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インタビュー & 特集

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INTERVIEW!シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』坂東巳之助さん×中村隼人さん

国民的漫画の舞台化で、話題を呼んだスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』が、シネマ歌舞伎として映画館にやってくる! 10月22日から東劇・新宿ピカデリーほかにて全国公開されます。ゾロとボン・クレー、スクアードを演じた坂東巳之助さん、サンジとイナズマを演じた中村隼人さんに、お話をうかがいました!(取材・文/武田吏都、撮影/笹井タカマサ、スタイリスト/九(Yolken)、ヘアメイク(坂東巳之助)/村上知久、ヘアメイク(中村隼人)/佐藤健行 (happ’s))

INTERVIEW & SPECIAL  2016 10/22 UPDATE

――スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』は昨年10月開幕でしたから、昨年の今頃はちょうどお稽古の真っ最中だったと思います。国民的漫画『ONE PIECE』を生身の俳優が演じた本格的な舞台作品であり 、歌舞伎界にとっても挑戦尽くしの公演でしたが、どんな気持ちで稽古をしていたか憶えていらっしゃいますか?
巳之助 「やーべえ!」ですよね(笑)。正直、座組に僕たちぐらいしか原作を知ってる人がいなかったから。『ワンピース』の知名度や影響力ってたぶん、漫画作品において最強ですよね。それに手を出す怖さみたいなものに、本当の意味でちゃんと気づいていたのが僕たちだけだったような気がするんです。
隼人 僕たちは、特にその中でも原作ではトップ2の人気を誇るお役を勤めさせていただく、というのもありましたしね。
巳之助 そういう個人のこともそうだし、やっぱり作品としてね。世代ということを考えたら、僕ら以外、座組の皆さんが知らないっていうのは当たり前だと思うんです。ただ知らないとしても、座組の皆さんの想像以上のものすごい作品だってことが、どうやったら伝わるんだろうって思っていました。
――具体的にはどんな行動をされたのですか?
巳之助 作品を作っていく過程の中で待ったをかけるということは、いくらかさせていただきました。
隼人 若手が先輩に対して意見を出させていただくのは、基本的に古典作品(歌舞伎)では絶対にありえないことです。ですが今回に関しては、原作の設定上、力関係などで不自然なところもあったので、「ここはこうではない方がいいんじゃないでしょうか?」と演出家の方にお伺いする場面はありました。時代考証の役割を果たしていたみたいですよね(笑)。そして、『ワンピース』のことをあまりご存じない方だったからこそ、僕らの言葉に耳を傾けてもくださいました。
巳之助 僕らも言わせてもらえる、聞いてくださるっていう環境だったのは、結果的にすごく良かったと思います。
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――そうして出来上がって、お客さんに観ていただいたときの感触は?
巳之助 安心しました。お客さんが喜んでくださったので。
隼人 ほんとに喜んでくださいましたもんね。それまでは不安だっただけにほっとしました。今までの作品だと、舞台稽古の時期になると、手応えがあるんですよ。ですが今回は全くなく、初日の出番の直前になってすら、「お客さまでいっぱいだけど、どうするどうする?」みたいな気持ちでしたから(笑)。しかも舞台の冒頭で、プロジェクションマッピングによって、漫画の“麦わらの一味”が影(シルエット)で映し出されるんです。
巳之助 「原作出しちゃったー」っていうのは思ったよね(笑)。
隼人 ホンモノ出しちゃった、みたいな。その後に僕らが登場するんですけれど、僕らの格好はそれとは違うわけで……。ですが奇妙な化学反応みたいなものはあったのかもしれないですし、結果良かったのかもしれません(笑)。
――そんなにギリギリまで不安を抱えていらっしゃったとは思いませんでした。
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隼人 ほんとに「イケるぞ」と思っていらっしゃたのは、猿之助にいさん(主演・演出)と横内(謙介)さん(脚本・演出)ぐらいでしょうね。横内さんはお稽古の後半になると「これ絶対当たる」とおっしゃっていましたし、猿之助にいさんも「大丈夫、これは面白い」と。スーパー歌舞伎に出演させていただくことも初めてだった僕らは、わからないことだらけでしたけれど、その言葉を信じてやっていました。やはり猿之助にいさんという方は、未来を見通す力があるというか。お客さまの気持ちがどういう風に動くということがわかっていらっしゃるし、全て計算されつくしている。だからこそ、あれほど評判になったんじゃないかと思いますね。ルフィとしても、演じる回数が増えれば増えるほど、どんどん僕らが知っているルフィになられて、特に後半になると、ルフィそのものでした。もともと『ワンピース』にお詳しくはなかったのに、俳優としての読み解く力がすごいんだなと思いました。
DSC_6543 - コピー巳之助 猿之助にいさんは僕たちの言うことも聞いてくださりつつ、ちゃんと全体が見えていて、そうじゃないと思うことに関してはちゃんとストップかけてくださるし。それに最終的にはご自分がおやりになる前提で作ってらっしゃって、自分が納まるための目安をつけていってるんだなと思いました。自分がそこに立つとなったときに、誰も戸惑わせずスッとそこに入ってくるという持っていき方は、やっぱりすごいなと思いましたね。
――漫画、アニメ、ゲーム原作の2.5次元舞台が人気を集めていますが、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の場合は歌舞伎というベースがある以上、それとは異なる事情があったかと。単純に、原作にどのぐらい近づけたいと思って演じられていたのでしょう?
隼人 2.5次元の舞台ってかなり原作に忠実なイメージですが、この作品は必ずしも忠実とは言えない。衣裳などの見た目から何から異なっていますし、オリジナリティの方が強い舞台なんじゃないかと思います。
巳之助 忠実ではないよね。でも必要のないというか、愛のない変更は極力したくなかったんです。例えば、ゾロの衣裳やカツラも最初に上がってきたものは自分のイメージとは異なっていて。だから、「これに歌舞伎のあれとこれを持ってきてつけてみたらどうですか」と意見は伝えたりしました。髪の長さも、最初に撮った宣伝写真と実際の舞台では違うんですよ。
隼人 長い方は、床屋に行く前のゾロですよね?
巳之助 うん(笑)。ゾロは伸ばしてちゃんとセットするような人じゃないので、わざとらしさがあるのがイヤだったんです。だからとにかく、「もっと切りたい」と。やっぱりこういう作品ではキャラクター性がビジュアルにつながっていくので、絵的に大きく派手にということより、僕はそっちを優先したかった。
隼人 それだけ『ワンピース』を愛しているんですよ。僕もそういう変更はいくつかお願いさせていただきました。最初のサンジの衣裳ですとコスプレのように感じたので、どてらを羽織ることになりました。
巳之助 サンジはカツラも、最初はすごい外ハネしてて、ホストみたいだった記憶がある(笑)。
――役の話が出ましたが、巳之助さんはゾロ、ボン・クレー、スクアード、隼人さんはサンジ、イナズマを演じられました。隼人さんは原作でもサンジが一番好きなキャラクターだけれど、まだ若手なのでこんなにいいお役をもらえると思っていなかったと以前おっしゃっていましたね。
DSC_6556 - コピー_pp隼人 思っていませんでしたね。そもそも『ワンピース』を歌舞伎化すると最初に聞いたとき、他人事というか、「へえ~」という感じでした(笑)。特に猿之助にいさん中心でやるとなると、巳之助にいさんもそうですが、普段はなかなかご一緒させていただく機会が少ないので、自分が出演させていただけるなんて思いませんでした。そこに猿之助にいさんから連絡が来て、出演してくれと。最初「役はゾロで」と書いてあったんですけどね。で、「ああ、ゾロか」と思っていたら、「あ、間違えました、サンジです」って。そんなスタートでした(笑)。

――巳之助さんの原作で一番好きなキャラクターは?
巳之助 サンジです。
隼人 じゃあ変えますか!? 再演のとき。
巳之助 いや、いいよ……(笑)。
――巳之助さんはゾロ役と聞いたとき、どう思いました?
巳之助 別になんとも思いませんでした(笑)。三役をいっぺんに言われましたけど。
――三役も、そしてそれぞれガラッと異なるキャラクターの見事な演じ分けに驚かされたのですが、そういったことは普段も同様のことをしている歌舞伎の感覚でいえば……。
巳之助 はい、普通です。
――原作から抜け出たような、強烈なインパクトのボン・クレー役も大評判でしたね。
巳之助 恐れ入ります。でもあれは、他にやりようがないです。台本にああいう台詞が書いてあったら、僕はあのしゃべり方しかできないですし、立廻りも歌舞伎の体の使い方しかできない。だからあの役をやる上で何を意識したっていうのはなくて、そうしなきゃいけないところをそうしていっただけの結果なんですよ。
――では反響の大きさは、ご自身でも予想以上だった?
巳之助 それもよくわからないです。自分はそういうのを感じながら芝居するタイプじゃないので。
――特に人気の高いサンジ役だった隼人さんは、プレッシャーも人一倍だったのでは?
隼人 巳之助にいさんもそうですが、サンジを好きな原作ファンの方々に失礼のないように、原作に近い形に寄せたいという気持ちがありました。自分自身もサンジが好きだから、尚更そうでした。一方で、やはり歌舞伎ですから、歌舞伎でできることは歌舞伎でしたいという気持ちもありました。
――もうひとつのイナズマ役のウェイトも大きかったですね。
隼人 イナズマに関しては、拵えも他のキャラクターに比べると歌舞伎にかなり寄っていたので、それに合うようにやらせていただいたという感じです。
――このお2人での大きな見せ場はやはり二幕目のラスト、本水の滝の中での立廻りではないでしょうか。ゲネプロで拝見したとき、「これを毎日、2ヶ月間もやるのか!」という単純な驚きがあったぐらいハードさを極める、ド迫力のシーンですよね。
隼人 僕らも最初思いましたよ。しかも1日2回公演もある中で、です(笑)。ただ水の量は多かったですけれど、歌舞伎では江戸時代からああいう本当の水を使った演出はありますよ。
――それにしてもこちらの息が苦しくなるほどの凄まじい水の量でした(笑)。
巳之助 でも息ができなくて苦しいほどの時間は、滝の中にいないんですよ。
――お2人とも事も無げにおっしゃいますが、歌舞伎俳優さんの凄まじい体力、気力には改めて驚かされます。
巳之助 歌舞伎俳優に限ったことではなく、俳優は「やれ」と言われたらやりますから。
隼人 巳之助にいさんはあれだけ水の中で立廻りした後に、“幕外”(幕が引かれた後に花道に残って演技をする演出)という歌舞伎独特の場面が控えていた。僕は立廻りが終わればイナズマの出演場面は終わりでしたから、全てを出し切れるんです。ですが巳之助にいさんはあそこで全部をやらずに取っておかないといけないわけで、そういった意味では体力というよりその持っていき方が、拝見していてやはりや「ああ、すごいなあ」と思いました。
――今までお話いただきましたスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』が、2時間に凝縮されたバージョンとなって、全国のスクリーンで上映されます。お誘いの言葉をお願いします!
巳之助 また来年に再演がありますので、これを観て楽しんでいただけたら、ぜひとも劇場へいらしてください、ということですね。シネマ歌舞伎のスタッフの皆さんが、みんなが楽しめる映像作品として作ってくださいましたけど、やっぱり元が舞台である以上、この作品の持っているポテンシャルが100%パッキングされているわけではないというところがあるので。
隼人 僕も、これをご覧いただいて興味を持った方はぜひ劇場に足を運んでいただきたいです。歌舞伎をご覧になったことがなくても『ワンピース』という作品に興味がある方はいらっしゃると思いますし、料金も舞台の歌舞伎に比べたら非常にお安いですから、歌舞伎への入口、きっかけになればいいんじゃないかと思います。昨年の舞台をご覧になった方はこのシネマ歌舞伎の『ワンピース』で懐かしんでいただくのも良し、ご覧になっていない方は将来の再演に向けての予習をするのも良し、です!

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坂東巳之助●ばんどう・みのすけ
東京都出身。十世坂東三津五郎の長男。1991年歌舞伎座『傀儡師』の唐子で初お目見え。95年二代目坂東巳之助を襲名し初舞台。花形歌舞伎のホープの一人として、次世代を担う。さまざまな立役の芝居に挑み、舞踊においても飛躍的な成長を見せる。映画『桜田門外ノ変』(’10)、『清須会議』(’13)、舞台『ラヴ・レターズ』(’16)などに出演。『世界の街道をゆく』(EX)ではナレーターを務めるなど多岐にわたって活躍中。今後の予定:歌舞伎座11月公演「吉例顔見世大歌舞伎」

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中村隼人●なかむら・はやと
東京都出身。二代目中村錦之助の長男。2002年歌舞伎座『菅原伝授手習鑑 寺子屋』の松王丸一子小太郎にて初舞台。歌舞伎の研鑽を積む一方で、NHK大河ドラマ『龍馬伝』『八重の桜』、TVドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS)、NHK-FM『邦楽ジョッキー』のDJなど、さまざまな分野でも活躍し、歌舞伎ファンの裾野を広げている。今後の予定:国立劇場11月公演「通し狂言 仮名手本忠臣蔵 第二部」

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シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』
10月22日(土)から東劇・新宿ピカデリーほかにて全国公開 配給:松竹
原作:尾田栄一郎 脚本・演出:横内謙介 
演出:市川猿之助 スーパーバイザー:市川猿翁
出演:市川猿之助 市川右近 坂東巳之助 中村隼人 市川春猿 市川弘太郎 
坂東竹三郎 市川笑三郎 市川猿弥 市川笑也 市川男女蔵 市川門之助
/福士誠治 嘉島典俊 浅野和之

※11月10日発売、『omoshii mag vol.7』でも、お2人のお写真(別バージョン)&インタビューが掲載されます! お楽しみに!

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