インタビュー & 特集

INTERVIEW!クリエ プレミア音楽朗読劇『VOICARIONⅡ GHOST CLUB』藤沢文翁さん&紫吹 淳さん&春野寿美礼さん&妃海 風さん

藤沢文翁さんとシアタークリエがタッグを組んで2016年にスタートし、またたく間にチケットが完売した音楽朗読劇『VOICARION』。シリーズ第2弾はキャストも新たに新作が登場。『GHOST CLUB』と題して、19世紀のロンドンを舞台に、『シャーロック・ホームズ』シリーズの生みの親として知られるコナン・ドイルと、天才奇術師フーディーニを軸に描かれます。ジャンルの境界を越えたキャスティングも魅力の本作ですが、超人気声優をメインに6パターンのチームが組まれる中、宝塚OG×朴璐美さんという異色キャストでの上演も話題に。サービス精神旺盛ながら感覚的発言で周囲がドキドキする紫吹 淳さん(ハリー・フーディーニ役)、クールで物静かながら時折動揺する様が新鮮な春野寿美礼さん(コナン・ドイル役)、時にファン目線で熱くなる妃海 風さん(謎の少年Sir.クロフト役)、そして、トークが暴走する三人を絶妙に制御する藤沢文翁さん(原作・脚本・演出)のクロストークをお楽しみください!

(取材・文/小柳照久、人物撮影/熊谷仁男、舞台写真提供:東宝演劇部、ヘアメイク/久慈真史[紫吹]、レイナ[春野]、カワムラノゾミ[妃海])

*衣裳協力=FOXEY(紫吹)

INTERVIEW & SPECIAL 2017 8/21 UPDATE

宝塚ファンと声優ファンの
異ジャンル交流!?

春野・妃海 はじめまして!
藤沢 はじめまして!
紫吹 あれ、皆さん、初めて? じゃ、私も初めまして!(笑)
藤沢 えっ!?(笑)
紫吹 文翁さんとは何度もご一緒させていただいてるんですが(笑)。
藤沢 紫吹さんとは何度かお仕事していますが、宝塚出身の方がこれだけ集まるのは初めてです。
――紫吹さん、春野さん、妃海さんのお三方は今までご一緒されたことはあるんですか?
紫吹 (退団後に)お仕事するのは初めて?
春野 リカさんと退団後にお仕事でご一緒するのは初めてですよね。宝塚歌劇団の100周年イベントとかではお会いしてますね。私とリカさんは、在団中に、花組でご一緒していた時期がありました。
紫吹 私と兄弟やってましたね!(笑)
春野 私のお兄さんでした!(笑)
藤沢 お二人ともガッツリ女性になられた今お伺いすると、違和感ありますけど(笑)。
紫吹 ふふふ(笑)。それが今や、春野さんは母ですよ、母。先輩の私を差し置いて!
春野 (笑)。
妃海 私はファン時代に客席からお二人を拝見していました!(紫吹は宝塚歌劇団72期生、春野は77期生、妃海は95期生で、妃海は2016年11月に退団したばかり)。春野さんと瀬奈(じゅん)さんが『宝塚GRAPH』で連載してらしたお悩み相談コーナーなど、ファンとして拝見してました。2015年に『ガイズ&ドールズ』を星組で上演する際に、紫吹さんにお会いしました。
紫吹 当時の星組トップスターの北翔海莉さんは下級生時代、私が演じた役を新人公演で演じることが多く、今も慕ってくれていて、トップお披露目公演の『ガイズ&ドールズ』も観に行ったんです。
妃海 宝塚での『ガイズ&ドールズ』は、大地真央さん&黒木瞳さんのコンビで初演され、再演が紫吹淳さん&映美くららさん、そして、三度目の上演が北翔海莉さんと私のコンビでした。
紫吹 私が観に行ったとき、ちょうど初演コンビのお二人も観に来られる直前で、「キスシーンがキスしているように見えないって言われたらどうしましょう?」というので、とりあえず「私たちはこうしたよ」って…。
妃海 楽屋で、お手本として、いきなり私相手にキスシーンをしてくださったんです。衝撃でした。
紫吹 「じゃ、ちょっとふーちゃん(妃海の愛称)貸して」って。そしたら、あまりに距離が近すぎてビックリしてたよね(笑)
妃海 すごい、強引なキスでした(笑)。
一同 (笑)。
――妃海さんと春野さんのつながりは?
春野 お会いするのは今日が初めて?
妃海 一方的にお会いしたことがあります!
春野 あら、一方的に?(笑)
妃海 関西で「春野寿美礼さんだ!」とお見かけしたことがありました!(笑)
紫吹 タカラジェンヌって、そういうことあるよね。油断してるとお会いする!
藤沢 世の中、そんなに宝塚の方に会えるものなんですか?(笑)
紫吹 いろんなところで遭遇しますよ。
藤沢 そんなCIAみたいな機関なんですか!(笑)
春野 (笑)。ありとあらゆるところでお会いしますし、舞台共演者にも必ずいますよね。
藤沢 さすが100年以上の歴史があるとすごいですね。
――今年の『VOICARIONⅡ』は6通りのキャスティングが組まれていて、声優さん、俳優さん、宝塚OGの皆さんなど多彩なメンバーが集まっていますね。声優さんは女性が男性の声を担当することがありますが、宝塚の男役との違いを感じることってありますか?
藤沢 台本を読まれる時に気付くと思うんですが、今回は19世紀のイギリスが舞台ということもあって、日常生活の言い回しとは違うものが入っていると思うんです。実は私が台本を書く時、まず英語で書いて、それから和訳するという作業を行います。
紫吹 嫌な感じでしょ(笑)。英語で書いてから和訳するんだよ、日本人なのに!
藤沢 懐かしい、このやりとり(笑)。
一同 (笑)。
藤沢 最初から日本語で書いちゃうと、たとえば「へそで茶を沸かす」なんてイギリス人は言わないですよね。英語から日本語に訳すと、翻訳劇に近い言い回しになるんですよ。宝塚で上演している海外ミュージカルや、声優さんなら洋画の吹き替えと重なるところがあるのかな。翻訳している仮想空間という意味では共通点があるので、今回、みなさんのシナリオに対するアプローチが興味深いです。
――とはいえ、全員宝塚出身者ではなく、声優の朴璐美さんがご一緒です。シャーロック・ホームズを演じられます。
藤沢 全員宝塚出身の方で揃える舞台は他にもあると思うんですけど、僕が東宝さんと組ませていただくからこそできるコラボレーションです。朴璐美さんは『鋼の錬金術師』(主人公エドワード・エルリック役)など男性の役を演じてますし、男性的な女性を演じることも多かったので、宝塚の方と一緒になった時にどうなるのか、期待しています。
――藤沢さんは、紫吹さんとはこれまで何度かお仕事されているということでしたが、その時はどんな印象でしたか?
藤沢 紫吹さんには何回か僕の舞台に出ていただいているんですが、紫吹さんのファンと声優さんのファン両方が劇場に来てるんですね。で、幕間にロビーを歩いてたら、声優ファンの方たちが「宝塚ってすごいよね」と言っていて、宝塚ファンの方は「声優さんって演技上手いのね」って、お互い違うジャンルの人たちを観た感銘というのがあって。「ファンの間でも異ジャンル交流がなされているんだな」と印象的でした。それもあって、今回の皆さんと朴璐美さんとのコラボも楽しみにしています。

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2016年の音楽朗読劇『VOICARION』より。写真提供:東宝演劇部。

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2016年の音楽朗読劇『VOICARION』より。写真提供:東宝演劇部。

 

コナン・ドイルとフーディーニの裏テーマは
“ホームズとワトソン”

――どんなきっかけで今回の題材が決まったんでしょうか?
藤沢 昨年初めての『VOICARION』をシアタークリエでやらせていただいて、成功して、「来年はどうしましょうか?」という話になった時、「第一弾はフランスが舞台だったので、次回はロンドンでサスペンス的な香りがするものはどうでしょう?」となりまして。前々から僕自身がコナン・ドイルとフーディーニについて書きたかったので、この題材になりました。二人が友達だったというのは史実なんです。
春野 今回、私はコナン・ドイルという役をいただいて。コナン・ドイルというと『シャーロック・ホームズ』が浮かびますが…。
――春野さんをコナン・ドイルにと思われたのはなぜでしょうか?
藤沢 お芝居をたくさん観させていただいて、決めました。
紫吹 文翁さん、リサーチがすごいんですよ。
藤沢 紫吹さんにお願いしたフーディーニって、ごめんなさいね、しっかりしていない人というイメージで(笑)、コナン・ドイルはしっかりしている人というか真面目な知識人、常識人というのが今回の主軸になっています。
紫吹 私、そのままです(笑)。
春野 コナン・ドイルさんはそういうイメージ? 私は全然違いますよ~。(笑)
藤沢 春野さんはそう見えるんですよ。一方、紫吹さんには悪い男を演じてほしくて。
紫吹 私が演じてきたのは悪い男ばかりですよ。宝塚の時だって、プレイボーイの役とか、ひどい男の役とか!(笑)
春野 アウトローの役とか多かったですよね。でも、それがカッコいいんですよ!
妃海 素敵でした♪
藤沢 コナン・ドイルとフーディーニではあるんですけど、実はこの二人、「ホームズとワトソン」という裏テーマもあるんです。コナン・ドイルは『シャーロック・ホームズ』シリーズの続きを書けなくなって、一度ホームズを殺してるんです(『最後の事件』)。殺しちゃえば書かなくてよくなる。でも、ファンがそれを許してくれなくて、やっぱりもう一度書かなきゃいけなくて、その時に素材を探していたら、フーディーニに出会ったんです。フーディーニがあまりにホームズに似ているので、「こいつを見てたらまた書けるかもしれない」と思うコナン・ドイル=ワトソンという裏テーマがあって。紫吹さんと春野さんのタッグがホームズとワトソンであり、フーディーニとコナン・ドイルでもあるというイメージになったので、今回の出演をお願いしました。
妃海 私は謎の少年役をいただいて。
藤沢 実はこの役がけっこうキーパーソンというか、今回、全員が少年をめがけて進んでいく物語になっているんです。宝塚では、娘役の方が少年を演じることってありますよね。そんなこともあって、妃海さんに声をかけました。
妃海 宝塚時代、男の子役、私も演じました。全編ではなく一場面だけでしたが、真風涼帆さん主演の宝塚バウホール公演『ランスロット』でした。男の子のセリフをたくさん話すのは、今回が初めてです。外の舞台で役を演じさせていただくのも、今回が初めてなので。
春野 退団してどのくらいなんだっけ?
妃海 昨年の11月に退団したので、まだ1年たっていないんです。

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2016年の音楽朗読劇『VOICARION』より。写真提供:東宝演劇部。

 

藤沢流“音楽”朗読劇
ナレーションがない台本
衣裳は帝劇作品なども手掛ける東宝舞台が製作

藤沢 退団後の仕事がいきなり僕の舞台って大変ですね。
春野 (ふと我に返って)あの、大変なことになるんです……か?
藤沢 (紫吹に向かって)どうです? 大丈夫でした?
紫吹 どうなんだろう、私、文翁さんとご一緒する前にも朗読は何度かやってたので……。二人は、「初めまして、朗読劇」なんだ?
春野・妃海 「初めまして」です。
紫吹 普通の朗読劇じゃないから!
藤沢 煙と生演奏と……。
紫吹 普通の朗読は読むだけだけど、これは違うのよ! 耳と鼻と……。
春野 鼻!?
紫吹 文翁さんの朗読劇は五感を刺激するから、これが朗読のスタンダードだと思わないほうがいいかもしれない。特殊だから。ただ読むだけじゃなくて、雰囲気がすごいから。
春野 えっ!?
藤沢 からくりとか、仕掛けがあります。
紫吹 バーン!とか、ドーン!とか。
春野 な、なるほど(汗)。
藤沢 初めての人をあまり不安がらせないで!(笑)
紫吹 とにかく、朗読=読むだけと思ってたら違うんですよね。
藤沢 衣裳も、がっつり19世紀ロンドンです。日ごろ帝劇作品なども手掛けている東宝舞台さんのチームがこの公演のために19世紀の衣裳を作ってくださるので、すごいですよ。普段のお芝居のように動きやすさは考慮しなくていいので、凝ったものを予定しています。
妃海 音楽も生演奏なんですよね。
藤沢 ジュリアード音楽院で学ばれた小杉紗代さんに音楽監督をお願いしています。現代音楽からフュージョンっぽい楽曲まで、多彩な方です。今回は演奏メンバーも海外から来る方が多くて、ヴァイオリンもストラディバリウスと並ぶ名器、ガルネリでとんでもない金額のもの。僕は劇中の音楽を「BGM」とは呼ばず、「FGM」と呼んでいます。「バック・グラウンド・ミュージック」ではなく、「フロント・グラウンド・ミュージック」。役者と並ぶもう一人のパフォーマーであり、後ろで音楽が流れているのではなく、「お芝居の続きは音楽に語ってもらいましょう」というパートもあるんですよ。たとえば、以前あったんですが、二人が踊っている場面。実際にキャストが踊らなくても、音楽が流れていればお客様の脳裏には踊っている様子が浮かぶ。そんなふうに音楽が使われる中で、キャストの皆さんはそれぞれのリズム感で演じていただければと思いますね。
妃海 朗読劇ですけど、音楽的感性が求められるんですね。
藤沢 キャストのバックボーンが様々で、みんな体の中に音楽を持っている。それぞれのリズムの乗り方があると思うんですよね。以前、歌舞伎の方とお仕事したことがあるんですが、歌舞伎役者は歌舞伎役者のリズムを持っていて、それと音楽が合わさった時の化学反応というものがありました。
春野 台本を拝見したところ、ナレーションはないんですね。
藤沢 僕の朗読の特徴として、ナレーションをゼロにしてます。たとえば「その時、ヒロシ君はこう思いました」と言われると現実に引き戻されてしまう気がするので、掛け合いの中で想像できるように作っています。逆に言うと、台本を読んだだけだとわかりづらい部分が、きっとあるでしょ?
紫吹 はい、毎回、やってみないとわからない部分があります。
妃海 朗読劇の台本って初めてなんですが、セリフの多さもさることながら、セリフだけで状況がわかるように言葉で説明されている部分があるんですね。聴いているだけでも想像できるのを感じました。とても動きが多いお芝居として作られている宝塚の台本は、一回読んだだけでは、セリフだけでは伝わらないことも多かったので。初めてなのでまだわからないことだらけですが、楽しそうなイメージを抱いています。
春野 私も朗読劇の台本って初めてなので、どんなものかなと思いながらページをめくっていったんですが、お芝居の台本のようなト書きがないんですね。たとえば宝塚の台本だと、場面全体の説明が書いてあったかと思うんですね。そこに歌やダンスや芝居が加わって。今回は、そういうのがまったくなくて、淡々と必要なことだけが書いてあって、セリフだけで想像を膨らませる台本なんですね。実際に読んでみると、セリフだけでワクワクしました。
紫吹 文翁さんの書かれる言葉は、英語で書いてから和訳されているからか、伝わってくるニュアンスがオシャレなんですよね。もう何度か文翁さんの作品に出させていただいてますけど、最初は、夜中に台本を読みだして「寝なきゃいけないのに、とまんない~」って。「続きはどうなるの? どうなるの?」ってすごく面白かったのを、二人の話を聞いてて懐かしく思い出しました。物語が進むうちに普通のニュアンスが面白さに変わったりするので、演じる側としては読解するまでけっこう難しかったりするんですが、稽古していて捉え方が違ったりすると文翁さんが「もうちょっと、こうやってほしい」と言ってくださるので、そのあたりは安心しているんです。

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2016年の音楽朗読劇『VOICARION』より。写真提供:東宝演劇部。


すべてが“音”に集約される
朗読劇はお稽古も独特
良い役者ほど、練習しすぎると「噛む」!?

――朗読劇のお稽古って、どのように進められるんですか?
藤沢 基本的に、僕のイメージで「これを必ずやってください」とかはまったく思っていなくて、こういう人物で、こういう時に、どう感じますか?ってそれぞれに投げかけます。そもそも、男女が入り乱れていたり、業界も違うキャストが揃ってたりするので、そこは話し合いの中で作っていく感じです。今回6チームありますので、お互いの稽古を見学してもいいですよ。去年も別チームの稽古に参加している人がいました。朗読劇のお稽古は、3日か4日で本番になります。
春野 稽古期間が短いんですね。
藤沢 朗読劇って、練習しすぎると「噛む」っていう現象が起こるんです!
紫吹 そうなんですよね。
藤沢 アナタ! 今から言ってちゃダメでしょ(笑)。良い役者さんほど、噛むんです。なぜかというと、セリフを覚えちゃうんです、すぐに。そして、セリフを覚えると、頭の中にある言葉と目の前にある台本の言葉の「ギャップ」が多少発生するんです。その瞬間に噛んでしまう。暗記しちゃうと、噛み始める。
紫吹 芝居とは違うのでギャップが発生します。暗記するんだったら、全部覚えてないとダメです。
春野 なるほど。台本を顔の前に持ってやらないんですか?
藤沢 そういう方もいらっしゃいます。大丈夫ですよ、照明が当たったら立ってしゃべるってだけなので。
春野 向かい合ってセリフを言い合ったりしないんですね?
藤沢 しないです、しないです。
紫吹 つい、相手のほうを向きたくなるよね。そこが難しい。相手が横にいるのに、相手を見ないでしゃべるのって気持ち悪いかもね。
春野 ダメなんですね、読むんですね。
藤沢 体の演技は求めていないんです。
紫吹 つい芝居をしがちだよね、クセで。
藤沢 出演者から「スタンドマイクに向かって話すのではなく、ワイヤレスマイクを装着させてほしい」という声もあるんですが、マイクにこだわっているのは音が良いから。すべて音に集約してやっているので。ワイヤレスだと体が動いた時にマイクが外れたり、さらには、台から落ちる人もいたりするので……(笑)。
紫吹 ふふっ(笑)。
藤沢 我々スタッフは「紫吹基準」と呼んでまして。紫吹さんの危険をどうサポートするかも大切なんです(笑)。
――今回は、全員、男性の声ですよね。
紫吹 男役の時の声って、発声のポジションはいつもとまったく違うところを鳴らさないと出ないので、久しぶりに野太い声を出します。
藤沢 まったく違うところを鳴らす?
紫吹 私の場合はね。「宝塚一セリフのトーンが低い」と言われていたくらい、意識して別のボタンを押さないと出ないんです。
春野 そうなんですね! 私はそんなことはなくて、あまり考えてなかったですね。
――春野さんはセリフの音域が広い方でしたよね。
春野 私は男役をやる時は、「演じる」という時だったんです。「男役の声=芝居をする」ということでした。
紫吹 退団してから、男役の芝居やってる?
春野 何度かやってますが、男役をやる時は「演じる」というクセがついていて、今回のような朗読劇で、ちゃんと男性の声で読めるかどうかが不安です。自分で自分の声を聴きながら、読むことを意識することになりそう。
紫吹 今までの朗読劇は声優の方と一緒だったのですが、今回は宝塚出身者が一緒なので、どんな化学反応が起こるのか、楽しみです。
妃海 今、改めてお話を聞いて、ワクワク、ハラハラしています。ファン時代に観ていた方が男役として舞台に立たれる機会にご一緒させていただけることが、とても嬉しいです! あ、私も男役としてですけど(笑)。それと、朴璐美さんとご一緒させていただけることも嬉しくて……私は15才の男の子の役なんですが、朴璐美さんって男の子の役の吹き替えをたくさんやられてまして。
藤沢 妃海さん、アニメがお好きなんですよね?
妃海 (熱く)アニメ、好きです!
春野 あ、そうなんだね~!
紫吹 ちゃんと調べてる!
藤沢 リサーチ魔ですから!(笑) 全員女性のチームなのに、全員男役で女性が出てこない。そこが見どころになると思います。なかなか他では観られないし、僕だったらぜひ観てみたいな、と。おかげ様でチケットの売れ行きが好調で、「チケットが買えないです!」というありがたいお声もたくさん頂いているんですが、ぜひ、本番を楽しみにしていてください。


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藤沢文翁(ふじさわ・ぶんおう)
1976年生まれ、東京都出身。劇作家・演出家。ロンドン大学ゴールドスミス演劇学部(Ba Drama And Theatre Arts)卒業。ロバート・ゴードン、ジョン・ロンドン、アナ・ファース、ベン・レビタスらに師事。2005年、ロンドンのKings Head劇場で演出家・劇作家デビューを果たし、国内外で活動している。英国朗読劇を独自に改良した、音楽性に溢れ、セットや衣装、特殊効果など細部にまでこだわるそのスタイルは「藤沢朗読劇」と呼ばれ進化を続けている。
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紫吹 淳(しぶき・じゅん)
1968年生まれ、群馬県出身。元宝塚歌劇団・月組男役トップスター。2004年に宝塚歌劇団を退団後、女優として映像、舞台を中心に活躍中。近年の主な舞台出演作に『グッバイ・ガール』『I Love Musical』『GEM CLUB』『DREAM BOYS』『逢いたくて…』『細雪』など多数。
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春野寿美礼(はるの・すみれ)
1972年生まれ、東京都出身。元宝塚歌劇団・花組男役トップスター。2007年に宝塚歌劇団を退団後、女優、シンガーとして活躍中。ライブ活動も精力的に行う。近年の主な舞台出演作に『ア・ソング・フォー・ユー』『エリザベート』『モーツァルト!』『貴婦人の訪問』など多数。
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妃海 風(ひなみ・ふう)
1989年生まれ、大阪府出身。元宝塚歌劇団・星組トップ娘役。2015年5月よりトップ娘役として活躍し、2016年11月『桜華に舞え/ロマンス!! (Romance)』を最後に宝塚歌劇団を退団。2017年より女優としての活動をスタート。『VOICARIONⅡ GHOST CLUB』が女優としての舞台初出演となる。

クリエ プレミア音楽朗読劇
『VOICARIONⅡ GHOST CLUB』
2017年8月31日(木)~9月7日(木)シアタークリエ
原作・脚本・演出:藤沢文翁
作曲・音楽監督:小杉紗代
出演
8月31日(木):鈴村健一、津田健次郎、皆川純子、渡辺 徹
9月1日(金)、2日(土):梶 裕貴、諏訪部順一、竹内順子、石井正則
9月3日(日):石田 彰、中村悠一、竹内順子、渡辺 徹
9月4日(月):小野友樹、浪川大輔、小野賢章、渡辺 徹
9月5日(火)、7日(木):春野寿美礼、紫吹 淳、妃海 風、朴 璐美
9月6日(水):山口勝平、平田広明、皆川純子、渡辺 徹
※詳細はhttp://www.tohostage.com/voicarion/をご覧ください。


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