インタビュー & 特集

INTERVIEW! 舞台『時代劇版 101回目のプロポーズ』 part2 武田鉄矢さん

1991年に放送され一世を風靡したドラマ『101回目のプロポーズ』が、現在、博多座で熊本を舞台にした時代劇として上演されています。武田鉄矢さんと浅野温子さんの名コンビも復活! スペシャルインタビュー、今回は武田鉄矢さんの登場です。(取材・文/中村恵美)

INTERVIEW & SPECIAL 2012 3/16 UPDATE

司法試験にも女性にも振られつづけている万年係長のサラリーマン星野達郎と、愛する人を亡くした悲しみから立ち直れずにいるチェリスト・薫の、恋愛模様を描いたテレビドラマ『101回目のプロポーズ』。20年以上も前に大ヒットしたこのドラマが、今回舞台化され、しかも時代劇に変身! なんとも意表をつく試みに、驚いた人も多いはず…。

「最初、『101回目のプロポーズ』を時代劇にしたいと、博多座さんから提案いただきまして、そのときに「面白くなる!」と直感しましたね。台本作りに至る前の企画段階から、ああでもないこうでもないとアイデアを出して随分話し合いました。脚本家は『時代劇なんて自信がない…』と、かなりのた打ち回っていたようですが、俺は『なんとかなるんじゃないですかぁ』と一番のんびり(笑)。生みの苦しみの甲斐あって、結果的に、最初の直感に近い、時代劇版『101回目のプロポーズ』に仕上がったと思っています」

時代劇になったことで、星野達郎ならぬ星野達郎左衛門は、サラリーマンではなく肥後藩細川家の下級武士へ、薫さんはチェリストではなく、行き倒れのワケありの女性へと、設定もずいぶんと変化しました。

「おそらく、頭から観ていると『101回目のプロポーズ』とはまったく別の物語のような感じがするかもしれません。九州肥後藩細川家に仕える、つましい侍・星野達郎左衛門に起こった奇跡の恋物語の匂いが圧倒的で、でもやっぱり『101回目のプロポーズ』。それも面白いんじゃないかな」

テレビドラマのときと今回の時代劇版で、あえて違いを上げるとしたら?

「ドラマのほうは、随分と昔の話なので、実はほとんど忘れちゃってるんです(笑)。ただ、当時月9はトレンディードラマ全盛期。そこで私が目指したのは「リアル」をとりいれることでしたね。一方、舞台は『ファンタジー』の世界です。だから今回は、まっすぐに真面目に、ファンタジーをやろうと思っています。特に時代劇は、命がけという設定が簡単にできる。いつ斬られて死ぬかもしれない世界ですから、薫さんの恋人が事故で亡くなった出来事も、時代劇なら、宮本武蔵との御前試合で殺されたというドラマチックな事件にできるんです。時代劇ってすごいでしょう!」

武田さんは、今回、星野達郎左衛門と、薫の仇である宮本武蔵の二役を演じています。

「二役は、体力的に結構大変です。博多座さんは、『お体、大丈夫ですか?』と言ったその舌の根の乾かぬうちに、『二役お願いします』と厳しいことを言うんですよ(笑)。まったく優しいんだか厳しいんだか(笑)」

二人が対決するという、本来なら不可能な場面もあるそうなので、いったいどのように演じられるのか、ぜひ自分の目で確かめたいところです。
 また、おなじみのテーマ曲、『SAY YES』ももちろん登場。この曲を聞くだけで、あっという間に『101回目のプロポーズ』の世界に染まること間違いなし!

「蜷川幸雄さんが、『近松心中物語』で森進一さんの演歌を使っていたでしょう。あれに対抗するには、時代劇『101回目のプロポーズ』で『SAY YES』しかないでしょう(笑)。どんな風に流れるか、楽しみにしてください」

実は、今回の『101回目のプロポーズ』の「101」という数字は、ドラマのときのようなお見合いの回数ではなく、達郎左衛門が薫に渡した恋文の数を表しています。

「今回、タイトルを『百一度の恋文』にしたら?と提案したくらい、恋文は物語にとって大事な部分です。日本人というのは、恋文という伝達手段が好きなんでしょうね。短歌や俳句など、短い文章で気持ちを伝える才能に長けている国民なんですよ。私自身は、あまり手紙を書くほうではないですが、まぁ、年のせいか近頃少し筆まめになりました(笑)」

 ちなみに武田さんが、今までにもらった恋文についての思い出を、差し支えなければ教えていただきたいのですが…。

「素敵な恋文はいただきましたが、差支えがあるので(笑)。恋文ではないですが、20代のころ、長女が生まれたときに、山田洋次監督からメッセージカードをいただきました。薔薇の花束と一緒に、こんなメッセージが添えられていたんです。『華のような娘になりますように』。なんとも素敵でしょう! 頭のいい人は、なんていい言葉を選ぶんだろう。そのときは涙ぐんだのを覚えてます」

博多出身の武田さん。4度目となる博多座での公演は、やはり格別の想いがあるようです。

「博多座は自分にとって大事な場所。この土地のお客様に向かって、今まで絶えず生きて演じて、この半生、精進してきました。海援隊の最初のヒット曲も博多弁の歌でした。舞台を九州にするというのは、私の人生においての大きなテーマです。ですから、時代劇版であると同時に、九州の言葉満載の、九州版『101回目のプロポーズ』だと思って演じております。九州の皆様に、ぜひ足をお運びいただいて、楽しんでいただけたら、大変うれしいですね」

 

 

 

 

 

 

 [プロフィール]
武田鉄矢
たけだ・てつや
1971年に「海援隊」を結成。『母に捧げるバラード』が大ヒットし一躍人気者に。俳優としても『幸福の黄色いハンカチ』『刑事物語』『3年B組金八先生』『101回目のプロポーズ』など数多くの映画やドラマに出演。近年では『JIN-仁』『龍馬伝』で見せた滋味あふれる演技、『BOSS』『ストロベリーナイト』での悪を纏った演技なども記憶に新しい。音楽も定期的に作品を発表。一時解散していた海援隊を95年に再結成し、ファンを喜ばせている。


 

 

 

 

 

 

 [公演情報]
時代劇版『101回目のプロポーズ』
2012年3月2日〜3月28日 博多座
原作:フジテレビ『101回目のプロポーズ』(脚本:野島伸司)
脚本:鈴木哲也/マキノノゾミ
演出:齋藤雅文
出演:武田鉄矢、浅野温子/相島一之、篠田光亮、北川弘美、山崎銀之丞/江波杏子
第二部(海援隊トークライブ)出演:海援隊
お問い合わせ:博多座 092-263-5555
http://www.hakataza.co.jp/propose/

 


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