インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『クロサワ映画2011』 コン・テユさん×イ・テガンさん
森三中の黒沢かずこさんやオアシズの大久保佳代子さんら、女芸人たちが本人役で登場するハートフルコメディ『クロサワ映画2011~笑いにできない恋がある~』。3月7日のDVD発売を記念して、相手役の韓国人男性に扮したコン・テユさん、イ・テガンさんにお話を伺いました。(取材・文/山上裕子、撮影/熊谷仁男)
INTERVIEW & SPECIAL 2012 3/13 UPDATE
テガン 黒沢さん、大久保さん、鬼奴さん、光浦さんの4人は自分の役、自分の性格そのままで出てるから、映画の中なのにプライベートで話してるような感覚だったんです。それが非常に面白くて。
テユ じゃあキスシーンもプライベート感覚だったの?(笑)
テガン いえ、いえ、演技しました。
テユ 一生懸命ね。
テガン 大久保さん、TVではエロい感じを出してるから、〝キスもすごく上手だろうな〟と思ってたんです。でも、ものっすごく下手で……
テユ そんなこと言うたらまた怒られるよ!(笑)
テガン 最初、アゴに来たんですよ。その後もほっぺに来たり鼻に来て、ずっとNG。元々は大久保さんのほうから迫ってくるシーンなのに、渡辺監督が「もう、テガンから行け!」て言って、僕から思いっきり行ったんです。そしたら、これは僕ら2人しか知らないと思うんですけど、キスの瞬間、大久保さんがピクッと震えたんですよ。〝え~!? 女やん!〟と思って。
テユ この話聞いてから観ると、確かにピクッとしてるよね。
テガン そのギャップにちょっとキュンとしました(笑)。しかも撮影当日はたまたま僕の誕生日だったから、周りの人が「これは運命かも!」と言うんで、僕もツイッターで「大久保さん、付き合いますか?」ってつぶやいてみたんですが、完全に無視されました(笑)。後で「どうなってるんですか?」って大久保さんに確かめたら、〝押し引き〟だったらしくて、「ほら、テガン、私のこと、気になって来るでしょ?」と言われました。
テユ 駆け引きね(笑)。僕ら、去年の8月からライブをやっているんですけど、1月のライブでテガンのバースデーイベントをやったんですよ。そのときに『クロサワ映画2011』の皆さんからコメントを頂いて。
テガン 嬉しかったですねぇ……「僕ら2人のどちらを選びますか?」って質問があったんですけど、大久保さんはキスもした間柄だし、てっきり自分を選ぶと思ってたらテユさんを選んだんですよ! 「なんでですか?」って聞いたら「だってテユがやさしいも~ん」
テガン そのことをツイッターでつぶやいたら、また〝かけ押し〟?
テユ 〝駆け引き〟
テガン らしくて、無視されました。ちょっと今、引っかかってる感じ。これはハマってるのかな(笑)。
テユ おお! スキャンダル発覚か!(笑)
――テユさんのお相手は黒沢さんですが、いかがでしたか?
テユ 撮影前、黒沢さんに関しては、「人見知りの人だ」と聞いていたんです。でも実際に会ってみたら、皆さんが言うほど人見知りをされる方でもなくて、僕はすんなり溶け込めることができたんです。まぁ、そうなるように、撮影が終わって黒沢さんがひとりになる時間にあえて話しかけてみたり、一緒にたい焼きを買いに行ったりしました。映画の中の〝かずこさん〟が僕にとってはそのまま実際のかずこさんなので、芝居もしやすかったですね。受けの芝居がとてもお上手なんですよ。
テガン この映画をきっかけに、黒沢さんは韓国にハマッて、
テユ そうなんですよー、皆さんね。
テガン プライベートで韓国に行って、好きなアーティストのコンサート見て来たり
テユ こないだ黒沢さん、レインとFTISLANDの出待ちしてましたね(笑)。
テガン バースデーイベントの〝2人のうち、どっち?〟コメント、黒沢さんは僕らじゃなかったですよ(笑)。
テユ 「ホンギー!(FTISLANDのボーカル)」って言ってました。
テガン 〝さすがやな〟と思いつつも、〝韓国人がこんな近くにいるのに……〟というせつなさもあり。
テユ うちら、踏み台にされたよね!(笑)。 うちらを乗り越えて、その先にあるものにどっぷりハマられちゃったから。
テガン そうそう。
――主役は4人の女芸人さんでしたが、お笑い芸人さんとお芝居するのはいかがでしたか?
テガン 4人とも、本当に面白いんです。カメラが回ってないときもずっと。
テユ 現場、楽しかったね。
テガン また撮りたーい!
テユ お笑い芸人さんがメインの映画ということで、通常のドラマや映画の撮影とやはりスタイルは違いました。芸人さんなので、皆さん撮影の一発目に新鮮なものを出したいと思ってるから、
テガン リハーサルでは出さないですね。
テユ 60%くらいにして、あとは本番用にとっておくんです。だからこっちも新鮮なリアクションができました。そういう空気感は映画からも伝わってくるし、この映画の持つスピード感、ポップ感につながっていると僕は思います。それからこの『クロサワ映画2011』って、女性の共感度がものすごく高いと思うんです。〝モテない〟〝変わってる〟っていうイメージのある女芸人さんたちだけど、恋に関しては同じ立場ということで、たくさんの女性に観ていただけたら。
テガン 〝女子お笑い芸人さんたちが恋愛すると、こういう悩みがあるんだろうな〟とか、彼女たちの人間性に近づけると思うんですね。そういう部分も、すごく楽しめると思います。
テユ 本人役で出演されてるってことで、TVの裏側を描くポップなドキュメンタリーにも見える。男性にも女性にも、そして幅広い年代に楽しんでいただける映画です。映画館みたいにポップコーンをほおばりながら、軽い気持ちで笑って観てほしいですね。
――日本語が堪能なテユさんにとって、パク役でのカタコトの日本語は難しかったのでは?
テユ パクは日本に来て大体5~6年、という設定でした。役に気持ちが入るとカタコトが弱くなってしまうのが大変でしたが、わざとらしいのは絶対イヤだった。監督ともたくさん話をして、モニターを確認しながらやらせていただきました。それに僕は、今まで関わった現場で日本語なまりの韓国語も、韓国語なまりの日本語も知ってる。お手本がいっぱいいて、そういう面での苦労はなかったですね。
テガン 韓国人の日本語なまり、多分僕が一番の手本です。日本に来たときからずっとテユさんといるから。
テユ でもテガンは釜山地方出身なので、パクさんとは多少イントネーションが違うんですよ。
――韓国人として、この映画に出てくる韓国のイメージに違和感はありました?
テユ いえいえ。僕らの髪型や服装とかも含め、オーバーにしてるところは全くないんです。オチは別として(笑)。
テガン あのオチはないですよね!(笑)。
――「毎月14日は恋の記念日」ってセリフがありますが、ホントですか?
テガン ありますあります! サプライズに関しては、むしろ撮影しながら〝これはちょっと弱くね?〟と思ったりしたんです。
テユ うん、僕たちにとってはちょっと弱くて「これでサプライズになります?」って監督ともよく話をさせていただいたんですけど。
テガン 実際はもっと派手だし、ホントに驚きますよ。たとえば僕がやったのだと、記念日だったら頭から足の先まで、お揃いの服を着る。それから待ち合わせ場所を教えておいて、そこに彼女が来たら「下向いて」ってメールするんです。すると足元に矢印を書いた紙が貼ってあって、そのメッセージを辿っていくと、花束を抱えた自分がいる。
――なんてドラマチック! でもそれが普通なんですか?
テガン サプライズは相手を驚かせないといけないんで。その度にすっごく並んだり、大変です。でも相手のうれしそうな顔を見たら、苦労も溶けていきますね。
テユ 驚きはもちろん、それを自分のために準備してくれたこともわかりますからね。
テガン しかも韓国はサプライズが多いから、知らない人も「OK、OK!」って助けてくれるんですよ。「チュー! チュー!」とコールされたり、拍手してくれたり。ホントにみんなで楽しめる。
テユ もし、僕がこの映画のパク・ソンドルと同じ立場だったら、バースデーケーキを市場のお店じゃなくて、その後に二人で行く、夜景のキレイな場所に出前してもらいますね。友達のペ・ウンソン(イ・テガンさんの役)にバイクで持って来てもらってもいい。それでサプライズ感がさらに高まりますから。
テガン でも、空港で先回りして待ってるっていう、あのサプライズはすごいね。
テユ あれは、韓国と日本を行き来して、飛行機の時間がよくわかってるパクさんにしか出来ないよね。そういう特別感も出てると思います。
――最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
テユ パクさんに萌えていただければうれしいです。オチに関しては、観てくださる皆さんの人生観と価値観で判断してください。そしてそれをぜひ、ブログとかでコメントしていただきたいですね。それを読んで自分も「なるほどー!」と思えるんで。
テガン 笑いがあって涙も流せる、喜怒哀楽が詰まってる映画です。気楽に観て、笑って笑って泣いて笑ってください。
テユ 踏み出せない恋に一歩踏み出す勇気を持つ。この映画が、そんなきっかけになってくれたらいいですね。
プロフィール
コン・テユ●1982年3月21日生まれ、神奈川県出身。2001年『天国に一番近い男』に出演後、03年に韓国で芸能活動を開始。舞台「ミュージカル『テニスの王子様』」やテレビ『仮面ライダーW』『なかよしテレビ』などに出演。昨年、ドラマ『祝女〜shukujo〜』内の韓流スーパーグループ「無限男子」としてCDデビューを果たす。
イ・テガン●1986年1月30日。韓国チンジュ市出身。2006年、韓国でK-POPグループ「ZAZA」にて歌手デビュー。08年から日本に活動の場を移し、さまざまなバラエティ番組で活躍。また、映画『彼岸島』、舞台『サムライモード』などに出演。コン・テユとともに、NHK『祝女〜shukujo〜』内の韓流スーパーグループ「無限男子」のメンバーとしてCDデビューを果たす。現在NTV『ネプ&イモトの世界番付』他、5本のレギュラー番組で活躍中。
『クロサワ映画2011~笑いにできない恋がある~』
3月7日(水)DVD好評発売中!
監督:渡辺琢
キャスト:黒沢かずこ、コン・テユ、椿鬼奴、光浦靖子、大久保佳代子、イ・テガン、加藤厚成、村上知子、大島美幸、秋野暢子、多岐川裕美 ほか