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インタビュー & 特集

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INTERVIEW! ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』柚希礼音さん part.2

7月に満を持して日本初演を迎えるミュージカル『ビリー・エリオット』。トニー賞10部門受賞、オリヴィエ賞4部門受賞ほか、全世界で80以上の演劇賞を受賞した大ヒットミュージカルに、ウィルキンソン先生役で出演する柚希礼音さんにお話を伺いました。インタビュー後編は、さらに作品について、深く迫ります!
(撮影/熊谷仁男 文/小柳照久)

INTERVIEW & SPECIAL  2017 7/16 UPDATE

part.1より続く)

■『ビリー・エリオット』ミュージカル版

●炭鉱の街・ダーラムが舞台で、使われている言葉も荒々しく、英米の公演でも「訛りが凄くてヒアリングできなかった」というネイティブが続出でした。

日本版もロンドンではないということで、訛りが入ります。とはいえ、日本のどこ、と限定されても困るので、翻訳の方は大変だと思います。また、家族でしゃべっている時、おばあちゃんはすごく訛っているけれど、子ども同士だとそうでもないってあるじゃないですか。そんな差も大切に翻訳しているみたいです。ウィルキンソン先生は中流階級ということで、あまり訛ってないけれど、それでも、ロンドンではないので、ちょっと訛ってます。
この作品では、訛りだけでなく、労働者たちの、いわゆるダーティ・ワードも飛び交っていて、労働者の街という感じが良く出てます。家族たちも口調が荒々しいし、ウィルキンソン先生も結構、口が悪いです。子どもたちもこんな言葉使って良いんだろうかって思いますが、そういう中から生まれる、きれいごとではない物語なので、ダーティー・ワードも必要なんだと思います。ミュージカル・ナンバーでも「これって言って良い言葉?」な歌詞に驚きましたが、あえてそれを使うことで「個性があって良い」というところにつながると思うので、気に入ってます。

●言葉だけではなく、チンポジ直しなど、宝塚出身の方にはかなり衝撃的なお芝居も登場します。

そうなんです。でも、誰も照れてないので、サバサバしてますよ。逆にすごく面白い効果が出てますね。あんなに男らしい町に育ち、父親にも「バレエじゃなくてボクシングをするように」と言われる中、「本当に踊りたいんだ」というビリーの気持ちの強さと、「この子には本当に才能があるんだ」ということをわかってくる過程が感動的です。とはいえ、ストライキを起こす程貧困に苦しんでいる状況なので、何ともできないこともあって、ビリーのお父さんもみんなに寄付してもらったりするんです。

●ウィルキンソン先生には「あんたのお遊びの道具にするな!」と敵対心剥き出しだったお父さん、ビリーのバレエの月謝の相談に来たり、ロイヤルに入る時も「お金、大丈夫?」と面接で言われたり、苦労してます。

それについてはすごく共感できます。芸事をするのって、本人の努力も必要ですが、家族の支えが大変。シューズを買ったり、レッスン料を払ったり「そうだよな」と昔を思い出しました。宝塚音楽学校に入った時、ニュースでも取り上げられる感動的な合格発表の直後、まず採寸から始まって、着物からタップシューズから、何もかもを一気に揃えなくてはならないことに「こんなにお金がかかるの?」と子どもながらにビックリしました。

●アメリカン・ドリームの映画だったら「I love you だから、お父さんお前を助けるよ」となるところでしょうが、イギリス物は一筋縄でいかないものがありまして、ビリーのお父さんは反対して反対して反対する頑固おやじっぷりです。優しい顔なんて見せません。

そこが最高なんですよ! 簡単に「I love you」と言わないのが良いです。ウィルキンソン先生についても、演出の先生から「とにかくポーカー・フェイスで、ビリーに対して愛情とか子ども扱いはまったくしないでくれ」と言われました。ビリーから手紙を取り上げて読む場面なんて「うゎぁ、こんな他人の家庭事情に踏み込むなんて!」と衝撃を受けるドライさ。ビリーが初めて踊る場面でも「ビリーが特別な子だと思うのは最後の最後だけで良いから、最初から才能を見出さなくて良いよ」と。ということで「まあ、踊りのラインはちょっとキレイだけど、次は来ないだろうな。男子は珍しかったから、からかっていた」くらいで役作りしてます。

●とはいえ、ミュージカル版の強みは、台詞や表情だけでなく、音楽が心情を表現できるところ。ウィルキンソン先生やビリーのお父さんがどんなにポーカー・フェイスでも、その心情がわかってしまいます。

そうなんです! ストレート・プレイだったらできない、ミュージカルならではの魅せ方です。ビリーのお母さんの場面~ウィルキンソン先生の手紙の場面~ロイヤルへ巣立つ場面に同じメロディが流れて心情を語ります。また、お父さんがウィルキンソン先生の家に来るくだりも、表面的な台詞だけでなく、心の声を語る音楽が効果的で、ミュージカルだからこそできる魅せ方。クリエイティブ・チームに感動です。

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●ビリーを軸に、お父さんとウィルキンソン先生との対立だけでなく、お父さんとビリーのお兄さん・トニーとの葛藤も生まれるなど、ビリーが主役ですが、大人たちの物語も深く描かれてます。

トニー目線で観たら、自分だって息子なのに、一緒にストライキに参加するはずの父親がビリーのためにスト破りをするのはショックでしょう。お父さんのこともすごいわかるんです。仲間を取るか、息子(ビリー)を取るかの葛藤、ビリーの夢をかなえるためトニーを傷つけることになる葛藤など。根底に「自分がやりたいことを見つけたビリー」への愛情、「子どもだからこそ助けが必要」という親の愛情があるのに、様々なしがらみが彼を悩ませます。でも「誰かのために強くなるん」んです。

●ラストもハッピーかと思いきや、ストライキに失敗し、炭鉱へ戻ってく労働者たちなど、単なる成功物語になってないのがイギリスっぽくも感じます。

「人生そんなにうまくいかないぞ」感がまた味わい深いですね。ビリーが大人になってからの場面が舞台版ではないので、どうなるかわからない余韻が魅力です。ストライキには失敗したものの、お父さんもトニーもプライドは持ってます。
貧しい炭鉱の街で、苛酷な環境、お母さんがいないところで育ったビリーですが、ロイヤルに受かったものの、それはゴールじゃないってところも、突き刺さるものが多すぎて、出会えて良かった作品です。

●そんな中、ウィルキンソン先生は陽のエネルギーを発する役でもありますね。

ご本人も実はそんなに恵まれている環境ではなくて、旦那さんが中流階級だったのでトニーをはじめ、労働者たちから「この中流階級女!」などと言われますが、自分では中流階級と言われるのがすごく嫌で、労働者階級の一番上だと思っているみたい。そして、階級とかを異にする男をくだらないと思ってるんです。

●保守的な街なのに、ビリーの友達のマイケルが女装好きでゲイゲイしいのに寛容なあたり、80年代のイギリス・カルチャーも反映されていますし、また、サッチャー政権への皮肉なども……。

イギリスの雰囲気が表現されてますね。ビリー目線、父親目線、ウィルキンソン先生目線、トニ―目線など、大人の物語としても奥行きのあるものになってます。

■ウィルキンソン先生の見せ場!

●柚希さんが出演ということで、ダンス・ナンバーを楽しみにされているファンも多いと思いますが、おいしい見せ場がありますね。

最初の登場場面「シャイン!」がとても好きです。適当にバレエのレッスンをしながら、7か月半先の発表会になっていくんですけど、いつの間にか生徒たちに羽根を持たせて、自分が真ん中で踊ってる(笑) バレエ教室の発表会でも、あんな可愛らしい面白い先生っているじゃないですか。楽しくやりたいと思ってます。
実は、出演が決まるまでは、そんなに出番が多くない役だと思ってたんです。でも、台本や楽譜をいただいたら「ここも出てたんだ!」ってビックリ。炭鉱夫の場面とバレエ教室の場面がコラボしながら2か月くらいを表現するナンバーでは、全身どんどん着替えていくんです。この期間、ビリーが毎週稽古を積んできたぞという大切なナンバーですが、きっとファンの方にも喜んでいただけるかと思います。フィナーレナンバーも名場面です!

●ちなみに、ロイヤル、ロイヤルと登場しますが、世界三大バレエとも言われる、英国ロイヤル・バレエ団、柚希さんにとっても憧れでは?

もちろんです。バレエはフランスとかロシアとか流派がありますが、ロイヤルのスタイルはまた魅力的です。パリ・オペラ座バレエ団から英国ロイヤルバレエに移籍した際「国家的損失」と言われた、シルヴィ・ギエムさんに憧れたものです。もちろん、ABT(アメリカン・バレエ・シアター。世界中からスターダンサーを集めた公演が人気)も凄く好きでした。ロイヤルは吉田都さんや熊川哲也さんなどの活躍で日本人には馴染みがあります。

■今後の女優活動

●宝塚歌劇団を退団して約2年。『プリンス・オブ・ブロードウェイ』、『ミュージカル バイオハザード 〜ヴォイス・オブ・ガイア〜』、『お気に召すまま』に続いて『ビリー・エリオット』は4本目となる舞台作品です。

宝塚時代から「ロミオのような白い役が似合う」と言ってもらった次は「力強い、男らしい役が良いね」と言われたりして「こっちの方が似合うんじゃないか?」「いや、やっぱりこっち?」といろんな役を演じてきました。私としては昔も今も「今、やっている役が一番良いと言っていただきたい
と思って続けてます。『お気に召すまま』で10代の女の子を演じたばかりなのに、今回は中年のウィルキンソン先生。今、いろんな役に挑戦できる幸せを感じています。やりたいと思ったら「できないんじゃないか」とか「まわりがどう思うかな」とか関係なく、挑戦し続けたいです。今後もミュージカル、コンサート、テレビなど、様々なことを経験しながら「今の自分が一番」と思えるようやっていきたいと思います。

[プロフィール]

be_keyゆずき・れおん
1997年に宝塚歌劇団に入団。99年に初舞台を踏み、2009年星組トップスターとなる。主な主演舞台に、『ロミオとジュリエット』『オーシャンズ11』『太陽王~ル・ロワ・ソレイユ~』『眠らない男・ナポレオン‐愛と栄光のはてに‐』など。2015年に『黒豹の如く』『Dear DIAMOND!!』にて宝塚歌劇団を退団。ミュージカル 『バイオハザード 〜ヴォイス・オブ・ガイア〜』『お気に召すまま』などに主演し、女優として活躍している。


[公演情報]

ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

[プレビュー公演 ]2017年7月19日(水)~7月23日(日)  TBS赤坂ACTシアター
[東京]2017年7月25日(火)~10月1日(日)   TBS赤坂ACTシアター
[大阪]2017年10月15日(日)~11月4日(土)  梅田芸術劇場 メインホール

ロンドンオリジナル・クリエイティブスタッフ
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン 
振付:ピーター・ダーリング 
美術:イアン・マックニール

日本公演スタッフ
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子

出演:加藤航世 木村咲哉 前田晴翔 未来和樹 山城力
吉田鋼太郎 益岡徹(Wキャスト)、柚希礼音 島田歌穂(Wキャスト)、久野綾希子 根岸季衣(Wキャスト)、藤岡正明 中河内雅貴(Wキャスト)、小林正寛、栗山 廉(Kバレエ カンパニー) 大貫勇輔(Wキャスト) 他

公式サイト:http://billyjapan.com/

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