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インタビュー & 特集

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INTERVIEW! こまつ座『木の上の軍隊』山西惇さん&松下洸平さん

故井上ひさしの原案を基に、蓬莱竜太が書き下ろした『木の上の軍隊』。初演から3年の時を経て、2016年11月に紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで再演される。ある時ある島で、戦闘中に木の上に隠れた上官と新兵の物語は、新兵役に松下洸平を迎えどのように変わるのだろうか。初演でも上官を演じた山西惇は、2度目のこの役をどのように受け止めているのだろうか。(取材・文/湊屋一子 写真/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL  2016 10/26 UPDATE

お互いが発するものを
大事にして演じられる会話劇

_DSC2644――お互いの印象は?
山西 松下くんのことは前から人としては知っていましたが、お芝居を観たのは『アドルフに告ぐ』が初めてで、とてもいいなと思っていました。新兵という役にすごく合ってると思うので、今回一緒にやるのが楽しみです。
松下 山西さんは何度もお芝居を拝見していますし、『木の上の軍隊』の初演も拝見していて。でもまさか、自分が次に新兵の役をやらせていただくとは思っていなかったんですけど(笑)。普段から口数が多くはなく内に秘めてるものがある方だから、ああいう上官が出来たんだなと思いました。いつか現場をご一緒したいと思ってたんですけど、まさかこの作品でご一緒できるとは思いませんでした。
――実際に稽古に入ってみた感じは?
_DSC2705松下 昨日、一緒に本読みをさせていただいて、山西さんと一緒で本当に良かったと思いました。自分はあまり役作りとか考えずに現場に入って、山西さんや普天間(かおり)さんから受け取るものを大事にして、素直に反応していこうと思っていたので。すごくいろんな発見がありました。家でセリフを覚える時に、自分なりの言い回しが出来てしまうこともあるんですが、会話劇ってそうじゃないと思うんですよ。キャラクターは理解して稽古に向かいますが、どう喋るかまではあまり決めないですね。
山西 僕は3年前に参加した作品で、その時やり尽くしたなと思うところまでいけた作品だったけど、今また読み返してみると新しい発見があったりして、本当に面白い。体が覚えているんですよ、初演のあの時のトーンとか、キャラクターとか。でもそれがかえって邪魔というか、相手も松下くんで違うし、前を忘れてもう一回やってみようと思っています。

現実が持つ力強さと
フィクションならではの掘り下げ方

_DSC2714――山西さんは「初演でこの役を演じて自分は変わった」そうですが?
山西 よく「役になりきって」とか「その人物として生きる」とか言うじゃないですか。もちろんそれまでもそのつもりで全力でやってきましたけど、この作品は「上演している約2時間の間、山西惇の人生はない!」と感じるくらいになったんです。もう本当に、その時間は上官として生きていて。作品の中で2年が経つんですけど、本当に2年過ごしたなという感じで……。よくそういう作品を昼夜2回もやらせるなと(笑)。あれが「その人を生きると言うことだ」というのを芯から体感して、『木の上の軍隊』初演以来、役の掘り下げ方が変わりましたね。
松下 この作品は実話が元になっていますが、僕は新兵を演じるにあたって、実際に2人が過ごしていたガジュマルの木を見に行ったんです。木にも登ってみたんですが、よくあんなところで寝られたなと。すごく幅が狭いんですよ。あの場所で2年も……。その木に登って、その木からの景色を見たことが、今回新兵を演じる上で、すごく大事なよりどころになっています。演じるってことは想像力の勝負ですけれど、そこに1つ現実の景色がある、確かなものがあるってことが、すごく支えになりますね。
山西 初演の時、上官のお嬢さんが観に来てくださったんですが、何も言わずにお帰りになって。いろいろ言いたいことはおありだったと思う。
松下 そうなんですか……実話ですから、いろいろな思いがありますよね。

「理解したい」「信じるしかない」
2つのセリフが灯す小さな光

_DSC2737山西 実話は沖縄戦の最中のことなんだけど、作品の中ではひと言も、ここがどこかも、名前も言わない。いつ、どこでも起こりうることなんだよ。まったく違う二人が出会って、わかり合えなくて、あの上官と新兵は、木を降りてからは二度と会わなかった。
――あれだけ濃密な時間をともにした二人が。
山西 最終的にはやっぱり理解し合えないのかな。人と人とはわかり合えないのか、だから戦争はなくならないのかな、というところまでいってしまう。
松下 でもその中で、新兵の「信じるしかない」ってセリフがある。それは他に選択肢がないから「信じるしかない」というセリフではあるのですが、僕はいろんな意味でこのセリフにしがみついています。わかり合えない、でもなんとかやってきた。この人を信じるしかないというこのセリフに、いろんな意味が込められていると。
――後ろに込められた意味を内包して「信じるしかない」というセリフをどう言うか。
松下 すごくプレッシャーはあります。でもこの作品はここまでくるのにたくさんの方たちが関わって、これからも受け継がれていく舞台なんだから、僕はその力を信じています。山西さんとこの舞台で生きて、そうしたら言えると、もう“信じるしかない”ですよ!
山西 あははは、大丈夫、大丈夫(笑)。不理解、わかんない、おまえのことがというのが最後まで上官の中で消えない。でも理解したい気持ちがあったという、そのセリフだけが救いなのかと今は感じていますね。すべてそぎ落としていって、その「理解したい気持ちがあった」という、それだけが残った。
松下 沖縄戦の悲惨さとか、そういうものも描かれているんですけど、それだけじゃなくて、緊迫した状況下でもどこか楽観的に見ている新兵がいたり、敵国の食べ物で肥っていっちゃう上官の間抜けさだったり、そういうユーモアの部分もまさに井上イズムですね。
山西 蓬莱くんもよく引き受けたと思う。たぶん依頼されたときは「なんでオレやねん?」と思ったと思う(笑)。井上さんの原案で書くって、相当しんどかったはず。でも、井上さんのように書くんじゃなくて、井上さんのエキスを受け取って、蓬莱くんらしく書いた。すごくシンプルなセリフの中に、いろんな人間らしさが込められる作品になった。だからこそ難しいけど、面白いんだと思います。
松下 はい、難しいけど面白い。ああ、もう出来ると信じるしかないです!
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山西惇(やまにし・あつし)
1962年生まれ、京都府出身。劇団そとばこまちでの活動を経て、舞台、映画、TVなど多方面で活躍中の実力派俳優。2008年『人間合格』、2014年『きらめく星座』ほか、こまつ座へ参加を重ねている。NHK大河ドラマ『真田丸』、テレビ朝日『相棒 season15』などに出演。2017年、2~3月にBunkamuraシアターコクーンにて昭和三部作・完結編『陥没』、4月に新国立劇場にて『城塞』に出演予定。映画『相棒 -劇場版Ⅳ-』の全国ロードショーも控えている。

松下洸平(まつした・こうへい)
1987年生まれ、東京都出身。2008年にシンガーソングライターとしてメジャーデビュー、2009年BROADWAY MUSICAL『GLORY DAYS』で俳優として初舞台。以後、ミュージカル『スリル・ミー』、『アドルフに告ぐ』、ミュージカル『ラディアント・ベイビー〜キース・ヘリングの生涯~』など、舞台、映像、音楽と多方面で活躍中。『木の上の軍隊』でこまつ座初参加。12月22日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて『松下洸平LIVE2016 LIVING XMAS』を開催予定。

平成28年度文化庁芸術祭参加公演・沖縄タイムス社後援
こまつ座 第115回公演
『木の上の軍隊』
原案:井上ひさし
作:蓬莱竜太
演出:栗山民也
出演:山西惇、松下洸平、普天間かおり、有働皆美(ヴィオラ)
2016年11月10日(木)〜27日(日)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(新宿)
※詳細はhttp://www.komatsuza.co.jp/をご覧ください。

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