インタビュー & 特集

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『コーラスライン』オフィシャルサポーター、真矢ミキさんが思い出を語る!

東京・横浜・浜松・大阪で上演され盛り上がりを見せているブロードウェイミュージカル『コーラスライン』来日公演2018。そのオフィシャルサポーターに任命されているのが真矢ミキさん。現在発売中の『omoshii mag vol.13』でその魅力をかたっていただいていますが、WEBマガジンではさらに深く、お話を伺いました。
(文/小柳照久、撮影/笹井タカマサ)

INTERVIEW & SPECIAL  2018 8/20 UPDATE

ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』のオフィシャルサポーター真矢ミキさん。朝の番組さながらに「真矢ミキです。よろしくお願いします」と自己紹介をしながら登場した彼女に、『コーラスライン』を軸にした宝塚生活の軌跡と、女優としての再スタートへの葛藤、されには舞台の魅力についてタップリ語っていただきました。真矢さんのエネルギーの源は『コーラスライン』にあったこと、ご存知でしたか?

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――真矢さんが『コーラスライン』のオフィシャルサポーターに就任されたキッカケを教えてください。

私がブロードウェイで初めて観たミュージカルが『コーラスライン』だったんです。初演は1975年ですが、私は1985年に宝塚のハワイ公演に参加した後にニューヨークに行きました。「これからはブロードウェイミュージカルの時代だな」と思って、まずは本場を観なきゃなってことで。たった5日間の旅でしたけれども、帰りの飛行機の機内でも高揚しっぱなし、舞台人としての夢を抱いて帰国した記憶があります。とにかく私の中で、『コーラスライン』とニューヨークが結びついて、すごく焼き付いています。ほとんど海外旅行をしたことがない20代のはじめでした。

――かつて『ウェスト・サイド物語』や『回転木馬』などの上演が宝塚でありましたが、翻訳ミュージカルがレパートリーの一つとして日常的に登場するようになるのは80年代以降です。

私がトップの時の1996年にもミュージカル・イヤーというものがありました。雪組と星組は『エリザベート』(雪組公演は日本版初演)、月組は『CAN-CAN』。そして私のいた花組では『ハウ・トゥー・サクシード』というニューヨークを舞台とした軽妙な作品を上演しました。座付作者がいる宝塚において、一年間で全組が翻訳ミュージカルを上演するって珍しいことです。

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ーー2018年8月から『コーラスライン』のカンパニーが日本にやってきて、渋谷を皮切りに各地で上演します。都内あちこちで華やかなポスターが目につきますね。

『コーラスライン』のフィナーレの衣装って、金色の中でもいぶし金みたいなところが素敵ですね。私はブロードウェイのビーズの使いが大好きで、例えば、衣装を光らせるために着ける石も、全部クリアなものじゃなくて、黒ダイヤも使っているんです。今回も良く見ると黒い石があしらわれているんですよ。単純じゃないところに奥行きが見えて、気持ちが良いです。

ーーさすが、豪華な衣装を着慣れているだけあって、細かいところまでご覧になってる!

宝塚時代はこのようなお衣装をいっぱい着ましたね。でも、こういうのを見ると「きれいに着こなしてるな」と、今だに男性に目が行ってしまうんです(笑)。

ーーコーラスラインは「ここから前にアンサンブルの人は出ないでください」と引かれた線のことですが、宝塚だと銀橋(オケピと客席の間を横切るエプロンステージ)も同じ役割ですね。

そうですね。銀橋で歌ったり踊ったりできるのはスターだけです。

ーー『コーラスライン』の出演者たちは、苛酷なオーディションを通過して、プリンシパルの役を得て舞台に立っていますが、演じる役はプリンシパルではなく脇役=コーラスの人たちです。主役の人が主役じゃない役を演じる構造です。

すごいところに着眼していますよね、この作品は。アンサンブルの方たちは、ブロードウェイの舞台にいるという誇りと、まだまだのし上がってやりたいというエナジーが渦巻いています。舞台に立ちながら、まだスターを夢見ているという厚みが伝わってくるし、何かを突き動かしたいという力が、ミュージカルの作品を大きくしているのかもしれないですよね。「自分も良い役で出たい」とか「私を見てほしい」とか、いろんな気持ちがプロでも毎日あると思うし、私も宝塚の時そう思っていました。

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ーー演出家のザックはコーラスの面々に「個性は要らない」と言い放ち、目立った動きをすると怒りますから。

コーラスライン』のアンサンブルの方たちとはまた違うと思うけれど、宝塚にはラインダンスというものがありまして、入団してしばらくは大きな仕事はラインダンスのみなんですね。3時間くらいある作品の中の、後ろ15分位でやっと出番が出てくる。それまで、ずーっと出番を待ってるんですよ、下級生は。その間、何をしているのかというと、(当時あった)電話当番だったり、上級生の着替えを手伝ったり。でも、とにかく出番を待ちました。そして「あなたたちは一人ではお客様を感動させることができない。だから、みなさんで一糸乱れぬ一つの作品を作り上げてください」と与えられるのがラインダンスでした。そこでは目立とうとしてはいけないし、個性を殺すことも勉強しなくちゃいけないし。「その他大勢を抜け出したい」という気持ちがあるから個性が生まれるのか、その他大勢を通らないと個性が生まれないのか、いずれにせよ、『コーラスライン』を初めて観た時、私はまだラインダンスを踊っている頃だったので、他人事とは思えない作品でした。
オーディションの中で、それぞれが抱えている問題や境遇、生い立ちを吐露するんですが、一人一人の人生を全部知ってから、一つのラインに並べるなんて! ショービジネスとして、いちばん見せないところを扱っているので、深い話だと思いますね。

ーー宝塚の新人は、本公演ではラインダンスを経て、端役からスタートします。一方、入団7年目までの若手が公演期間中に1回だけ演じる新人公演というものがありまして、真矢さんは早い時期から大役がついていました。個性を殺す本公演と、個性が求められる新人公演を同時に稽古することでギャップを感じませんでしたか?

私が在籍したころの宝塚音楽学校では、鼓笛隊の授業がありました。必ず楽器を担当して、みんなで音を合わせ、マスゲームとしてどんどん動いてく感覚を2年間かけてしっかりDNAに組み込まれるので、すぐに形状記憶みたいに合わせられるんです。本編の舞台でもマスゲームが良く出てくるんですが、個性を磨くのとは別の一つの芸術ととらえていました。

ーー今回は来日公演ということで、プロローグでキャストが居並ぶだけでいろんな人種や体型の人がいることが強烈に印象付けられます。日本人だけで全ての人種を演じる翻訳版との一番の違いです。

翻訳公演と来日公演って良さが違うと思うんです。いろんな人種が一つの国・街を作っている象徴がブロードウェイなんですよね。オーディションの場面でお稽古着を観ているだけでも、出身地を象徴するものがいっぱい出ていたりして、見どころが衣装にも散りばめられています。『コーラスライン』のように非常に人種を基調とした作品は、来日公演だからこそ感じ取れる部分も結構あると思います。
今はヘイト問題はどこの国でも一人一人が「おかしい」思うようになって、世界的にそこが問われている時代。もちろんまだ激しく排除されている国はありますが、人種差別的なものに踏み込んだ『コーラスライン』の中で、登場人物によって、出身地が違うこと、それによる表現・文化が違うことに誇りを持ち、それが自然と出ています。そう思うと、オーディションの場面でのそれぞれのお稽古着も、個々の考えや好みだけでなく、出身地を象徴するものがいっぱい出ていたりして、見どころが衣装にも散りばめられているのがわかります。そういう細かい部分を、作者のマイケル・ベネットがダンサーたちにヒアリングして、丁寧にして作り上げた厚さがあるなと思います。

ーーそういった細かい部分が深みを生むんですね。

それから、通常の舞台では主演役者がいますが、『コーラスライン』はアンサンブルの一人ひとりが主役で、中心がいないのにもかかわらず、ちゃんと作品として成立している。不思議な舞台です。主役がソロで歌い、踊って、ラストに向けて盛り上げるとか、いつだって舞台には真ん中がいるものですが、『コーラスライン』では、アンサンブル全員が一定のエナジーをためて、すーっと静かに力強く盛り上がっていくんですが、通常の舞台にはない凄さをくれる余韻に「さあ、あなたはどうやって生きるの?」と言われている気がして、そういうのがたまらなく好きです。

ーー真矢さんは日本人でありながら、世界中の男性を演じてきましたが、真矢さんが苦労された箇所が、すなわち来日版の魅力の一つではないかとも思ったりしています。

いろいろありますよ(笑) 例えば、宝塚に入った時「なんでブルーのアイシャドーをしているんだろう」って凄く不思議で。入団してみたら、宝塚大劇場があまりにも広くて、私が入団したころの改築前の大劇場は3000席あったんですが、踊ったり芝居をするにしても大きく動かないと伝わらないんです。なので後ろの席の方が、アイシャドーのおかげで青い目に見えるっていうんですよね。まだカラーコンタクトなんて使っていなかった時代に、先輩方がブルーのアイシャドーで青い目に見せることを考えたというのが目からウロコでした。でも、その後、どの作品でも青いアイシャドーを塗ることが当たり前になっていたので、今度は誰が何のためにアイシャドーをつけているのか解明しないといけないと思って、私はトップになってからあえてブラウン系のアイシャドーも使用してたんです。
宝塚のショーでは場面が変わるたびに別の国という演出が良くあって「次はアフリカ!?」となると、私たちの場合は黒塗りするところから始まるわけです。もちろん、そういうのを楽しんでやっていましたけれど、ニューヨークでアフリカ系の俳優さんがアフリカンの役をされた時、目がキラっと光ったのが忘れられなくて。後にアフリカに行った時に知ったんですが、アフリカの方は遠くの動物を見ているからか、目がキラってしているんです。近くの高層ビルではなく、遠くを見る目。ああいう目はやれと言われてもできません。そういうものが瞬時に伝わってくる強さを感じました。
とはいえ、一から舞台を作り上げていく翻訳版公演も素晴らしくてこれまた楽しい。コンプレックスとなりかねない条件をどう魅せるか。私は来日公演を観ると翻訳版が観たくなりますし、翻訳版で観ていた舞台は来日公演も観たくなります。どちらが素晴らしいとかではなく、それぞれの魅せ方が違うんです。『コーラスライン』のように非常に人種を基調とした作品は、来日公演だからこそ感じ取れるものも結構あるので楽しみにしています。

ーー来日公演の個性であり、翻訳版の個性なんですね。

はい! ちなみに私は両方観ます。ダブルキャストも、自分が演じる時は緊張するんですけど、観る側になると、楽しみ方が違うので両キャストを見ます(笑) キャストが違うと、その人が何を一番伝えたいかで物語のヤマが違って見えてくるのが凄いなと思って。

ーーいわゆるバックステージ作品って、観客からすると普段は見られない舞台の裏側が観られて興味津々なのですが、でも、『コーラスライン』では「大人になる悩み」「家庭の問題」「恋愛の悩み」「同性愛のカミングアウト」「将来への不安」など、意外と一般人と同じことが語られます。

夢を売る仕事っていかに夢がないか!(笑)。 私も宝塚の大階段の先にはさらに階段があって、夢の世界につながっていると思っていたんですが、「40kgはありそうな衣装を身に着けて裏階段を上ってスタンバイするの?」とか「こんな重い物を軽々と持つの?」とか、「ウソでしょ!?」との戦いを経て、やっと夢をお届けするわけです。現実すぎる現実の舞台裏を通り抜け、やっとお客さまがいる美しい白い世界に変わるんです。
舞台に限らず、お仕事ってそういうことありませんか? 例えば、抱えている悩みがすごくあっても、会社に出勤したら自分を消して、とにかく笑顔で元気よく、何なら悩みの一つや二つ聞ける、くらいの余裕な顔を見せてるとか。『コーラスライン』で「夢を売る人たちがこんなに問題を抱えていたの?」って姿を見ると、悩みを持っていたって、どう生きるかは自分次第って背中を押されている気がします。

ーー『コーラスライン』をご覧になって、その後の舞台人生に違いはありましたか

私が初めてのブロードウェイで観た舞台は5本。なけなしのお金で購入したチケットでした。偶然、最初に観たのが『コーラスライン』だったのが良かったなと思って。その後観るミュージカルでもアンサンブルの方々を見る目が変わりました。「この人たちもいつか真ん中に立ちたいと思ってるんだけど、今は主役と作品を立てるために、一生懸命自分を出さないで、エナジーをため込んで良いお芝居をしているんだな」とか「良い歌になるようみんなでコーラスしてくれてるんだな」とか、深味が見えて。「一番最初の仕事ってやっぱりこういうことだよね」と思いながら、私は宝塚の群舞に帰っていったんです。「まだ端役か」と腐るのではなく、群舞での生きがいを見つけ、歌だって、いつか自分が真ん中に立てた時、自分はこんなコーラスをしてもらえる人になりたいと思いながら歌いました。私の中で非常に大きなターニングポイントです。

ーー『コーラスライン』の中で唯一、キャシーだけは主役を経験した女優です。「一度でも喝采を受けた人間はコーラスには戻れない」と演出家に突き放されます。真矢さんは宝塚ではトップスターまで上り詰めましたが、退団後は新進女優として活動を始められているので共感する部分があるのではないでしょうか?

宝塚を卒業後、女優になるにあたり、男役でなくなることで去っていくファンが多いんだろうなとか。どの生徒よりも覚悟していたと思います。想像通りだったな、と思うこともあるし、想像以上だったと葛藤したこともあったし。技術面は、宝塚での20年間、異性を舞台で表現していましたから、むしろマイナスからのスタートでした。だけど、キャシーじゃないけれど、本気で自分が生まれ変わりたい時とか、もう一回夢を追いたい時って、リスクを課し、格好悪い現状を受け入れ、自分を正確に受け取ることが必要なんです。スターは過去の産物という、キャシーの「格好悪さを出せる格好良さ」が、私にはすごく突き動かされますね。

ーーそんな真矢さんは女優としては『踊る大捜査線』が大ヒット、女優としても確固たるポジションを確立されました。

沖田仁美役はとってもヒールな役で、もしかしたら「上から目線のとってもきついキャリア志向の女というイメージがついてしまうかもしれない」と思いましたが、でも、それが私の女優業の突破口となるなら、私は穴をあけましょうと腹をくくりました。だから、今でこそキャシーの気持ちは非常に良くわかるんですが、初めて『コーラスライン』を観た時はまだ「もっと私を見て!」と歌い踊るキャシーには共感できず「プライドは大丈夫なのかな」と思ってたんです。人生経験を重ねることで見え方が違ってきました。

ーー作品のラストでザックは「踊れなくなったらどうする?」と問いかけますがダンサーたちは踊り続けます。真矢さんの思われる、生の舞台の魅力はなんでしょうか?

私は舞台育ちなので、失敗も成功もリアル体験することが醍醐味だと思います。宝塚には20年間いましたが「素晴らしかった、今日は感動した」という奇跡のような公演は、わずか2~3回しかなかったと思います。自分の演技だけでなく、組子のみんなもそうだし、お客様も一体となって「この感動は忘れない」という感動は「私は生きていける」という熱がありました。観客の立場になった時も「アンコール、アンコール」と叫ぶのではなく、手を叩いていることすら忘れてしまってみんなが拍手している、そういう公演は炭火のように消えない熱さがあります。今、私は「ビビット」という情報番組をやっていて、生放送ゆえにリスキーでいろんな日がありますが、とても成長させてもらってます。生の力は本当にすごい。日々の成長に、自分自身とても気持ちが湧きますね。

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LION presentsブロードウェイミュージカル『コーラスライン』来日公演2018
東京公演/2018年8月15日(水)~8月26日(日)
東急シアターオーブ
横浜公演/2018年8月29日(水)
神奈川県民ホール 大ホール
浜松公演/2018年8月30日(木)
アクトシティ浜松 大ホール
大阪公演/2018年8月31日(金)~9月2日(日)
オリックス劇場
東京凱旋公演/2018年9月5日(水)~9月9日(日)
東京国際フォーラム ホールC

原案・オリジナル振付・演出:マイケル・ベネット
演出・振付・再構成:バーヨーク・リー
出演:アメリカ・カンパニー
http://www.ACL2018.jp/
お問い合わせ:
東京公演・横浜公演/キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00、土日祝10:00~18:00)
浜松公演/テレビ静岡事業部 054-261-7011(平日9:30〜17:00)
大阪公演/キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)

真矢ミキさんのインタビューも掲載されている
『omoshii mag vol.13 ミュージカル特集2018秋』も好評発売中!
ミュージカル情報が盛りだくさんで掲載していますので、ぜひご覧ください。

 

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