インタビュー & 特集

『渦が森団地の眠れない子たち』稽古場で火花散る!? 藤原竜也さん×鈴木亮平さん×蓬莱竜太さん

藤原竜也と鈴木亮平、人気実力ともに注目を集め続ける同級生コンビの二人が10年ぶりに舞台で共演する。演じるのはなんと、同じ団地に住む小学生。気鋭の劇作家、蓬莱竜太による書き下ろし作は“団地大河ドラマ”と銘打たれている。9月某日に行われた本読み稽古の模様と共に、ダブル主演の二人と作・演出を手がける蓬莱竜太に、作品にかける意気込みや見どころを聞いた。(取材・文/栗原晶子、稽古場撮影/藤田亜弓、2ショット撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL 2019 10/2 UPDATE

稽古場にコの字に配置されたテーブルと椅子、向かい合う席に、佐山鉄志役を演じる藤原竜也と、田口圭一郎役を演じる鈴木亮平が陣取っている。二人の役は同じ団地に住む小学生。陣取るという表現がピッタリくる通り、藤原の横には、子分のような同級生役の役者たちが並ぶ。
鈴木の横には、妹や彼を慕う仲間たち。中央には母親役の奥貫薫、団地に住む老人役の木場勝己らベテランが構えている。

舞台『渦が森団地の眠れない子たち』は、圭一郎のモノローグから始まる。本読み稽古がスタートしてまだ数回というこの日、鈴木はすでに台本から目を離し、空を見ながら静かに語り出した。
対する鉄志は、同級生に自分をキングと呼ばせるキャラクターの通り、子どもらしく無邪気に、子どもらしく残酷に仲間を挑発する。藤原は顔を紅潮させながらセリフをまくし立てる。静と動、その対比をくっきりと見せながら、本読みは続いていく。
演出家やほかの演者たちから時折、笑みがこぼれるのは、同じく小学生に扮する役者たちの力演だ。半べそをかいたり、お調子者よろしく相槌を打つ演技がギラリと光る。本作は、出演者に小劇場でも活躍する個性派をずらりと揃えた点も注目されている。
奥貫のミステリアスな存在からも目が離せない。そして目が離せないと言えば、ベテランの木場だ。それまで皆、自身の台本に目を落とすか、どことはなしに目線を置いていた役者たちが、木場の声色を聞いて一斉に視線を向けるシーンがあった。本読み稽古ならではの緊張感と、役者たちの熱量の高まりが感じられた一コマだった。
二幕に入ると物語にはさらに歪みが加わっていく。仲間たちの関係性もジワリジワリと変化を見せ、阪神淡路大震災後の渦が森団地の存在もまた、子どもや大人に歪みを生んでいく、これぞ蓬莱ワールド全開のストーリー。藤原竜也、鈴木亮平の両名が小学生を演じると聞けば、一見、ユーモラスで微笑ましいシーンを想像していくであろう観客に、さまざまな衝撃を与えてくれることは間違いないだろう。本番がますます楽しみだ。

ほかの演者さんの声を聞いて
自分の役が理解出来ていく(藤原)

藤原と蓬莱の出会いは、2013年に上演された『木の上の軍隊』。それを機に「何か面白いものをいつか……」という思いから今作の企画・上演に至った。鈴木を交えた3人での食事会では、藤原が暮らしていた団地でのエピソードもたっぷり話したというが、果たしてそれは脚本に生かされているのだろうか。藤原は、本読みを通じて自身の役についてこんな気づきを得たという。

藤原 「当初は攻撃的で周りをかき乱し、自由奔放に描かれているという印象でしたが、母親や圭一郎の存在で、弱さや優しさが入った鉄志が成長していく過程が描かれているなと感じています。全体のストーリーやほかの演者さんの声を聞いて自分の役が少しずつ理解出来てきたという印象です」

 

蓬莱作品は想像の余地を残してくれる
台詞や演出が魅力(鈴木)

兵庫県西宮出身の鈴木は、神戸育ちの蓬莱とは、地元が近く年齢も近いことから、プロットを読んだ段階で、時代や世界観は共有しているような気がすると語っていたが、本を読んだ上で直面したのはこうだ。

鈴木 「圭一郎は自分に似てると思う点が多いですね。自分は明るい子どもでしたけど、役の中にある彼の内向的な部分は似ています。だから自分の子ども時代とちゃんと向き合わなきゃ出来ない役になっているなと思います。それは、自分の中に封印してきたことを突き付けられるような気がして、演じやすいけれどキツイなとも思いますね」

二人に当て書きをした蓬莱は語る。
蓬莱 「二人は団地の中のライバルで、役者としてもライバルという関係性。時には近づき、時には離れ、時には戦う。そういった点でお客さまに、その醍醐味を見てもらいたいなと作ってきました。想像以上に見ごたえのあるものになるなと強く思っています」

藤原は以前のインタビューで、蓬莱作品について、「物語の作り方が非常に優れていて、常に観客に対して変化球なんだけれど強く訴えかけるメッセージを与えてくれる、若手作家の中でも貴重な存在」だと語っていたが、今回の物語に出てくる鉄志は、たまに一緒に酒を飲むときに見ている藤原に似ているそうだ。
蓬莱 「僕が知っている竜也くんをエンターテインメントとして出したいなと思ったんです。子どもっぽい面白さが彼には時々あるから。その対比として亮平くんの存在があります。彼から醸し出される誠実性、でもそれを持ちながら小さな罪を犯していってしまう役を演じてもらうのは面白いんじゃないかと思いました」

蓬莱作品については、鈴木もまた、「ただ伝えたいことをはっきりわかりやすく見せるんじゃなくて、その一歩手前で想像の余地を残してくれる台詞や演出があって、そのバランスがすばらしい」と語っており、強い期待と信頼関係は、稽古前からすでに生まれているようだ。
蓬莱の演出についてもこう続けた。

鈴木 「映像と違って、舞台は作家と演出家にきちんと染まる時間があるから、そこで新しい自分を発見したいなと思っています。人間関係の洞察力が面白くて、緻密な蓬莱演出に心から染まりたい」

藤原 「演出家が作家である場合、答えを持っているわけだから、稽古場はすごく新鮮で嬉しいですよ。でもその答えは役者が感じることなのか、その辺りも試されている気がしておもしろいですよね」

 

このカンパニーなら演劇として
新しい事件を起こせるかもしれない(蓬莱)

小劇場出身の役者が多い今回のカンパニーについても三者はこう語ってくれた。

藤原 「小劇場も大きな舞台も関係なく一つの稽古から作りあげていくので、皆さんと同様、僕も亮平も必死に食らいついていきます。それがいい相乗効果になればと思ってます。彼らも本気でこの本に向き合ってくれるので、うまくやれるんじゃないかなと思います」

鈴木 「脚本が面白い上に、こんなに面白いメンバーとやれるのは、非常に幸せな経験です。僕のお気に入りのキャラクターは、デンジャー(宮崎敏行)と楓(田原靖子)。個人的に好みですね。ずっとこの人とのやりとりを見ていたい、と思ってます。こんなに上手い人たちなのにまだまだ世の中に知られてないのはもったいない。観に来てくださった人に、あの人誰?って検索してもらえたら、この舞台の大きな意味が一つ出来るのかなとも感じています」

蓬莱 「世代が近い人たちが集まって一つの芝居を作るっていうのは、すごく意味があることだと思う。それができる環境の幸せを最大限作品に還元したいですね。それは彼らにとってもチャンスだし、この芝居が終わるころには垣根なく普通の演劇仲間としてきちんと交流ができるカンパニーになれば、演劇として新しい事件が起きるのかもしれないと思ってます」

団地に暮らしていた蓬莱曰く、同じ間取りの部屋に住んで、同じ経済事情なのに、そこで上下を競うという子どもたちのむき出しの闘争が始まる。子どもは大人と違ってさかのぼって簡単に謝罪をする術をもたない。嘘をついたら突き続ける、それがエンターテインメントになる。
裏切りや転落、渦のような展開は、団地住まいを経験したことがない大人でも通じるものがあるという。
演者も観客も、かつては子どもだった。団地大河ドラマに大いなる期待と、少しのざわめきを携えて劇場に足を運びたい。

○公演情報
『渦が森団地の眠れない子たち』

作・演出 : 蓬莱竜太
出演:藤原竜也 鈴木亮平
奥貫 薫 木場勝己

岩瀬 亮 蒲野紳之助 辰巳智秋 林 大貴 宮崎敏行 青山美郷 伊東沙保 太田緑ロランス 田原靖子 傳田うに

<東京公演>
2019年10月4日(金)~20日(日)新国立劇場 中劇場
お問い合わせ:ホリプロチケットセンター
TEL:03-3490-4949(平日10:00〜18:00/土10:00〜13:00)

<鳥栖公演>
2019年10月26日(土)、27日(日)鳥栖市民文化会館 大ホール
お問い合わせ:インプレサリオ
TEL:092-985-8955(平日10:00~18:00)

<大阪公演>
2019年10月29日(火)、30日(水)森ノ宮ピロティホール
お問い合わせ:キョードーインフォメーション
TEL:0570-200-888(10:00~18:00)

<名古屋公演>
2019年11月1日(金)~4日(月祝)御園座
お問い合わせ:御園座
TEL:052-222-8222(10:00~18:00)

<広島公演>
2019年11月7日(木)~8日(金)JMSアステールプラザ大ホール
お問い合わせ:テレビ新広島
TEL:082-253-1010(平日10:00~18:00)

<仙台公演>
2019年11月16日(土)、17日(日)多賀城市民会館 大ホール(多賀城市文化センター内)
お問い合わせ:仙台放送
TEL:022-268-2174(平日9:30~17:30)


○プロフィール
藤原竜也(ふじわらたつや)
1982年、埼玉県出身。1997年、蜷川幸雄に見出され『身毒丸』の主役オーディションに合格し、ロンドンで初舞台を踏む。以来、舞台、映画、テレビドラマ、CM等で幅広く活躍。舞台の近作に『アテネのタイモン』(17年/吉田鋼太郎演出)、『レインマン』(18年/松井周演出)、『プラトーノフ』(19年/森新太郎演出)等。2019年に映画『Diner ダイナー』(蜷川実花監督)が公開。2020年に『カイジ ファイナルゲーム』(佐藤東弥監督)、が公開、『太陽は動かない』(羽住英一郎監督)の映画&連続ドラマ化が決定している。

鈴木亮平(すずきりょうへい)
1983年、兵庫県出身。2007年『椿三十郎』で映画デビュー。2018年NHK大河ドラマ『西郷どん』では西郷隆盛役で主演を務めた。近年の出演作に、映画『TOKYO TRIBE』(14/園子温監督)、『俺物語!!』(15/河合勇人監督)、『海賊と呼ばれた男』(16/山﨑貴監督)、『忍びの国』(17/中村義洋監督)、『羊と鋼の森』(18/橋本光二郎監督)、ドラマ『花子とアン』(14/NHK)、『天皇の料理番』(15/TBS)、『宮沢賢治の食卓』(17/WOWOW)、舞台『ライ王のテラス』(16/宮本亜門演出)、『トロイ戦争は起こらない』(17/栗山民也演出)等。2019年に映画『ひとよ 一夜』(白石和彌監督)、2020年に『燃えよ剣』(原田眞人監督)が公開予定。

蓬莱竜太(ほうらいりゅうた)劇作家・演出家
石川県立羽咋工業高等学校デザイン科卒業。高校時代に担任教師から半ば強制的に演劇部入りを命じられて芝居作りの楽しさに目覚め、上京後の1996年3月舞台芸術学院演劇科本科卒業。舞台芸術学院の同期生・西條義将(主宰)と劇団モダンスイマーズを1999年に旗揚げ。以降、モダンスイマーズ全公演の作・演出を手がけながら舞台版『世界の中心で、愛をさけぶ』や舞台版『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』などの話題作を担当し、骨太な筆致から若手劇作家として各方面から注目を浴びる。


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