インタビュー & 特集

INTERVIEW!『それいゆ』施 鐘泰(JONTE)さん

2016年に上演された舞台『それいゆ』が早くも再演。TVドラマのヒットメーカー・古家和尚氏(『LIAR GAME』『ガリレオ』など)が書き下ろし、戦中戦後の女性たちのカリスマ的な存在・中原淳一の生き様にスポットを当てた本作。生歌をはじめ重要なポジションを担うのが、『Kinky Boots』での好演が記憶に新しい施 鐘泰(JONTE)さん。デビュー10周年とあって、歌手を目指す青年役に再び向き合う意味をかみしめています。(取材・文/小野寺亜紀、写真/大東佐知子)

INTERVIEW & SPECIAL 2017 3/1 UPDATE

931A9108p――2016年上演の作品を初演メンバーで再演、と伺ったときのお気持ちは?

 やはり嬉しかったです。本当に素敵なお話で内容が素晴らしかっただけに、初演では「公演数がもっとあれば…」と感じていました。中原淳一さんの挿絵は、僕の周りでも知っている人が多かったですし、上の世代の方が経験されたことを、このような形で演じさせていただけることに感謝しています。今を生きる若い人たちなど、幅広い方に観ていただきたい作品です。

――昭和初期に少女雑誌の挿絵で一声を風靡し、戦後女性誌『それいゆ』『ひまわり』を創刊された中原淳一さんは、少女たちに夢を与え続けたそうですね。

 一歩先を見ていた方で、自分が信じたものに対しては、どういうことがあっても投げ出さず、真摯に最後まで向き合う強い人だと思います。人間って諦めることは簡単じゃないですか。一つのことを何十年も貫く精神力って並大抵ではないですし、戦中戦後の状況でその精神力を保たれていたのはすごいなと感じます。

――JONTEさんが演じる天沢栄次(あまさわえいじ)は歌手を目指す青年で、中原淳一の最大の理解者となってゆきます。

 中原淳一に初めて出会ったとき、天沢は結構オドオドして臆病だったのが、自分も夢を持てたことに気付き、変わっていく様が演じていて面白かったです。

――当時は歌を歌うこともためらう時代だったと?

 外来語や外来文化は、その時代排斥の圧力を受けていたので。そんな中、フランス人形的なものをやっている中原先生に天沢は出会い、彼の精神力に惹かれてたくさんの刺激を受けていきます。もともとこの役は、モチーフになった実在の歌手の方がおられます。実際、中原先生がデザインされた衣裳を着てステージにも立っていたそうですよ。作品の語り部も担っている役でしたが、そういう役は初めてで、最初「もっとゆっくり話してください」という演出をつけられました。舞台って、少しゆっくり話すぐらいがちょうどいい、と言われますが、僕は普段喋り口調がすごく速いので、「これで大丈夫?」と思うぐらいゆっくりゆっくり話して(笑)。初めての経験でした。

931A9122――中山優馬さん演じる中原淳一はどうでしたか?

 容姿端麗で一つのことに没頭している人って、どこか狂気めいてる部分がありますよね。そんな中原先生の危なっかしさを、優馬くんは懸命に役作りされていて、見ていて怖さも感じました。中原先生は優しさと、急にキレるときと、結構振れ幅の大きな人物ですが、そのあたりをうまく表現されていました。特に天沢への優しさをとても感じました。

――“美しく生きる”がテーマかと思うのですが、JONTEさんがこの作品で一番ドカンとくるところは?

 ドカンとくるのは中原先生の“ずっと追い求めている姿”ですね。やっぱりあそこまでやらないと、後世には残らないのだと思いました。だいぶ昔に描かれた少女の絵が、今なお皆さんに「見たことある!」と思われ支持されるのは、やはり自己と向き合い、逃げずにやってこられたからだと。この作品で、ずっと追い続けることの大切さを学びました。

――アーティストとしてデビューされたJONTEさんとしては、歌手を目指すというところも入りやすかったですか?

 まさに、ですよね(笑)。性格的な部分も自分と重なるところがあります。間違っていることを見ると、正したくなるというか、ダメなものはダメという。最初天沢は、時代的に発言してはいけないこと、やってはいけないことを守らねばと、それが正義だと思っていた。でもそのようなことを全部ぶち壊すような中原先生に出会うわけです。また、献身的に中原先生をサポートするという点では、昔ラジオ局のADをやっていたので、支えるのは全然嫌いじゃない。そのADの経験もちょっと役に活きたかな(笑)。

――劇中で歌も披露されますね。ミュージカルで歌うのと、ストレートプレイで歌うのとではまた違いますか?

 そうですね。特に今回は急に歌うので! 作品を締めるというようなところもあり、とても大切だと思っているので、歌に関してもさらに詰めていきたいと思っています。再演ではもっと役が立体的に見えるように、一つ二つ超えた先を目指して頑張りたいです。

931A9103――昨年は3年ぶりにアルバムをリリースされ、今年はデビュー10周年。アーティスト活動をしながら、さまざまな舞台に出演されていますね。

 10周年にこの作品に向き合うのは、何かを暗示しているのかもしれないですね。“あなたもそうでいて欲しい”と、言ってくれているような…。本当に色んな方と出会えた10年でした。歌も演技も表現という意味では同じで、歌で見えるものと舞台で見えるものとが合わさることで、幅が広がるのを感じます。特にライブをすると、“変わったな、だいぶパワフルになったな”、と一番思います。自分にとって舞台は一つの試練というように受け止めることができていますし、一生懸命やることによって自分に返ってくるものがあります。大げさかもしれないですけど(笑)、どちらも僕にとってなくてはならないものになっている気がしますね。


施 鐘泰(JONTE / ジョンテ)
大阪府出身。2006年日本武道館で行われたEXILE新メンバーを募集した「EXILE Vocal Battle Audition 2006 ~ASIAN DREAM~」のファイナリストとして選出される。2007年「ゆれる」で日本・中国・韓国の3か国同時デビューを果たす。2009年からは舞台やドラマにも出演。2012年地球ゴージャスプロデュース公演vol.12『海盗セブン』をはじめ、ミュージカル『愛の唄を歌おう』、『No.9-不滅の旋律-』など幅広い舞台で活躍する。2016年は『それいゆ』、ブロードウェイミュージカル『Kinky Boots』に出演し、3年ぶりにニューアルバム「Reboot」をリリースと、多彩な表現方法でエンターテインメントを追求している。


「それいゆ」
脚本:古家和尚
演出:木村淳
主演:中山優馬
出演:桜井日奈子、施鐘泰(JONTE)、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、愛原実花/金井勇太/佐戸井けん太、他

◆東京公演
4月6日(木)~11日(木) サンシャイン劇場

◆福岡・小倉公演
4月14日(金)~15日(土) 北九州芸術劇場 中劇場

◆兵庫・神戸公演
4月19日(水)~23日(火) 新神戸オリエンタル劇場

HP http://www.ktv.jp/event/soleil/index.html


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