インタビュー & 特集

「伝えたいことはとてもシンプル」「素直な気持ちでフラッと観に来ていただけたら」瀬戸康史×渡邊圭祐 対談

12月4日(土)、演出家・栗山民也と劇作家・瀬戸山美咲の強力タッグによる新作舞台『彼女を笑う人がいても』が開幕する。稽古が始まったばかりの11月、瀬戸康史さんと渡邊圭祐さんにお話をうかがった。(撮影:増田 慶 文:大原 薫)

INTERVIEW & SPECIAL 2021 12/4 UPDATE

──『彼女を笑う人がいても』顔合わせと本読み稽古があったとのことですが、いかがでしたか?
瀬戸 共演のみなさんの声を聞いてわかったところも多かったなと思いました。あらためて会話だけで成り立たせなければいけない作品なんだと感じました。
渡邊 僕もなんとなくの雰囲気はつかめたので、これからどんどん作っていく中で、それぞれが持っている言葉の役割をきちんと構築していければと思います。
──台本を読んだ印象は?
瀬戸 安保闘争が題材になっている話で、台本を読む前は「ちょっと難しい話なのかな」というイメージだったんです。でも、実際はそうではなくて。
渡邊 やっぱり僕らの世代からすると安保闘争や学生運動から縁遠い時代を生きてきたので。今回は演劇で受け取れるのがいいところかなと思っていたんです。でも、実際の台本を読んだら、登場人物の台詞がとてもストレートで観ている人にも刺さりやすい気がしています。
瀬戸 そう、言おうとしていることや伝えようとしていることはとてもわかりやすい台本なんだなあと思いました。
渡邊 解釈が難しいというところがなくて、すっと入り込める作品になっている気がします。
瀬戸 安保闘争があった1960年と2021年の場面が交互に出てくるんですが、僕は現代では高木伊知哉、1960年は伊知哉の祖父にあたる高木吾郎を演じます。二人に共通しているのは新聞記者だということ。いろいろなものと闘いながらも物事の真実はどこにあるのだろうと探していく人たちなんです。
渡邊 僕は現代の場面では瀬戸さんが演じる伊知哉の後輩にあたる矢船聡太、1960年の場面では大学生の松木孝司を演じます。この作品は瀬戸さんが演じる伊知哉や吾郎と登場人物たちとの会話からいろいろなことが明らかになっていくんですが、僕が演じる現代の役(矢船)はその部分を担わない役。とても今っぽいというか、お客様の目線に立っているキャラクターなのかなと思っています。
──お二人の年代からすると安保闘争は遠いものかなと思いますが、どうやってアプローチしようとなさっていますか?
瀬戸 そのとき実際に起こったことを本で読んだりして調べました。学生運動ってみんなが「やろうぜ、やろうぜ」とすごいエネルギーを発散しているイメージじゃないですか(笑)。でも、瀬戸山さんの台本を読むと、なんとなく参加している人もいるんです。みんながみんな、強い信念を持ってやっているわけではないというか。そういう意味では今の時代とはまったく別のものではない気がして、僕にとっても学生運動が身近に感じられました。
渡邊 僕が演じる松木は、学生運動の非合法な活動には批判的で、言葉で解決したいと考える役なんです。60年代安保に対する理解ももちろん必要ですが、稽古でみなさんと声を合わせてみて、この作品の言葉が持つ力を自分の中で解釈して深めていくことが大切かなと思いました。だから、稽古で作り上げていけたらいいのかなと思っています。
瀬戸 そうだね。栗山(民也)さんも「この作品は、言葉で紡いでいく物語」とおっしゃっていたから。派手な演出や豪華なセットが出てくる感じでなく、会話で成立する物語。だから、言葉が大事になるんじゃないかなと思います。
──この作品でどんなメッセージが届けられたらよいと思いますか。
渡邊 「声なき声」というか、それぞれの意見をどう反映させていくのか。大人になっていくと「声が届かなくても仕方ない」と諦めてしまいがちかもしれないけれど、果たしてそれでいいのかどうか。自分の心の中から出てくる声を大切にしようという気持ちになってもらえたらうれしいです。
瀬戸 現代でも過去でも、僕が演じる二役は上司とぶつかるシーンが結構あるんですが、上司の言っていることもわかるんです。伊知哉・吾郎も上司も、どちらの気持ちもよくわかるというか。大事なのは自分がその物事についてどう考えるかということ。世の中に流されたり、偉い人の言うことを聞いたりしていれば楽に生きられるじゃないですか。でも、それで本当にいいの?と思うんです。何事においても「自分の考えはこうだ」というものを持っていたいと僕は思っていて。自分の考えを大事にしないといけないというメッセージが伝えられたらと思いますね。
渡邊 メッセージがとてもストレートだと思うので、60年安保がどうこうということでなく素直な気持ちでフラッと観に来ていただけたら、刺さるものが多いと思うんです。どの年代の方が観ても心に来るものがあると思うので、そこは肩に力を入れずに観に来ていただけたらと思います。
瀬戸 難しいテーマではあるけれど、本当に伝えたいことはとてもシンプルだと思う。観に来ていただければ、何か持って帰っていただけるものがあると思うので、構えずに観に来ていただきたいなと思います。

インタビューの全文は12月8日発売の『omoshii press』vol.17でご覧いただけます。
『彼女を笑う人がいても』は12月4日より東京・世田谷パブリックシアターにて上演。福岡、愛知、兵庫もあります。詳しくは下記公式サイトまで。
https://setagaya-pt.jp/


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