インタビュー & 特集

『夏の砂の上』で初舞台の山田杏奈さん「ここまで来たら楽しむしかない」

松田正隆氏の読売文学賞作品『夏の砂の上』にて舞台デビューを迎えるのは気鋭の女優、山田杏奈さん。11月3日初日の本作の、稽古が始まる前にインタビュー。学園ドラマや映画への出演で着実に力をつけてきた山田さんに、初めての舞台出演に寄せる率直な想いを語ってもらいました。(文/木下千寿 撮影/増田慶 ヘアメイク/中井彩乃 スタイリスト/菅長ふみ)

INTERVIEW & SPECIAL 2022 10/31 UPDATE

――舞台への出演が決まって、どんな気持ちでしたか?
以前からマネージャーさんに「ゆくゆくは舞台を経験してほしい」という話をされていて、私自身も「いつかは……」と思っていました。2年ほど前に今回の出演のお話が決まったときは、未知の世界だけに不安しかありませんでしたが、今はちょっとずつ「楽しみだな」という気持ちも出てきたところです。この2年間、いろいろなお仕事をさせていただく中、ずっと頭のどこかにはこの舞台のことがありました。「まだ2年あるし、そのうち自信も出てくるかな」と考えていたのですが、2年経った今もまだ不安は大きくて(笑)。でもここまで来たら楽しむしかないですし、周りの方々からいろいろ教わりつつ頑張ろうと思っています。

――演出を手掛けるのは、日本の演劇界を牽引する栗山民也さんですね。
はい。初めての舞台で栗山さんとご一緒させていただけるのは、本当に幸せなことだと思います。舞台をやっている友人に「初舞台で栗山さんとやれるなんて!」と羨ましがられるんです。「たくさん教えてもらえると思うよ」とも言われたので、どんな演出をつけていただけるのか、今からワクワクしています。最近、自分の中でお芝居のやり方やアイデアが固まってきてしまっている気がして危機感を覚えていたのですが、この舞台をやることで、そういった今の自分の価値観を一回壊してもらえるんじゃないかなと期待しています。

――作品や、演じるキャラクターの印象を教えてください。
とても静かなお話だなと感じました。そこにさまざまな人物の生き様があり、キャラクター同士の関わり合いを通じて、それぞれの中に思いもよらなかった感情が呼び起こされていく……。静けさの中にドラマがある感じがステキだなと思っています。私が演じる優子は16歳。台本を読んだところでは、本当に子どものような一面もあるかと思えば、すごく大人びているところもあり、掴み切れない子だなという印象です。また、寂しさがちらちら見えるような子だなとも思いました。

――主人公を演じるの田中圭さんをはじめ、実力派の共演者が揃いました。
田中さんとは以前、映画『哀愁しんでれら』でご一緒させていただいたのですが、そのときは絡みがあまりなかったので、本格的な共演は今回が初になります。田中さんの舞台を観たことのある知人から「(田中さんは)舞台だと、映像とはまた全然違う!」と聞いたので、向き合うのが楽しみです。また西田尚美さんも、とてもステキな方。西田さんがいらっしゃると思うだけで、もう心強いです。

――もともと、舞台を観るのはお好きですか?
舞台好きな方ほどは観ていないと思いますが、舞台のお話が決まってからのこの2年は、人生の中で割といろいろな作品を観たほうかもしれません。栗山さん演出の『フェードル』『彼女を笑う人がいても』も観に行かせていただきました。出演が決まった状況で舞台を観ると、舞台に立つ人のことを改めてすごいなと思いますし、「私もこういう場に立つのか……」と緊張が高まります。舞台を通じていろいろな熱量を受け取ることができるのが観劇の魅力かなと思うのですが、『夏の砂の上』では自分がみなさんにエネルギーを渡す側になれるというのが、とても嬉しいですね。

――初舞台に向けて、気になることというと?
シンプルに「セリフが飛ばないのかな?」と思います(笑)。2時間近く、ずっと同じ役で居続けるというのも、同じ作品をじっくり稽古するという環境も初めてなので、想像がつきません。ただ周りの方に「舞台をやるんです」と話すと、「好きだと思うよ」と言われることが多いんです。自分の力だけで自分の価値観を壊すのは難しいから、舞台という新しい世界にチャレンジして作品や栗山さんなど周りの方々の力を借り、自分をどんどん変えていけたらいいなと思っています。

――山田さんが、「演じることを仕事にしたい」と思ったきっかけは?
子どものころから芸能活動をしていたものの、当時は“習い事”的な感覚でした。15歳のころに受けたCMのオーディションで、「目力があるね」と言っていただけて、自分にほかの人とは違う属性があることを初めて知ったんです。「自分だからできることがあるのかもしれない」と思えたあの体験は、私にとってとても貴重でした。そのころからいろいろなお仕事をいただけるようになり、「演じるのって面白いな」と思うようになったのだと思います。

――今回の出演にあたっての目標は何でしょう?
舞台というと練習をコツコツ積み上げていくイメージで、その環境はわりと楽しめるような気がします。ただ、どこまで突き詰めるかは、もう自分との戦いだなと思っていて。実は、結構自分に甘くなってしまうほうなので(笑)、自分に厳しく、自分を律していかなければと気持ちを引き締めています。稽古中に、頑張るところと気持ちをゆるめるところのメリハリ、ちょうどいいバランスを見つけていきたいですね。
【プロフィール】
山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年1月日生まれ、埼玉県出身。2011年『ちゃおガール☆2011 オーディション』でグランプリを受賞しデビュー。2018年『ミスミソウ』で映画初主演、その後数多くの映画・ドラマに出演する。22年は、ドラマ『未来への10カウント』『17才の帝国』『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』『早朝始発の殺風景』等、話題作に多数出演している。

撮影_若木信吾

『夏の砂の上』
[東京公演]2022年11月3日(木・祝) ~ 20日(日)世田谷パブリックシアター
[兵庫公演]2022年11月26日(土)、27日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
[宮崎公演]2022年12月3日(土)~4日(日)メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール
[愛知公演]12月10日(土)~11日(日)刈谷市総合文化センター 大ホール
[長野公演]2022年12月16日(金)~17日(土)まつもと市民芸術館 主ホール
作/松田正隆 
演出/栗山民也
出演/田中圭、西田尚美、山田杏奈、
尾上寛之、松岡依都美、粕谷吉洋、深谷美歩、三村和敬
https://setagaya-pt.jp/performances/2202211natsunosunanoue.html


  • online shop

    online shop
  • オモシィ会員登録

    オモシィ会員登録
  • お詫びと修正

    お詫びと修正
  • 公演情報登録

    公演情報登録
  • 川本成のオレ哲学

    川本成のオレ哲学
  • anfan

    anfan
  • 15バナーA

    15バナーA
  • バナーomo11_s

    バナーomo11_s
  • オモシィマグ6

    オモシィマグ6
  • mag4banner

    mag4banner
  • omo10_banner_small

    omo10_banner_small
  • banner14s

    banner14s
  • omoshii 13 申し込み

    omoshii 13 申し込み
  • omo7_small

    omo7_small
  • omoshii12

    omoshii12
  • omo9_small

    omo9_small
  • omo8_small

    omo8_small
  • MAG_BANNER

    MAG_BANNER
  • MAG2_RENSAI_BANNER

    MAG2_RENSAI_BANNER