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インタビュー & 特集

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INTERVIEW!『かもめ』渡辺大知さん

演劇史にその名を刻むロシアの劇作家アントン・チェーホフ。彼の四大戯曲の一作目である『かもめ』が、気鋭の演出家・熊林弘高の演出で上演される。様々な人物を描いた群像劇だけに、キャストにも個性豊かな顔ぶれが集結。教師メドヴェジェンコに扮するのは、ロックバンド・黒猫チェルシーのヴォーカルで俳優の渡辺大知だ。(取材・文/高橋彩子 写真/石原敦志)

INTERVIEW & SPECIAL  2016 10/23 UPDATE

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_45A0309ーー稽古も佳境に入りつつありますが、稽古場の様子はどうですか?
 熊林さんの演出が、突拍子もないのに“分かる”というか“刺さる”というか、アイデアが面白くてワクワクするんですよ。ホンを読んだ時には想像しなかったくらい、身体的でダイナミックです。僕自身は役柄的にそんなに激しく動かないんですが、やっぱり小さくはいたくないなと思いながらやっていますね。熊林さんはすごく人のことをよく見ている演出家で、この人が感情的になったら面白いとか、この人だからちょっとセクシャルな演技を真面目にやると可笑しいとか、そういうことがわかってやらせているから、変なことにならない。例えばパンツをずり下ろした時、その人の内面もごろっと出ちゃうような感じに見えると思います。
ーーそんな熊林さんに“見られる”ことを、渡辺さんご自身はどのようにお感じでしょうか?
 今回、稽古に入る前に、本読みと称したお喋り会のようなものがあり、2時間くらい、本を開くでもなく、雑談のような会話をしたりDVDを見たりしたんです。僕は2回ほど呼ばれ、最初は(中嶋)朋子さんと熊林さんと僕の3人、次に坂口健太郎さんと熊林さんと僕の3人で会って。今思うと、それも役者を見ている時間だったのかな、と。時々、“見透かしている”みたいな方っていますけど、熊林さんにはもっと自然に、一緒にいる中で見られていて、気がついたら掌の上で転がされている感じ(笑)。ある意味怖いんですけど、抗っていてもつまらなくなりそうな気がするので、流れに引き込まれるつもりでやっています。
ーー呼ばれた3人の組み合わせと作品には関係があったと思われます?
 はい。やっぱり僕が演じるメドヴェジェンコは朋子さん演じるマーシャに対して一方的な強い気持ち、熱量のようなものがあるし、坂口さん扮するトレープレフは、そのマーシャが思いを寄せる相手なので、嫉妬だけではなく悔しさのようなものがあって。でも、メドヴェジェンコの場合、トレープレフのことは認めているので、恨むというより、太刀打ちできないという自分の弱さに気づかされているんだと思います。だから、近くにいるんだけれど遠い存在。考えてみればこの劇ではみんな、近い場所にいるけれど距離があるんですよね。
ーー共演者の皆さんはいかがですか?
 芸達者な方ばかりで楽しいです。皆さん、本当に自分自身でいることができて、かつ、自分の役というものをすごく考えている人達。同じ空間にいるだけで刺激になります。
ーー「自分自身でいること」と「役を考えること」が俳優にとって大切だと、渡辺さんも感じているということでしょうか。
 僕は、ですけど、誰か他の人になりきる、憑依するなんてできないという前提で、その嘘をどうやって嘘じゃないみたいにできるかが大事だと考えているんです。そこがロマンだと思うんですよ。本当はそんなヤツいないのに、いるかもしれないと信じさせるためには、自分のままでいなくてはダメで、だけど役のことを考えるという、両方が必要なんじゃないかと。
ーーそのことに気づいたのはいつですか?
 いつかはわからないですけど、役者として呼んでもらって何作かの映画に出演してからですかね。1作目のころはまだそういうふうに考えてはいなかった気がします。何作かやるうちに、違うキャラクターになろうとすると逆に嘘っぽくなって遠のくように感じて、説得力をもつためには“自分”が生きていなくてはいけないのではないかと思ったんです。
_45A0278ーー今回は初の翻訳劇。19世紀のロシアに生きるメドヴェジェンコとご自分とをどうリンクさせますか?
 メドヴェジェンコなんて初めて聞く名前で、最初は“ぬらりひょん”とか、そういう妖怪みたいだなと(笑)。本読みの段階では、どちらかというと心を動かすことを中心に考えていたのですが、立ち稽古に入り、目の前で人が動く中で、例えば離れているマーシャのことをつかみたいと思った時、自分だったらこれくらいの感じで言うかな?とか、僕だったらこうする!とか、そういうふうに、体も伴うようになってきました。
ーートレープレフやニーナには心情を吐露する長台詞もあるのに対して、メドヴェジェンコは人との関係で生まれる台詞が主体ですね。
 ただ、メドヴェジェンコはその場にいる人の中で一番、部外者だと思うんです。アルカージナたちの輪があって、トリゴーリンやニーナは一族じゃないけれどそこに入っていて、メドヴェジェンコはマーシャがいるから輪に入りたいのに入れない。俯瞰で見ているというわけではなく、同じ空間にはいるけれど少し離れたところから見ている人物なんです。枠の外にいるからこそ、お客さんも感情移入できるポイントになる気がします。
ーー彼の存在によって、輪が、違ったかたちで見えてくる?
 そうですね。内情というより外からの目線で語るメドヴェジェンコを通して、『かもめ』の世界の季節の移り変わりみたいなものを感じてもらえたらなあと。だから、この戯曲の冒頭でメドヴェジェンコが喋るんだと思うんです。メドヴェジェンコとマーシャの冒頭の会話から、登場人物達の孤独だったり、一人ひとりの体の距離は近いけれど心の距離は遠かったりといった、空気や香りのようなものを出すことができたらと考えています。稽古をしていくうちに、僕自身もメドヴェジェンコのように他のみなさんから蚊帳の外というか、あまり会話をしないようになってきましたね。ハブられているわけではないんですけど僕が勝手に(笑)。自然と、輪の外が落ち着くような感覚になっています。

※このインタビューの続きと別バージョンのお写真が、雑誌『omoshii mag vol.7』(11月10日発売予定)に掲載されます。お楽しみに!
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渡辺大知(わたなべ・だいち)
1990年生まれ、兵庫県出身。ロックバンド・黒猫チェルシーのヴォーカル、俳優。2009年に映画『色即ぜねれいしょん』主役に抜擢されて以来、俳優としても注目を浴び、NHKの連続テレビ小説『カーネーション』『まれ』、映画『くちびるに歌を』などに出演。舞台出演は2015年の『男子!レッツラゴン』に続き二度目となる。2017年1月に黒猫チェルシー企画イベント『ネコのコネ』を東名阪にて開催予定。

『かもめ』
作:アントン・チェーホフ
翻訳・上演台本:木内宏昌
演出:熊林弘高
出演:満島ひかり、田中圭、坂口健太郎、渡辺大知、あめくみちこ、山路和弘、渡辺哲、小林勝也、中嶋朋子、佐藤オリエ
[東京公演]2016年10月29日(土)~11月13日(日)東京芸術劇場 プレイハウス
お問合わせ:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)
[宮崎公演]11月16日(水)メディキット県民文化センター 演劇ホール
[松本公演]11月19日(土)~20日(日)まつもと市民芸術館 主ホール
[札幌公演]11月23日(水・祝)札幌市教育文化会館 大ホール
[滋賀公演]11月26日(土)~27日(日)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
[相模原公演]11月29日(火)~30日(水)杜のホールはしもと ホール
[豊橋公演]12月2日(金)~4日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

※詳細はhttps://www.geigeki.jp/performance/theater124/をご覧ください。

ソーリン家の別荘に、当主ソーリン(小林勝也)の妹で女優のアルカージナ(佐藤オリエ)が、恋人で作家のトリゴーリン(田中圭)や息子トレープレフ(坂口健太郎)を連れて滞在している。別荘の管理人シャムラーエフ(渡辺哲)と妻ポリーナ(あめくみちこ)、娘のマーシャ(中嶋朋子)、友人の医者ドールン(山路和弘)、教師のメドヴェジェンコ(渡辺大知)などが集まる中、トレープレフは、地主の娘で女優志望のニーナ(満島ひかり)を主演に据えた自作の芝居を上演する。ニーナはトリゴーリンと出会い、惹かれ始めるが……。独特の繊細さとおかしみを併せ持つチェーホフの戯曲を、熊林演出が鮮やかに具現化する!
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