎さん、中村獅童さん、中村七之助さんら歌舞伎役者と、白井晃さん、真那胡敬二さん、近藤公園さんら現代劇の俳優も多く参加し、これまで見たことのない新しい歌舞伎を作りあげます。

「今回でコクーン歌舞伎は第十三弾なんですよね。速報チラシには“こんな歌舞伎みたことない!”って書いてありましたが、まさにそういう感じの作品になると思います。原作は、河竹黙阿弥の処女作と言われていて、それが150年ぶりに上演される。まあ150年やらなかったってことは、おそらくあまり面白くなかったんでしょうね(笑)。

『天日坊』は以前、父(中村勘三郎さん)たちがやろうとしたことがあって、そちらはオーソドックスな本でした。今回宮藤さんがまとめてくださった本は、宮藤さんの息吹が満載です。作品にこめられた黙阿弥の魂を、宮藤さんが現代に甦らせてくれた。宮藤黙阿弥というか、河竹官九郎というか。歌舞伎座さよなら公演で上演した『大江戸りびんぐでっど』よりも、宮藤さんテイストです。「これが歌舞伎か?」って言われたら、僕は「歌舞伎だ」って答えます。150年生きている人はいないですから「これ歌舞伎です」って僕たちが見せれば歌舞伎になると信じています。もちろん賛否両論はあると思いますが。

脚本を見て、父は「大変だね。大丈夫なの?」って言いましたからね(笑)。七之助も「どっちに転ぶかだね」って言っていました。うちの父が不安になるような、そんな本なので、ますますこれは面白いぞ!と思いますね」

勘九郎さんが演じる法策(後に天日坊)は、ふとしたきっかけから将軍頼朝の落胤になりすまし、鎌倉を目指します。旅の途中で偶然出会った盗賊・地雷太郎とその妻・お六によって、自分の出自を知り……。 天下を狙う若者たちの大勝負を、次代を担う歌舞伎俳優たちと、現代劇の個性派俳優たちが演じます。

「物語は化け猫退治から始まりますからね。そういう意味ではファンタジーっぽくもあり、世の中をひっくり返すパワーを持っていて、たまたまタイミングもあってしまった17歳の少年が、時代の渦に巻き込まれるというか、巻き込んでやろうとする話です。

宮藤さんの脚本、『りびんぐでっど』の時はゾンビや干物のビジュアルが破天荒だったけれど、今度は台詞や内面、心情がぶっ飛んでいる感じですね。言葉遣いはというと、黙阿弥の七五調の中に「マジかよ」とかが入ってきます。黙阿弥が生きていた時代には、この作品も現代劇として親しまれていたはずで、どうカッコよく意味を伝えられるか、どう台詞をしゃべらせられるか、黙阿弥はきっと考えていたに違いない。今は七五調で台詞を謳い上げますが、当時もそうだったのかはわかりません。今では当たり前と思われていることを当たり前にやるのではなく、本当はどうだったの?と疑問を持って宮藤さんは脚本を書いてくださっているのがうれしいですね。

だから稽古の段階からいろんな引き出しをもって臨まないとだめだと思います。「マジかよ」という台詞も、歌舞伎役者が言うから違和感があって面白いだけであって、普通の芝居なら別に面白くもなんともないでしょう? それよりも宮藤さんが伝えたい台詞の面白さを大切にしたい。お客さんの中に固定観念があるのはある程度しかたないけど、僕たちはそこにとらわれちゃいけない。感覚を研ぎすませておかないといけないなと思います」

もっと有名で人気のある作品はたくさんあるけれど、そういった作品ではなく『天日坊』を上演することの意味を、勘九郎さんは「戦わなきゃいけない」と語りました。

「僕たちがコクーンでやるのに、もちろん『三人吉三』とかをやることだってできるけど…、戦わなきゃいけないと思うんですよ。一役者としてこの世に生を受けたなら、面白いものをやりたいじゃないですか。それでお客さんの喜んでいる顔や困惑している顔が見たい。(法策が抱くような)野望じゃないけど、面白いことはいつでもやりたいです。

今は頭を使わないで観られる作品が多いけど、少しくらいわからなかったり悩みながら観られる作品もあったほうがいい。面白いんだけど何が言いたかったかわからない、台詞はわからないけど涙が出てきた、そういうものもあっていい。決してこびちゃいけないんです」

最後に、これからの歌舞伎について、次代を担う俳優として、意気込みをうかがいました。

「本当に大変になってくると思います。歌舞伎だけじゃなく、演劇界全体がそうだと思うんですが、どうやってお客さんを小屋に呼ぶのか。、本当に面白いものをやらなければ来ていただけなくなるだろうし、でも人気のあるものばかりやっていてもだめで、バランスを考えなければいけない。

攻撃は最大の防御ですからね。守りに入るのではなく攻めていけば、新しいもの、見逃してしまったものが見えてくるでしょうし。常に前を向いてやっていきたいですね。まずはこの作品がどうなるか。「すげえ」って思ってくれる人が必ずいると信じています」

公演は6月15日〜7月7日、渋谷・Bunkamuraシアターコクーンにて行われます。

 

六代目 中村勘九郎

(ろくだいめ なかむらかんくろう)
1986年『盛綱陣屋』小三郎役で初御目見得。翌年『門出二人桃太郎』兄桃太郎役で二代目中村勘太郎を名のり初舞台を踏む。2012年新橋演舞場にて六代目中村勘九郎襲名披露を行う。歌舞伎のほか、『おくりびと』や『ろくでなし啄木』などの舞台にも出演。大河ドラマ『新選組!』をはじめドラマや映画にも数多く出演している。
http://www.fernwood.jp/

[公演情報]

コクーン歌舞伎 第十三弾『天日坊』

Bunkamura シアターコクーン 6月15日(金)〜7月7日(土)
原作:河竹黙阿弥「五十三次天日坊」
脚本:宮藤官九郎
演出・美術:串田和美
出演:中村勘九郎、中村七之助、市村萬次郎、片岡亀蔵、坂東巳之助、坂東新悟、近藤公園、真那胡敬二、白井晃、中村獅童 ほか
問い合わせ:チケットホン松竹0570-000-489(10:00〜18:00)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/2012/06/post_100.html

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