インタビュー & 特集

「斗真の二面性をちゃんと活かせられる芝居に」いのうえひでのりさん×生田斗真さん

IHIステージアラウンド東京で約2年にわたる前代未聞の公演に挑んだ劇団☆新感線が、2019年、3年ぶりの劇団本公演を敢行。旗揚げ39周年にあたり“サンキュー興行”と銘打ち、いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』が3月大阪よりスタートします。年をまたいで2020年にも上演される完全新作で、いのうえ歌舞伎初主演を果たす生田斗真さん、演出家いのうえひでのりさんにお話を伺いました。

(取材・文/小野寺亜紀)

INTERVIEW & SPECIAL 2019 1/24 UPDATE

2017年春から2018年末まで、観客席が360度回転するIHIステージアラウンド東京で、異例のロングラン公演に挑んだ劇団☆新感線。いのうえひでのりさんは「シャバに出る気分」、と冗談を交えながら、2019年春に大阪・金沢・松本にて、2020年に東京・福岡にて上演される今作への意気込みを語りました。

いのうえ “回転”から離れてのリスタートという意味では、やっぱりいのうえ歌舞伎だろうと。『蒼の乱』(2014年)以来、久しぶりに中島(かずき)くんが書く王道のいのうえ歌舞伎です。少年漫画でありファンタジーであり、スペクタクルな“ザ・活劇”“ザ・新感線”。『髑髏城の七人』や『メタルマクベス』と再演ばかりだったので、久しぶりの新作は作るほうもすごい楽しみです。

主演は新感線に4度目の出演となる生田斗真さん。2016年の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』ではヴィジュアル系バンドのヴォーカリストで実は吸血鬼、という役で弾けた芝居も見せた彼が、さまざまな伝説に彩られた源義経ならぬ、偽義経を演じます

生田 Vamp Bamboo-』のときに、いのうえさんから『次は斗真でいのうえ歌舞伎をやりたい』と言っていただきました。ケレン味に溢れ、格好良さとバカバカしさと運動会並みのアクションがある、いのうえ歌舞伎らしい作品なので大変ですが、大阪から始まるこの公演は新感線にとっても意味があると感じるし、まずは大阪のお客様に公演を育ててもらえたらと思います。

僕が初めて新感線の舞台に出演させてもらったのが17歳のとき(2002年『スサノオ~神の剣の物語』)。それまで演劇に関わっていなかったので、ヒヨコが最初に目に入ったものを親だと思うような感覚でした。

いのうえ これが演劇だと()

生田 いのうえさんや新感線の皆さんに、『つっこみは大きな声で!』とか教えてもらいました。自分の核となるものを作ってもらったのは新感線だなと思います。前回、10年ぶりの新感線で、待ちに待った出演だったのですごく嬉しかったですね。

高校生のときから新感線の皆さんと仲良くさせてもらい、自分自身歳を重ねているんだけど、その関係性ってあんまり変わらないんですよ。いのうえさんも劇団員さんも僕のこと、まだ高2だと思ってるんじゃないかな()。その関係性が気持ちいいけど、同時に他の活動でどれぐらいできるようになったんだ、と問われている気もします。一番近くにいる人たちだからこそ、前回は緊張感がありました。

いのうえ Vamp Bamboo-』では頼りがいのある座長ぶりでしたよ。やっぱりいろんな表現の引き出しを持ってるんだなと感じた。まあ今度は立ち回りが、劇団史上1、2を争うぐらい、えげつないほどあるので!

生田 そうなんだ…(苦笑)。

いのうえ 究極の体力が必要なところでの芝居ができる人って、意外といないんですよね。古田(新太)とか、染ちゃん(松本幸四郎)とか、堤(真一)くんとか本当に数少ない。アクションの量が多い、肉体的に追い詰められる役なので、そこは心配でもあり楽しみでもあります。

生田 今、立ち回りの量について初めて聞きましたので()、体力面には本当に気をつけて、大阪では美味しいご飯を食べ、深酒せずまっすぐ帰りたいと思います!

いのうえ これだけアクションが多いと、立ち回りの見せ方をどう変えるかも課題。そういう意味では映画『アベンジャーズ』を目指そうと! あれだけ裏切りがあり、敵対する人物が変わっていっても瞬間では面白いじゃないですか。アクションシーンがずっと続くにも関わらず、複雑な人間関係を見せているという意味では、“義経版アベンジャーズ”になればと思います。

物語は、義経が奥州に匿われていたという史実をベースに、奥州3代の盛衰の行方や義経黄金伝説を絡めたミステリー仕立てのファンタジー。源九郎義経(みなもとのくろうよしつね)を演じる生田さんをはじめ、それぞれへの役者へ当て書きした多彩なキャラクターが交わっていきます。

生田 正義感が強く曲がったことは嫌いな青年の役です。少し抜けている部分もあるけど、その彼が芝居の中でどう変わっていくのかということも、ひとつの見どころだと思います。

いのうえ 今回ネタものではないけれど、新感線のキャラクターは普通じゃない、どこか壊れていたり面白かったりするので、斗真のそういうキャラクター面も出てくると思います。斗真は黙っているとクールなんですが、普段喋ったり芝居していると、明るくてバカみたいなところがあるんですよ。

生田 ハハハハ()

いのうえ そういう二面性をちゃんと活かせられる芝居になるのではと思います。ストーリー的な見どころを言うと、ほんとネタばれになってしまうので…! まあ、彼が義経を名乗り、兄の頼朝とかと対峙し戦乱に巻き込まれていくなかで、どう変化していくか、というざっくりとしたことしか言えないですね(苦笑)。

生田 23転どころか、45転ぐらいの、結構衝撃な展開ですよね!

いのうえ その偽義経が冥界で歌うんだぜ、みたいな()。こういう規模でチャンバラをやる機会は、今後ないと思うので、ぜひお見逃しのないように。

生田 今、平成最後の新感線(公演)だと気づきました! 光栄です。僕自身にとっても大切な作品になることは間違いないので、ぜひまずは大阪の皆さんに観ていただきたいと思います。

 

【プロフィール】

いのうえ・ひでのり

1960124日生まれ、福岡県出身。演出家・劇団☆新感線主宰。1980年に劇団☆新感線を旗揚げし、エンタテインメント性に優れた様々な舞台を生み出してきた。劇団外でも多くの作品の演出を手がけている。第14回日本演劇協会賞、第9回千田是也賞、第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞、第50回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。

いくた・とうま

1984107日生まれ、北海道出身。1997年、NHK連続テレビ小説『あぐり』で俳優デビュー。以降、テレビ、映画、舞台など多方面で活躍。最近の主な舞台にSHINKANSEN☆RX Vamp Bamboo burn〜ヴァン・バン・バーン〜』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』など。6月に主演舞台『オレステイア』が控えている。

【データ】

2019年劇団☆新感線39(サンキュー)興行・春公演
いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』

作:中島かずき

演出:いのうえひでのり

出演:生田斗真/りょう 中山優馬 藤原さくら/粟根まこと 山内圭哉 早乙女友貴/橋本じゅん(大阪・金沢・松本公演)・三宅弘城(東京・福岡公演)/橋本さとし ほか

◆大阪公演:201938日(金)~321日(木・祝) フェスティバルホール

◆金沢公演:201942日(火)~47日(日) 金沢歌劇座

◆松本公演:2019418日(木)~421日(日) まつもと市民芸術館

チケット一斉発売日/2019127日(日)

20202月に東京公演予定(TBS赤坂ACTシアター) 20204月に福岡公演予定(博多座)

公式HP  http://www.vi-shinkansen.co.jp/niseyoshitsune/


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