インタビュー & 特集

Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』、劇団☆新感線の地元・大阪で、密度の濃い笑いと深い演劇愛が炸裂! 

4月14日に、約2年ぶりとなる劇団☆新感線の大阪公演が幕を開けた。多くの人に幸せを届けるべく走り出した新シリーズ、Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』。古田新太を筆頭に、阿部サダヲ、浜中文一、西野七瀬、木野花ら11人が、歌あり踊りありの突き抜けたステージを繰り広げ、いくつものオマージュを織り込んだ笑いと、深い演劇愛を届けた。(舞台写真撮影/田中亜紀 文/小野寺亜紀)

INTERVIEW & SPECIAL 2021 4/20 UPDATE

ズン、ダン、ズン、ダン、と劇場に響き渡る重低音ロック。劇団☆新感線(以下、新感線)のいつもと変わらないオープニングを体感しながら、『けむりの軍団』以来の大阪公演という事実にちょっと胸が熱くなる。

前作とはコロナ禍で世の中の状況がすっかり変わってしまったが、新感線のオモシロと本物のエンターテインメントを追求する姿勢は変わらない。いくつもの光の帯が芸術的に交錯、数々の作り込まれた小道具や衣装を身につけ、不思議に意味がつながるオカシイ歌詞のナンバーを古田新太や阿部サダヲが熱唱。それを受け、客席のある婦人は席からずり落ちながら笑い、観客一体となって声には出せない興奮をイエローに光る公式ペンライトを振って演者に届ける。このカオス! ゴージャスな劇空間で無邪気に遊ぶ、新感線ならではの世界観がたまらない。

 

2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』は、通常の100人規模のカンパニーから、少人数での興行に方向転換して中島かずきが書き下ろした新作。『花の紅天狗』(1996年・2003年上演)にも登場した強烈なキャラクター・月影花之丞を軸に、11人のキャストが躍動する舞台が、2月26日の初日から1か月以上の東京公演を経て、いよいよ新感線の地元・大阪にやって来た。

舞台は「劇団月影花之丞」の稽古場。座長の月影花之丞(木野花)が、超ハイテンションの指導で劇団員たちを叱咤。ベテラン役者風の塾頭剛太郎(古田新太)や元トップ女優の水林星美(西野七瀬)、保険外交員なのに芝居に参加している東影郎(阿部サダヲ)ら新人たちや、古参劇団員(河野まさと、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁)らを破天荒なやり方で演出している。

さらにインターポール捜査官のモスコウィッツ北見(浜中文一)は、塾頭が国際的な殺し屋“イレイザー”という秘密情報をキャッチし、入団を装い劇団に潜入。それぞれ思惑があるなか、荒唐無稽な芝居の稽古が続き、のちに水面下で進行していた暗殺計画が明るみになっていく。

会見で古田が「7割は劇中劇」と話していた通り、見覚えがあるような時代劇で古田と阿部が立ち回りを見せれば、滑稽なキャラクターの登場で物語はSFへ振り切っていく、というように予測不可能な劇が本番さながらに続く。歌や踊り、的確なSE、映像とのシンクロ。あらゆる手法を使って笑いを盛り上げる技は、まさにプロフェッショナル。舞台中盤には、「あの名作アニメがそうくる!?」と心の中でつっこみながら、全身全霊でハードな物語を演じる役者たちに笑いもだえる。

古田のキレのある殺陣と美声、阿部の柔軟な身体表現と愛嬌も、出し惜しみなく見せる贅沢な展開。二人のエチュードや歌の掛け合いは最強。終盤の見得をきっての決め台詞は、場面が脳裏によみがえりさすがにしびれる。

また、新感線初参加の西野七瀬は、元乃木坂46という経歴を活かした“可愛すぎる”キャラクターで、月影花之丞の劇団員たちを翻弄。艶のある歌声や、振り幅のある芝居で変化球を次々と投げてゆく。

ミュージカル『50Shades! ~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』の演技が、演出家・いのうえひでのりの目に留まり、念願の新感線参加となったジャニーズ事務所所属の浜中文一。歌に踊りに確かな実力を見せ、劇画的な芝居を自分のものにして、突き抜けた魅力を増大させていた。

新感線の劇団員6名も八面六臂の活躍。村木よし子のラスボス感、庶民とアイドルを自由に行き来する山本カナコら女優陣のオールマイティな実力と、河野まさと、村木仁の巧みな抜け感が、“劇団”のリアルな一体感を引き出していた。

そして最初の登場から、張りのある発声で観客を惹きつけた木野花。あの宣伝ビジュアルを裏切らないインパクトで釘付けにする。鋭い眼力、18年前よりも若返ったようなパワフルさはどこからくるのか。木野自身、80年代の小劇場ブームを牽引し、今も活躍を続ける根っから演劇人だけに、ラストの演劇愛に満ちた台詞は深く心に響く。こんな無謀に突っ走る座長がいたら大迷惑かもしれないけど、いざとなったら窮地を救ってくれるのではないかと――。まさに芝居魂が人生を大逆転させる!

劇中、何度も揺れたペンライトは、ときに控えめだったり、ノリノリだったりと様々。でもカーテンコールではスタンディングオベーションで、笑いに溢れた舞台への感動を表す観客に、キャストは誰も声を発さず、舞台奥の「本日はご来場誠にありがとうございました」という映像メッセージに想いを込め、手を振り続ける。言葉はなくても、温かい空気が劇場を包んだ。

[公演データ]
2021年劇団☆新感線41周年春興行
Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』
※タイトルのYellowと新感線の間は雷マーク

2021年2月26日(金)~4月4日(日) 東京建物Brillia HALL
2021年4月14日(水)~5月10日(月) オリックス劇場

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太 阿部サダヲ/浜中文一 西野七瀬
河野まさと 村木よし子 山本カナコ 中谷さとみ 保坂エマ 村木仁/木野花

公式サイト:http://www.vi-shinkansen.co.jp/yellow/


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