インタビュー & 特集
「知れば知るほど芝居が好きになりました」小西成弥インタビュー
7月28日、舞台『ON AIR 〜この音を君に〜』が新国立劇場 小劇場で幕を開ける。とある町のラジオ局を軸に、混沌とした現代で懸命に生きる人々の姿を描く物語だ。この町で暮らす高校生・上島明人を演じる小西成弥さんに、話を聞いた。(取材・文/臼井祥子)
INTERVIEW & SPECIAL 2022 7/21 UPDATE
●初舞台から10年あまり、たくさんの舞台に出演されてきました。この10年間で小西さんにどんな変化がありましたか?
お芝居がより好きになりました。今年は特に舞台を熱心に観ています。1日に2本観ることも。もちろん純粋に楽しんでもいますけど、意識的に観ようと思ってもいて、今まであまり観ていなかった歌舞伎を観に行ったりもしています。
観劇以外でも、お芝居の勉強をしています。今までもワークショップに参加したりしていたんですが、最近、友達に誘ってもらって「アレキサンダーテクニック」というお芝居のメソッドを習いました。
●それは具体的にはどんなことをするんですか?
体の使い方を分類するんですよ。空間に対してなら直線的な動きとか、時間に対してなら早い動きとか、それを分類して…言葉で言うとちょっとわからないですね(笑)。例えば殺人鬼の役を演じる時に、ナイフを持ってガーッと殺しに行くのか、猟奇的にフラフラしながら近づいていくのかで、体の使い方が違います。それをコントロールする。自分の中でどちらか片方のイメージしかなかった時に、体の使い方を逆にしてみたらどうなるんだろうなって、考えてやってみると、今までにない動きが見えてくるんです。
●作品の稽古以外に、自主的にお芝居の勉強をしようと思われたきっかけはありますか?
ほさかようさんの演出作品に何回か出させてもらって、けっこうしごかれたことかな。すごく厳しかったんですけど、基礎的なところから叩き直してくれました。周りにもお芝居のうまい先輩方がたくさんいて、いろいろ教えていただいて知識量が増えて、知れば知るほど「好き」が増えていった気がします。好きだから、もっと知りたいという気持ちになって、どんなところで勉強ができるのか調べたり、人に聞いたりして、取り組んでいます。
●2年前にフリーになりました。不安はなかったですか?
不安はなかったです。「変化したいなあ」って思っていて「その先がどうなってもいいや。自分が思う方向に変化した結果、失敗になってもいいや!」って気持ちだったんですよ。投げやりな感じじゃなくて、どうなるのか楽しみだなあと思っていました。
ありがたいことにいくつもの舞台に立たせていただきました。2021年からは、ミュージカル『刀剣乱舞』に出させていただいて、殺陣、歌、ダンス、芝居とやることが多かったので、あらためて勉強する時間になりました。
●そうやって積んできたものをこの作品で発揮されるのですね。
そうですね。『ON AIR 〜この音を君に〜』は、地方のFMラジオ局を軸に、人に寄り添うことのできるラジオの特性がクローズアップされる話です。僕が演じるのはラジオをあまり聞いていない高校生で、主人公・桜木 真(演:室 龍太)と出会って、ラジオの魅力を通じて、人との関わり方が変わっていく役です。
ラジオに影響を受けて変わっていく、成長するっていう部分は、僕もお芝居に影響受けて変わったところがあるので、共感できます。僕、もともと人前に出たくない人間だったんですよ。高校の時に転校したんですけど、転校する時って前に出てお別れの挨拶とかするじゃないですか。それがめちゃ苦手でした。コロナ禍で最近はやらないですけど、舞台の打ち上げの時に一人ずつ挨拶するのとかもいまだに苦手。本番より緊張します。でも舞台では全然平気なんです。お芝居のおかげで変われた部分があるんじゃないかと思います。
●楽しみにしていることは?
稽古はこれからなんですが(取材は4月)、室(龍太)さんとのお芝居はすごく楽しみです。関西トークをしつつ、仲良くさせていただけたらと思っています。心温まる作品になると思います。ぜひ楽しみに劇場に来ていただけたらうれしいです。よろしくお願いします。
[公演情報]
東京 7月28日(木)~8月7日(日)新国立劇場 小劇場
京都 8月13日(土)~8月14日(日)京都劇場
作・演出:宇田 学
原案:田中 渉
出演:室 龍太 新内眞衣 小西成弥 羽瀬川なぎ 螢 雪次朗 他
公式HP:https://konooto.jp