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インタビュー & 特集

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INTERVIEW!『ビューティフル』中川晃教さん

“A NATURAL WOMAN”等で世界的な人気を誇るシンガーソングライター、キャロル・キングの半生を数々の名曲と共に描くミュージカル『ビューティフル』で、キャロルとしのぎを削る新進作曲家バリー・マン役を演じる中川晃教さん。『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリ役で読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞し、今の日本のミュージカルシーンを牽引する一人である中川さんに、新たに取り組むバリー役について、そしてミュージカルについて、語っていただきました。
(取材・文/大原薫、撮影/須田卓馬)

INTERVIEW & SPECIAL  2017 7/26 UPDATE

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――『ジャージー・ボーイズ』の劇中で中川さん演じるフランキー・ヴァリとボブ・ゴーディオが曲の売り込みに出かけたのがニューヨークの音楽の中心、ブリル・ビルディング。そして、『ビューティフル』もブリル・ビルディングが舞台の一つとなっていますね。面白いご縁が続きますね。

 ニューヨークの音楽の象徴がブリル・ビルディングなんですよね。(アーティストの既存の曲を使った)カタログミュージカルがどういうものかというのは、昨年の『ジャージー・ボーイズ』もですけれど、『ビューティフル』も誰もが一度は聴いたことがある曲が散りばめられている。知っているからこそリズムに乗りたくなるカタログミュージカルならではの魅力が詰まっている作品だなと思いました。キャロル・キングを知らない方からすれば新しい発見があると思うし、キャロルを知っている人からすると「こういう人なんだ」と実際に感じ取れますよね。”A NATURAL WOMAN”というキャロルの歌があるけれど、一人の女性が結婚し、子供を育て、別れを経験し……と、キャロルの生き方からメッセージを受け取る女性の方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。

IMGP8382――中川さんが演じるのは、作曲家のバリー・マン。キャロル・キング(水樹奈々さん/平原綾香さん【Wキャスト】)と夫のジェリー・ゴフィン(伊礼彼方さん)、バリー・マン(中川さん)とシンシア・ワイル(ソニンさん)は、新進作曲家と作詞家のコンビとして共に競い合う役柄です。中川さんもシンガーソングライターとして作曲される方ですが、作曲家であるバリー・マンを演じるのはいかがですか?

 そうですね、僕がミュージシャンとしてだけ活動をしていたら「曲を作るときの自分の気持ちがバリー・マンにも当てはまるかもしれませんね」と答えたかもしれない。でも、僕はミュージカルをやってきて、バリーを役柄として捉えますよね。『ジャージー・ボーイズ』のときもそうだけれど、今もご健在でいらっしゃる方を体現しようとするのは、架空の人物を演じるときとは全然違うなと思います。バリー・マンの造形的なところは押さえながらも、彼の音楽を聞いたときの目を覚ますような感覚、無条件に「気持ちいい」「カッコいい」と思える感覚を大事にしたいなと思います。

――では、この作品をどう演じたいと思っていますか?

 この作品はミュージカルとして作られているけれども、コンサートのようなライブ感を余すところなく感じていただけるのがカタログミュージカルならではですよね。作品の構成として、作詞・作曲家たちの何気ない会話が物語となって進展して、新たな曲が生まれ、次の場面ではザ・ドリフターズなどのアーティストが実際にライブで歌っているシーンになる。職業作詞・作曲家たちが音楽を生み出す様子が描かれ、彼らの時代の生きざまがしっかり構成されているところが面白いなと感じますね。ショーの要素を体現しながら、バリー・マンやキャロルが生きた時代も感じ取っていただきながら、僕らも時代背景に思いを馳せながら、役を生きていけたらいいなと思います。

IMGP8333 - コピー 自分にプレッシャーをかけるわけじゃないですけど(笑)、決して簡単な役作りじゃないと思うんです。R&Bやブラックミュージック、カントリーを聴いて育ってきたわけではない日本人の僕たちが演じるわけですから。でも、レベルが足りなければ上演できなかったような作品が上演される時代になったということだと思うし、演出家をはじめとするスタッフとキャストが現場で積み重ねていくことで、今までの稽古場にはない空気が生まれそうな気がします。そして、それが劇中の作曲やレコーディングのシーンと、稽古場の時間がシンクロしていくようなリアリティが持てたらいいなと思うんです。

――『ビューティフル』という作品に触れると、楽曲の力強さを感じます。中川さんはオリジナル・ミュージカルを作りたいという夢をお持ちとのことですが、ミュージカルの音楽で感じることは?

 最近は本当にいろんなミュージカルが日本でも見られるようになりましたよね。たとえば『マーダー・バラッド』のように決して難しいメロディではなくて、4人編成のバンドで奏でる音楽もミュージカルになるし、エルトン・ジョンというポップスの作曲家が作った曲もミュージカルになる。僕自身もオーケストラとコンサートをしたり、ジャズのビッグバンドと一緒にやったりして、音楽の幅広さを経験すればするほど、この経験をミュージカルの中に注ぎ込めたらいいなという思いが強くなっています。

――中川さんは今、どんなミュージカルを作りたいと思い描いていらっしゃるのですか。

 僕は音楽劇って面白いと思っているんですよね。芝居の中に音楽が入るということで、感情の振れ幅が増していく。今まで劇中曲の作曲は『銀河英雄伝説』『星めぐりのうた』『ピトレスク』などで関わらせていただきましたが、音楽はシーンを飛躍させる力があるんです。だから、音楽劇を作りたいというのが一つ。あとは、僕は文学とかではなくて、身近にあるものと音楽をつなぎ合わせてミュージカルにできたらいいなと思って、いつもネタを探しているんです。女性が主人公のものを書きたいとずっと思っていますね。僕は少女漫画は読まないんだけど、少女漫画好きな方たちのレビューをネットで読むのが好きなんですよ(笑)。BL物とか、年下男性に恋をするのとか。それぞれどこに胸キュンポイントがあるんだろうと思って。僕の音楽のテーマには常に「愛」があるので、愛をミュージカルにつなげていきたいなと思います。

 最近NHKのドラマシリーズ『精霊の守り人』で中村獅童さんとご一緒したんですが、獅童さんは絵本『あらしのよるに』を歌舞伎にしましたよね。それから、たとえば『氷艶』ではスケートと歌舞伎というまったく違うジャンルがエンターテインメントというステージでジョイントした。獅童さんは「もっと早く中川君と知り合っていたら」と言ってくれたんですが、異なるジャンルのエンターテインメントのステージでそれぞれが持っているものが集まったとき、そこにまったく新しいエンターテインメントが生まれる予感がします。ミュージカルの作り方を勉強させてもらっている今、出会いを大切にしながら、熱い思いを持って臨んでいきたいと思います。

IMGP8343――今年に入ってから、『フランケンシュタイン』で柿澤勇人さん、加藤和樹さん、小西遼生さん、『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』では村井良大さんと共演されましたね。皆さんが中川さんとご一緒してとても刺激を受けていらっしゃる様子が伺えました。中川さんが率先して引っ張っていらっしゃったのかなと思いますし、こうして切磋琢磨することで日本のミュージカル界が変わっていく予感もあります。

 ありがとうございます。でも、自分が何かを教えているという感覚は持たないようにして、まっさらな状態で向き合おうというのは、現場に入るときに心がけていることなんです。僕より年下の人もいれば、自分より経験が豊かな方もいる。一つの作品にどう向き合っていくかという点では、みんな一緒なのかなと思うので。
 ただ、僕の経験が今よりも少ないとき、経験ある先輩方の背中を見て学んできたな、ということを思い出す機会は増えてきたかもしれない。最近ミュージカルに向かい合い始めた方々が、稽古場で素直に悩んで葛藤して引き上げてもらい、そこにちゃんと存在できているなというのをよく感じるんですよ。自分が思う音楽だけをやり続けていたら、今の自分はなかった。僕自身も、葛藤したことで自分の行く道を決めたと思うから。

 自分の中では、『フランケンシュタイン』からみんなで作っていくという意識が開かれたような気がするんです。この(『モーツァルト!』でミュージカルデビューしてから)15年という月日の中で、日が当たり始めているミュージカルシーンに、いろいろな人が集まって来るようになった。『~チャーリー・ブラウン』では声優界から来た高垣彩陽さんやAKB48の田野優花ちゃん。それから、2.5次元ミュージカルから出発した『RENT』の主演の村井良大や、『フランケンシュタイン』の加藤和樹。もちろんカッキー(柿澤勇人)やコニタン(小西遼生)も『ビューティフル』で初共演するソニンちゃんや伊礼彼方くんもそう。みんなが今感じられる希望や自分のやるべき目的、意義を見出していく嬉しさと苦労を実感しています。仲間たちと一緒にミュージカルシーンをもっと盛り上げていけたらと思いますね。

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中川晃教 なかがわ・あきのり
1982年生まれ、仙台出身。2001年『I will Get Your Kiss』で歌手デビュー。2002年『モーツァルト!』ヴォルフガング役でミュージカルデビュー。第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞などを受賞。以来、『CHESS THE MUSICAL』『ロックオペラ モーツァルト』『グランドホテル』『MURDER BALLAD』『フランケンシュタイン』等数々の作品に出演。また、精力的に音楽活動を続ける。ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』フランキー・ヴァリ役にて、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞。

※お知らせ omoshii mag 中川晃教スペシャルは vol.9 に掲載しております。ファン必見の特集、ぜひご覧ください。詳しくは右バナーから。

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ミュージカル『ビューティフル』
2017年7月26日(水)~8月26日(土)帝国劇場
脚本/ ダグラス・マクグラス
音楽・詞/ ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング
 バリー・マン&シンシア・ワイル
演出/ マーク・ブルーニ
振付/ ジョシュ・プリンス
翻訳/ 目黒条
訳詞/ 湯川れい子
出演/水樹奈々・平原綾香(Wキャスト) 、中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣 幸 ほか

 

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