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「 芝居の延長線上のエネルギーで行けば、伝わるものが絶対にある」『ルーザーヴィル』山本涼介インタビュー
ロックバンド「Son of Dork」のデビューアルバムの曲を利用し、夢に向かって奮闘するオタクたちの姿を描くミュージカル『ルーザーヴィル』が、3月に新橋演舞場で開幕する。主人公マイケルと対立する町一番の金持ちのエディ役を務める山本涼介が、初挑戦となるミュージカルへの意気込みを語った。(文/臼井祥子)
INTERVIEW & SPECIAL 2023 2/7 UPDATE
●今回演じられるエディは、主人公と対立するいわゆるライバル役ですね。
そうですね。よく学園ドラマに出てくる、スクールカーストの一番上の、嫌なやつです(笑)。
●山本さんご自身は、どんな生徒でしたか?
中学まではずっとサッカーをやっていて、イケイケドンドンの陽キャでした。休みの日は友達みんなでイオンのフードコートに行って、替え玉無料のつけ麺を食べて遊んで、休み時間はサッカーをやって、それを後輩たちが窓から見てて。
●「山本先輩、素敵ー!」みたいな?
はい(笑)。そういう感じでした。高校生からは芸能活動を始めたので、ガラッと変わりました。上京して、ダーツとかビリヤードとか、遊びがオシャレになりました。でも芸能界に入ったという意識もあったから、真面目になったと思います。
●芸能界を目指そうと思ったきっかけは?
「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」がきっかけで、今の事務所にスカウトしていただいたのが中二の時で、その時はサッカーをやってたので「高校まで待ってください」とお願いしたんです。そうしたら社長が「じゃあ燃え尽きるまでサッカーをやってこい」と言ってくれて、本当に燃え尽きるまでやりました。
でもサッカーに未練がないかと言ったら、友達が高校で活躍しているのを見て「いいなあ」と思う気持ちもあったんです。すごく強く俳優になりたいという気持ちで始めたわけじゃなくて、流れに身をまかせていたら…という感じでしたから。もともと負けず嫌いで、ジュノンボーイでグランプリを取れなかったから、そこで火がついたというのもあるかも。こっちの世界でも頑張りたいって思っちゃったんですよね。
●これまでの仕事で、ご自身の転機となった作品を教えてください。
一つは19歳の時に出た『サムライフ』という映画です。それまで高校3年間、仕事をしてきたんですが、ゼロからのスタートで芝居のしの字もわからない状態で続けていて、自信を失っていた時期でもあったんです。正直、もうやめたいくらいに思っていました。そういう時に、初めて自分を必要としてくれた作品でした。自分探しをして旅に出る役で、それがすごく自分自身とリンクしていたし、オーディションは面談だったんですが、会って話して、監督が「じゃあ涼介で行こう」と言ってくださって、必要とされるありがたみを知りました。いろんな先輩方とお芝居ができて、すごくいい経験をさせていただいたと思います。
それから『仮面ライダーゴースト』。自分の中にずっと残り続ける作品です。1年間一緒の役をやる機会ってそうないと思うし、いろんな方に知ってもらえるので、自分にとってとても大きいです。
舞台なら『駆けはやぶさ ひと大和』です。西田大輔さんが演出の「もののふシリーズ」最終章で、新撰組のお話。それまでいくつかの舞台に出演していたんですが、舞台の楽しさがわかってなかったんですよ。
でもその概念を打ち破られたのが、この作品でした。本当にエネルギッシュな人ばかり出ていて、毎日全然違うアタックをしてくる。それに必死で食らいついて、舞台ってこんなに楽しいんだって思いました。西田さんの殺陣ってすごくきれいで、手がめちゃくちゃ多いんですよ。僕だけで170手くらいありました。殺陣も楽しいし、西田さんの演出はスッゲー面白いし、照明もきれいだし、音楽もいい。そこからすっごく舞台にハマりました。
●今回の作品もまた、今までの舞台とは違う気がします。
全然違いますね。何しろ初めてのミュージカルです。僕は歌もダンスも自信がないので、今まで「ミュージカルだけは勘弁してください」と言ってきたんです。ダンスは演劇『ハイキュー!!』で経験があるのですが、「頼むから減らしてくれ。あんまり目立たない立ち位置にしてくれ」とお願いしていました(笑)。
でも気持ちが変わった。一番大きい理由は、ウォーリー(木下/演出)さんが声をかけてくださったことです。演劇『ハイキュー!!』でご一緒したんですが、 ウォーリーさんに呼ばれたのなら出るしかないなって覚悟を決めました。それと、僕にとって2023年最初の舞台になりますし、そろそろ新しいことに挑戦したいと思っていたので、タイミングが噛み合ってチャレンジしたという感じです。
●歌稽古は始まっていますか?
2、3回やりました。事前に歌稽古をしていただけるって本当にありがたいです。でもやっぱり難しいなあと思います。僕は普段歌を聞かないし、最後にカラオケに行ったのは3、4年前で、人前で歌うことにすごく抵抗があったんです。でもやるしかないと思えば、そこは克服できました。
本番を観にきたお客さんが、「あの人、歌、下手だな」ってことに意識を持って行かれないようにしたい。作品自体を楽しんでいただきたいから、できることは全部やりたいです。
歌だと思わないようにしようと思っているんですよ。芝居の延長線上のエネルギーで行けば、伝わるものが絶対にある。もちろんリズムや音程など絶対に合わせないといけないものはありますが、そこからプラスαとして、感情をどう歌にのせるか、歌に行くまでの芝居をどう魅せるか、ということをすごく大事に稽古をしていきたいです。
●楽しみにしていることはありますか?
ダンスや歌、魅せ方の部分でも、今までやったことがない挑戦になるので、この作品が終わった後、自分が一皮も二皮も向けていればいいなと。自分の引き出しがすごく増えると思うので、この舞台で自信をつけて、これからもミュージカルや、歌やダンスがある舞台に挑戦できるような、メンタルを手に入れたい。これからの山本涼介がかかった作品になると思います。ベストを尽くして頑張ります!
ミュージカル『ルーザーヴィル』は、2023年3月5日(日)〜22日(水)に東京・新橋演舞場にて上演。大阪、広島、愛知でも上演されます。
[公演情報]
ミュージカル『ルーザーヴィル』
2023年3月5日(日)~22日(水)
東京・新橋演舞場
2023年4月6日(木)~16日(日)
大阪・大阪松竹座
2023年4月20日(木)~21日(金)
広島・上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)
2023年4月26日(水)~30日(日)
愛知・御園座
演出:ウォーリー木下
翻訳・訳詞:福田響志
音楽監督:NAOTO
振付:梅棒
出演:井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.) 、本髙克樹(7 MEN 侍/ジャニーズJr. )、高月彩良、山本涼介、青野紗穂 ほか
公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202303_loserville_enbujo/