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インタビュー & 特集

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INTERVIEW! 『レ・ミゼラブル』福井晶一さん

5月21日からプレビューが始まり、本日5月25日、初日の幕をあけた『レ・ミゼラブル』。福井晶一さんは、新演出版となった2013年の『レ・ミゼラブル』より、ジャン・バルジャンを演じています。2015年公演を経て、今3度目のバルジャン役に向き合っている福井さん。歌唱のテクニックからトリプルキャストの妙、ミュージカル俳優としての自らの強みまで、色々と語ってくれました。(取材・文・撮影/小野寺亜紀)

INTERVIEW & SPECIAL  2017 5/25 UPDATE

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舞台は19世紀初頭のフランス動乱期、原作者ヴィクトル・ユゴーが自身の体験を基に社会情勢や民衆の隅々まで克明に描ききった大河小説を、素晴らしい音楽で綴ったミュージカル『レ・ミゼラブル』。この名作が今年日本初演30周年を迎えます。

「僕は『レ・ミゼラブル』の出演は今回で3度目ですが、あらためて歴代の名だたる俳優の方々が築かれてきた“30年の重み”を感じています。この作品の一番の魅力はやはり音楽。余計なことをしなくても、音楽がキャラクターのその時その時の心情を表現してくれます。さらに “愛”という普遍的なテーマや、どのように生きていくべきかというヒントがたくさん隠されていて、観終わった後に“明日から強く生きていこう”という希望や光を与えてくれます。観る年代によって違う感じ方ができる、違うキャラクターに感情移入できるなど、いろいろな楽しみ方ができるのが、30年愛されている理由なのだと思います」

幾度となく上演されるも、本場ロンドンの演出チームによって毎回ブラッシュアップされるのが『レ・ミゼラブル』。今回は新しいキャストも多く迎え、新鮮だと言います。

IMG_9649 (2)_サイズ変更「新しいキャストの方が入ると、それが起爆剤になって色んな発見があるので楽しみですね。音楽や演出に関しても、また新たな変化があると思います。2013年2015年と出演した時、バルジャンの一番大きな変化というと、冒頭の登場シーンで坊主になったことです。それによって俳優としてすごく意識も変わりました。今回も坊主になるかは、まだ分からないのですが(笑)。あと音楽に関して言えば、バルジャンの曲『彼を帰して』の歌唱法を、2013年と2015年で僕は変えました。その時は観ていた方にも『全然違った』と言っていただきました」

慈しみ育てたコゼットの恋人、マリウスの命を助けてほしいと神に訴えるように歌うナンバー『彼を帰して』は、かなりの高音も要求される高難度の曲です。

「とても難しい歌で、感情だけでは歌えない、テクニック的なものが必要な曲です。2013年は自分にないところ(声)を無理に伸ばそう、発見しよう、としていたのですが、2015年は『晶一の一番いい響き、いい声で歌っていいのだよ』というヒントを頂き、自分の強みとしている発声を使うようにしました。地声と裏声ともう一つ、“ミックス”という両方を混ぜた声があるのですが、その“ミックス”をうまく使えると、柔らかい部分を表現できます。そこを捉えることができて、自然と心情の移り変わりも声に乗せて歌えるようになりました」

劇団四季時代から深みのある歌声で魅了し、数々の舞台に主演してきた福井晶一さん。ただ、この『レ・ミゼラブル』で物語の中心となるジャン・バルジャンを演じることは相当な重圧、「恐怖」があると言います。

IMG_9648 (2)_サイズ変更「この作品ならではですが、初日の幕が開くまでは本当に“恐怖”の方が強いです。帝国劇場の舞台の真ん中に立つ重みは、やはり経験者にしか分からないものだと思います。その“恐怖”を拭いさるために、今、福井晶一というものを全てなくし、ジャン・バルジャンという役でしっかり立てるように、しっかりと稽古を積み重ねていきたいと思います。自分をどこまで追い込めるか、どれだけ充実した稽古を重ねるかで、恐怖を拭いさるしかないのですが……。2015年は特に舞台に立つのが本当に怖かった。しばらく(舞台の仕事を)休んでいた後の復帰だったので。実はその復帰の少し前に父が亡くなったのですが、舞台に立つ前、ふっと父の顔が浮かんで、『あぁ、僕は守られているのだ』と思った時、スッと緊張が解けた瞬間がありました――。今年は今年で、新たな気持ちで、色んなものを背負いながら、そこにしっかり立てるように頑張りたいと思っております」

温かみのあるバルジャンは、福井さんの真骨頂でもあります。

「バルジャンは聖人のように言われることもありますが、僕はそのようには捉えていなくて、ごく普通の、皆より少し力持ちで強くて優しい男だったと思っています。パンを盗んだことから19年間牢獄に入れられ、その牢獄から出て、司教に出会ったことによって心を入れ替えようと決意し、そこからどうやって生きていくか、ということが『レ・ミゼラブル』のスタートになっている。ラストに向けて劇的に変わっていくところが、ジャン・バルジャンというキャラクターの魅力だと思います。2013年は、稽古中にアキレス腱を切ってしまった影響もあって、100%パフォーマンスに集中できる状態ではなく、この足をごまかしながら、最後まで舞台を全うすることが最大の目標でした。そこから考えると2015年はもっと役と向き合えた舞台でした。バルジャン役を共に務めた光夫(吉原光夫さん)や、ジュンモ(ヤン・ジュンモさん)と、一緒に作り上げていった舞台でしたね」

トリプルキャストは、役のインスピレーションを得る意味でも有意義だと言います。

「同じ役に3人、と聞くとギスギスしているのかなと思われるかもしれないのですが、僕たちはすごく仲がいいです!光夫は劇団四季の後輩ですが、彼は自分で劇団を主宰し演出もしているので、作品や役の捉え方などすごく勉強になります。僕はどちらかというと感覚人間なので(笑)、僕に足りない部分を光夫は持っていて、彼から教わることもありすごく助かっています。ジュンモは自身がクリスチャンなので、彼を見ているとやっぱり神の存在をすごく感じるんですね。2015年の稽古の時、一度ジュンモに『一緒に教会へ行かないですか』と誘われて、実際に司教さまと二人でお話させて頂く機会がありました。その後は、神という存在を意識することで自分の中で変わった部分があって。それは僕一人で稽古していても見つけられないものでした」

名曲揃いのミュージカルですが、中でもお気に入りのナンバーとして3曲を挙げました。

IMG_9650 (2)_サイズ変更「まずはこの役の大部分を占めていると思う、冒頭の『独白』。“劇的な気づき”の曲で、司教さまの教えがあって彼の人生が180度変わる、その決意をした歌なので。演じている僕もそうですし、お客様も期待してくださっている曲だと思います。大切な歌なので、今回も全身全霊を注ぎたいです。あとは先ほどの『彼を帰して』。生まれ変わってからのバルジャンの優しさ、本質、愛など色んなものが詰まった歌です。この2曲は外せないですね。あとジャベールの『星よ』も入れておいてください(笑)。この曲はミュージカル・ファンとしても魅力的で、揺るぎない信念やジャベールという人物をこれ以上ないぐらい表現している歌。彼の生き様はやっぱり格好いいですし、男だったら歌いたいと思う曲ですよね」

2013年はバルジャンとジャベールを演じ、2015年からはバルジャンに専念。両方の役を演じたことで見えてきたものも。

「僕が最初に『レ・ミゼラブル』を観たのが19歳、20歳ぐらいだったのですが、一番ジャベールが格好良く見えたんですよ!屈折した人間ですが、自分の信念を曲げない強さがあり、僕にもそういう部分がたぶんあると思うので(笑)、気持ちが分かるところもあって。僕はもともとジャベールを演じたかった。だから両方の役を演じられた2013年は嬉しかったですね。このジャベールを経験したことは、バルジャンを演じるうえですごく役に立っています。バルジャンとジャベールは敵同士ですが、二人はすごく似ていて表裏一体、コインの表と裏というようによく表現しますが、本当にそうだなと。だからこそお互いの気持ちが分かる瞬間があって、一方でそれを認められないジャベールがいたり。互いを意識して演じられるようになり、表現の幅が広がった。ジャベールは、チャンスがあればもう一度演じたいぐらいです(笑)」

『レ・ミゼラブル』は演じる役者によって、ちょっとしたしぐさから、芝居まで様々な違いが見受けられます。キャストに任せられている部分もあるのか伺うと――。

「ありますね。決まり事はありますが、その中で自由に動くのはOKです。もちろん歌はしっかり歌わないといけないですよ(笑)。細かいしぐさや表情は個人のセンスです。その中で僕自身のバルジャンはというと、やはり僕の引き出しからしか出ないですが、一つ強みかなと思うのは、しっかりと言葉を伝えるというところだと感じます。劇団四季時代もそういう教えを学び17年間やってきた経験もありますし、今回歌稽古に入った時も、あらためて自分のやってきたことは間違いじゃないと思いました」

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2012年に映画版が大ヒットを記録しましたが、福井さんはこの映画を何度も見返したそう。

「映画もほんと良かったですよね! 演出的に前後しているところもありましたが、それはそれで流れも良かった。舞台はまた違いますけど、新演出版は映画に合わせてきているところもあるので、映画を先にご覧になった方も入りやすい舞台になっていると思います。またナマの舞台は、臨場感が違います。特にオーケストラの素晴らしさは『レ・ミゼラブル』ならでは。昨今、様々なミュージカルが生演奏で上演されていますが、この作品ほど豪華な編成はなかなかないですし、僕たちもやはりオーバーチュアでテンションがバーンと上がります。お客様も心動かされると思いますし、ぜひオーケストラ演奏も含めて、映画とは違うパフォーマンスを楽しんでいただけたらと思います」

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福井晶一(ふくい・しょういち)
北海道出身。舞台芸術学院を経て、1995年に劇団四季研究所に入所。丁寧かつ真摯な役作り、奥ゆきのある深い美声を駆使し、数々の舞台で主演を務める。主な作品に、『アイーダ』のラダメス、『美女と野獣』の野獣、『ライオンキング』のムファサなど。2012年に劇団四季を退団、2013年、新演出版『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン/ジャベール役に抜擢される。その後も『私のホストちゃん THE FINAL 激突!名古屋栄編』『ジャージー・ボーイズ』『SNOW MANGO』『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル』などの舞台をはじめ、コンサートやテレビCMなど幅広く活躍。2017年、俳優デビュー20周年を記念して初のソロアルバム「Blessings ―いつもそばに―」をキングレコードよりリリース。

omoshii mag vol.10 では、『レ・ミゼラブル』大特集!詳細は右のバナーからご確認ください。


ミュージカル『レ・ミゼラブル』
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子

出演
ジャン・バルジャン:福井晶一/ヤン・ジュンモ/吉原光夫
ジャベール:川口竜也/吉原光夫/岸祐二
ファンテーヌ:知念里奈/和音美桜(東京・福岡・大阪公演のみ)/二宮愛
エポニーヌ:昆夏美/唯月ふうか(東京・福岡・名古屋公演のみ)/松原凜子
コゼット:生田絵梨花/清水彩花/小南満佑子
マリウス:海宝直人/内藤大希/田村良太
テナルディエ:駒田一/橋本じゅん(東京公演のみ)/KENTARO
マダム・テナルディエ:森公美子/鈴木ほのか/谷口ゆうな
アンジョルラス:上原理生/上山竜治/相葉裕樹

◆東京公演 2017年5月25日(木)~7月17日(月・祝) 帝国劇場
※プレビュー公演 5月21日(日)~5月24日(水)
※日本初演30周年スペシャルウィーク 6月11日(日)~6月17日(土)
◆福岡公演 2017年8月1日(火)~26日(土) 博多座
◆大阪公演 2017年9月2日(土)~15日(金) フェスティバルホール
◆名古屋公演 2017年9月25日(月)~10月16日(月) 中日劇場

公式HP http://www.tohostage.com/lesmiserables/

 

 

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