インタビュー & 特集

日本と韓国を代表するミュージカル女優の初顔合わせ!――『デスノート THE MUSICAL』濱田めぐみさん&パク・ヘナさんインタビュー

「このノートに名前を書いたら、死ぬ」。デスノートを手にした高校生、夜神 月を主人公とした大ヒット漫画『DEATH NOTE』をミュージカル化した『デスノート THE MUSICAL』。2015年の初演、2017年の再演に続き、2020年1月より、異例のオール新キャストで上演されます。死神・レム役には韓国版『デスノートTHE MUSICAL』で同役を演じたパク・ヘナさんが日本語で演じることでも話題を集めています。日本版初演キャストの濱田めぐみさんとパク・ヘナさんの合同取材会が行われました。日本版、そして韓国版『デスノート』初演・再演とも観劇している筆者がお二人の対談の模様をお届けします!(取材・文/大原 薫、撮影/藤田亜弓)

INTERVIEW & SPECIAL 2020 1/16 UPDATE

『ウィキッド』『フランケンシュタイン』
同じ役を演じてきた二人

――パク・ヘナさんが日本での出演を決めた理由は?

パク・ヘナ レムの役をもう一度演じたいと思いましたし、日本で舞台に立つ機会があるのも嬉しいことだったので、躊躇する理由は何一つなかったです。そのときは大変さは何も知らなかったけれど(笑)、でも心配なことよりも楽しみなことが多いから、日本で演じられてよかったなと思います。

――パク・ヘナさんが演じる前に濱田さんが演じているレムは観ましたか?

パク 映像でしか観られてないのですが、本当に素晴らしかったです。

濱田めぐみ 嬉しい!(笑)

――韓国の初演・再演と拝見しましたが、パクさんは豊かな情感あふれるレムを演じていらっしゃいました。濱田さんとは異なりながら、それぞれにとてもレムらしいレム像を創り上げていらっしゃったのが素晴らしかったなと思います(※筆者よりの質問)。

パク 全部観られたということは、『デスノート』の本当のファンでいらっしゃるんですね(笑)。そう言っていただけて嬉しいです。

濱田 韓国版は日本と同じ演出(栗山民也)とセットで演じると聞いたので、韓国人キャストの方は既に創り上げられたものを演じるということで大変じゃないかなと思ったんです。でも、韓国でヘナさんが演じるレムを観たとき、自分が思い描いているレムと根幹が一緒だと感じたんですね。きっと、似た何かを持っているんだろうなと思って。今日初めて会ったんですけど、初めての気がしないんです。

――『ウィキッド』のエルファバ役や『フランケンシュタイン』のエレン/エヴァ役など、同じ役をやっていらっしゃるお二人ですから。

濱田 ねえ、似ているのかもね。

パク そうですよね、雰囲気が似ているし、背も同じくらい。

濱田 声質とか、持っているものが似ているのかな。

パク めぐみさんはパワーが必要な役が多いですか?

濱田 そうね、『ウィキッド』のエルファバや(『アイーダ』の)アイーダとか、パワーが必要な役を振られることが多いかも。

パク 私もそうなんですよ。

初演時、ワイルドホーンと創り上げた『愚かな愛』
チャレンジが二つあった(濱田めぐみ)

――濱田さんが韓国でパクさんのレムをご覧になった印象は?

濱田 私は韓国版のリューク(カン・ホンソク)とも(『デスノート』スペシャルコンサートで)ご一緒したことがあるんですよ。彼女のレムが凛としたリュークと対になっていて、二人が真逆の色味を出しているのが際立っていましたね。いいバランスだなと思いました。

――拘束された弥 海砂(あまね・みさ)を「助けてあげたい」と歌う『愚かな愛』など、歌唱力も演技力も必要なナンバーを歌いますが、心がけていることは?

パク 体を作ったり運動したり、事前準備をしておかないといけないですよね。でも、その場面になったら一切何も気にせず、その役に集中する。違いますか?

濱田 そのとおりですよ。私の場合は、その日のミサとの関係性がどうであるかで、歌い出しの「助けてあげたい」の「た」の音が決まってくる。幕開きからそこまでずっとメンタルの準備時間が必要かなと思うんです。

――難曲で知られるフランク・ワイルドホーンの楽曲を歌うのはいかがですか?

濱田 『デスノート』は初演で一から創り上げたというのがあって、『愚かな愛』に関してはチャレンジする点が二点あったんです。一つは、フランクから「ポップスっぽく、パッションで歌ってほしい」というオーダーがあったんですが、私にはそれが「日本人の心理に受け入れられるだろうか?」という疑問があって。フランクと話し合って、歌わずに語るところから始まるというスタイルをとったんです。もう一つは、最初にできてきた日本語歌詞がレムの心情を客観的に描いたものだったんですが、それを主観的なものに変更して。「なんとかしてミサを助けたい、自分の中に込み上げてくる気持ちは何だろう?」と思いながら、最終的にミサのために自分の身を投げるという軸で歌い上げるという完成形に至ったんです。

パク ワイルドホーンの楽曲は美しいですから、歌いたいという気持ちが先行します。でも、難しいですね。

濱田 今回は韓国で演じた彼女が日本でレムを演じるというのがチャレンジでワクワクする反面、言葉の問題もあるから大変だろうなと思って。

パク 母国語ではない日本語で歌うのは難しい。ただ、いいこともあるんですよ。今回全員新キャストなのに、私だけ『デスノート』を経験しているんです。

濱田 本当だ(笑)! 気づかなかった。

パク だから、時間が稼げました。言葉の問題は一つ一つ解決していっています。ちょっとしたところでも「これは合ってる?」「違う?」って。昨日も「まだ時間はある」(というレムの台詞)に苦労してたら、(リューク役の)横田(栄司)さんが「日本語は難しいよね」とフォローしてくれて。

濱田 でも、発音がすごくいいですよね。

パク 嬉しい! 「まだ時間はある」から、頑張ります!

レムを演じていると、いろんな感情が生まれてくる
でも、それが何かは考えない
私が発している単語と息が感情だと思うから(パク・ヘナ)

――レムのキャラクターをどう捉えていますか? 『愚かな愛』の場面で十字架に架けられたように見えるミサの足元に口づけるレムに、無償の愛を感じました。(※筆者よりの質問)

パク レムから学ぶことが多いです。レムは自分の命を投げ打って人を助けますよね。私だったらできるかなあって思うんです。一番人間として重要なものは愛なんだなと思います。ここは、(十字架に架けられた)キリストとマリアを描いた「ピエタ」の絵を元に作ったシーンだと聞いています。

濱田 そうそう。

パク 私はクリスチャンなので、本当に涙がこぼれ落ちました。でも、実際に歌うときに(前屈みの)体勢が歌いにくくて「助けてー」って(笑)。

濱田 実は、私も同じ悩みだった(笑)。

パク 本当?

濱田 そうそう。この体勢で歌うのがきついから、「上体を起こしてから歌ってもいいですか?」と栗山さんに何度も聞いたら「ノー」と言われたんです。今、ヘナさんが言ったように、「十字架にかかったキリストの足にキスをするマリアを形として見せたいから」と言われて、「わかりました」と。この人のために自分の身を投げ出そうと思うとき、演じている我々は人間だから、いろんな生理現象が起きるんですよ。震えが起きたり、涙が出たり、しびれたり。でも、そんな肉体が邪魔だと思えるくらい、いろんな感情が生まれてきて。(唯月)ふうかが演じるミサの目隠しの下から涙がツーって流れるのを見ると、毎回、予期せぬ感情が駆け巡ってくるんです。自分でも「何だ、これは」と思うような思いになって。私も本当にレムから勉強させてもらいましたね。

パク めぐみさんが今おっしゃったように、いろんな感情が生まれてきますね。でも、私はそれが何かは考えない。今、私が発している単語と息が感情だと思うから、それが何かということだけを正確に感じようとするんです。

――最後に、今日の対談でお互いに感じたことを教えてください。

パク 人生、本当に感謝だなと感じています。敏感な話題ですけれども、日韓間のよくない感情というものもあるかもしれません。でも、今私が日本人の共演者たちとお会いして、一緒に『デスノート』という作品のために汗を流していることが本当に貴重で大事なものだなと思っています。今日、めぐみさんとお会いできて本当に嬉しいですし、パワーをいただきました。私と同様、ほかの役者さんもめぐみさんから力をもらっていると思います。

濱田 そうかな?(笑)

パク はい! お会いできて本当に良かったです。私からも応援しています!

濱田 ありがとう! ヘナさんは物怖じしないし、垣根もないから、どこでも受け入れられる人なんだと思います。環境を変えて、いろんな経験を積むともっともっと大きくなっていく方なんだろうなと思いますね。

パク かしこまりました。一生懸命、頑張ります。

濱田 もう、そのままで十分、大丈夫よ!

パク はい(笑)、ありがとうございます。

濱田めぐみ(はまだ・めぐみ)
1972年生まれ、福岡県出身。音楽座に在籍したのち、『美女と野獣』ベル役でデビューし2010年まで劇団四季に所属。『アイーダ』、『ウィキッド』などで日本初演キャストを務めた。主な出演作に『サンセット大通り』、『スコット&ゼルダ』、『メリー・ポピンズ』など多数。1月7日~2月2日まで日比谷シアタークリエにて『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』に出演中。

パク・ヘナ
1982年生まれ、ソウル出身。2006年にミュージカル『ミスターマウス』でデビュー。2013年韓国初上演の『ウィキッド』にて、オーディションに合格しエルファバ役を演じた。主な出演作に『フランケンシュタイン』、『キング・アーサー』など多数。ディズニー映画『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』韓国版にてエルサ役(シングボイス)をつとめる。

【公演情報】
『デスノート THE MUSICAL』
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
作詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
出演:村井良大、甲斐翔真、髙橋颯、吉柳咲良、西田ひらり、パク・ヘナ、横田栄司、今井清隆/川口竜也、小原悠輝、金子大介、鎌田誠樹、上條駿、長尾哲平、廣瀬真平、藤田宏樹、本多釈人、松谷嵐、渡辺崇人、石丸椎菜、大内唯、コリ伽路、華花、濵平奈津美、妃白ゆあ、町屋美咲、湊陽奈、森莉那
【東京公演】2020年1月20日(月)~2月9日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【静岡公演】2020年2月22日(土)~23日(日) 清水マリナート
【大阪公演】2020年2月29日(土)~3月1日(日)梅田芸術劇場 メインホール
【福岡公演】2020年3月6日(金)~8日(日)博多座
※詳細はhttps://horipro-stage.jp/stage/deathnote2020/をご覧ください。


©大場つぐみ・小畑健/集英社
撮影:萩庭桂太


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