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インタビュー & 特集

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SPECIAL! 『エリザベート』ルキーニ役 成河さん 前編

帝劇公演の大盛況で幕を下ろし、いよいよ全国ツアー公演に入る大ヒットミュージカル『エリザベート』。トートを演じる城田優さん&井上芳雄さんの対談、今回から初参加した、ルキーニ成河さんのインタビューを、連続掲載いたします。(撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL  2016 8/8 UPDATE

「チケットが手に入らない!」というミュージカルファンの悲鳴の中、大熱狂のうちに、東京・帝国劇場での公演を終えたミュージカル『エリザベート』。東京千秋楽を終え、8月6日に開幕した福岡・博多座での公演を前に、今年、初めてのルキーニ役に挑んでいる成河さんに、東京公演を終えての率直な思いやルキーニという役柄について語っていただきました。(取材・文/長谷川あや)

_DSC1147――ルキーニ役での、第24回読売演劇大賞上半期の男優賞ノミネート、おめでとうございます。
「(ノミネートは)涙が出るほどうれしいですし、背中を押された気がしますが、まだ実感はないですね。ただ、タイミング的にはやりづらい(笑)。外から評価していただいたことは真摯に受け止めますが、僕自身が舞台の上でやることは基本的には変わりません。ありがたいことですが、僕はやるべきことを続けるだけです」

――東京公演を終えての、今の感想を教えてください。何か新しい発見はありましたか。
「(帝国劇場の収容定員の)1800人がいかに重たいかということを初めて知りました。特にルキーニは、狂言回しの役割を持っています。もともと僕は、お客様に語りかける役割が好きで、こういった役はこれまでも何度かやらせていただいているのですが、やはり1800人の重みはすごい(笑)。
僕はストーリーテラーの基本はバスガイドだと思っているのですが、お客様が10人か50人か、もしくは100人かでは声の出し方が違うわけです。それが1800人ともなると、言い方の問題だけでなくて、一言発するだけでもものすごく疲弊します (笑)。最初の1週間でそのことを痛烈に感じました。一言話すだけで汗だくになる経験は、僕の中では新しかったですね。香川照之さんが大きな歌舞伎に出演なさるときにおっしゃっていた、「できるかできないかじゃない。やるかやらないかなんだ」という言葉を実感しました。これを(2000年の初演から2012年までルキーニを演じていた)髙嶋政宏さんお一人で回していらっしゃったなんて! 尊敬します」

――今回のルキーニ役は、山崎育三郎さんとのWキャストです。
「(4月に出演したミュージカル)『グランド・ホテル』は2チーム制だったので、今回のように完全なWキャストは初めての経験です。いい面と悪い面、いろいろなことを感じました。いい面は、自分が出ているシーンを客観的に見ることができること。悪い面は、そのぶん稽古時間は半分になってしまうことです。これまで稽古場で何度もトライとエラーを繰り返し、役を作りあげてきた僕とってこれはとても大きなこと。空前絶後の稽古不足でした。
もうひとつ、Wキャストには大きな落とし穴があって、同じ役の別の俳優さんがああやっているから、自分はこうやろうとつい思ってしまいがちなんです。そうすると、作品や役の本質から離れていってしまう──。大切なのは役の役割、芝居の中の構造を正確に理解することで、たとえ同じことをしても人間が違うのですから別のものになるはずなんです。自分にできないことを無理にやる必要はありませんし、小手先上で別のキャストの方と違うアイデアを盛り込もうということは避けるようにしました。……僕、話、長いな(笑)」

――これまで何人かの俳優がルキーニという役柄を演じてきましたが、成河さんのルキーニは、どんな特徴があると思いますか。また、成河さんがルキーニを演じる上で大切にしていらっしゃることはなんでしょう。
「ルキーニに限ったことではありませんが、僕が役を演じる上でいちばん大切にしているのは演出家さんの意図。演出家さんとどういう討論をして、実験をして、どんな発見があったかというのは、どの公演、どの役に臨む上でもいちばん大事にしています。
『エリザベート』という作品に関しては、(演出を手がける)小池修一郎先生とたくさんのお話ができました。うんざりするくらい質問したら、小池先生も喜んでくれて、「じゃあしゃべるけどね」とものすごく長く話してくださって(笑)、いいことがたくさん聞けました。たとえば、劇構造のなかでルキーニはこういう役割であってほしいとかといったことです。とても有意義な時間でしたし、僕としてはそれに忠実にやっているつもりです」

_DSC1129――小池先生はどんなことをおっしゃっていたのでしょう?
「最近、出版された、(脚本・歌詞の)ミヒャエル・クンツェさんと、(音楽・編曲の)シルヴェスター・リーヴァイさんのインタビュー集「オール・インタビューズ ミュージカル『エリザベート』はこうして生まれた」に書かれていたことと同じことです(笑)。たとえば、ルキーニに関しては、リーヴァイさんがはっきりと言葉に残していて、これを簡単には捻じ曲げないほうがいいと思っています。ぜひ読んでみてください(笑)。
小池先生は二面性のある方。そのインタビュー集にも書いてあるのですが、小池先生は、唐十郎が好きで芝居を始めた、アングラ好きな方なんです。時代は異なりますが、僕も小劇場から始めて、アングラの第3、4世代を見て、演劇を始めたから、話がとても合うんですよ。小池先生は、芸術としての本質を突き詰めようとするところと、興行はあくまでもショービジネスの上に立っていなければならないというところ──、その水と油を抱えていて、それが稽古にも作品にも表れています。そして、そのことに葛藤も抱いていらっしゃる。何よりもその膨大な知識量、考えてきたものに対して、尊敬の念を抱きました」

――成河さん自身は、ルキーニという役柄に関してどんな風にとらえていますか。出番も楽曲も多い難役ですが、俳優としてルキーニを演じる醍醐味を教えてください。
「難しいのは、さじ加減です。たとえば、作品を、ファンタジーに寄せるか、リアルに寄せるか──。日本のお客様は、観劇される際、登場人物に共感をしたい方が多いのですが、この作品はいい意味で、シシィ(エリザベート)に共感しにくい物語になっています。それでも多くのお客様がシシィに共感し、トートとのロマンス色を強めていくときに、ルキーニはそれを蹂躙して破壊していかなければなりません。「キッチュ」の歌詞にルキーニの役割が凝縮されています。「おとぎ話じゃないぜ」と歌い、お客様の目を一瞬覚まさせる。そのさじ加減は本当に難しいですね。
あと、「毎晩、同じ質問ばかり100年間も」というせりふがあるじゃないですか。このせりふは難しいです。わかりますか? 毎晩、同じ質問を、100年間、ですよ? 100回でも、100日間でもない、365日×100年間なんです。リアルに考えたら多分話すことのできないせりふですが、戯曲のなかでは、100年間問答されていることを説明しなければなりません。
ただ、逆にルキーニという役柄は、このせりふのほかにははっきりとした設定がないんです。情報量が少ない役柄は演じていて楽しいですよ。実在した人物であるルキーニが、実際に何を考えていたかを想像し、楽しみながら演じています」

(後編へつづく)

_DSC1352成河●そんは
1981年3月26日生まれ、東京都出身。実力派俳優として、これまでさまざまな舞台、テレビに出演。2016年は『グランドホテル』『エリザベート』とグランドミュージカルの出演が続いている。『エリザベート』ルキーニ役の後は、2016年末~2017年初にかけて、ミュージカル『わたしは真悟』、2017年には『髑髏城の七人 season花』に出演が決まっている。平成20年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞 第18回読売演劇大賞 優秀男優賞受賞 (『BLUE/ORANGE』および『春琴』の演技により )

●公演情報
『エリザベート』
2016年8月6日~9月4日 福岡公演 博多座
2016年9月11日~9月30日 大阪公演 梅田芸術劇場メインホール
2016年10月8日~23日  名古屋公演 中日劇場

Staff
脚本/歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲 シルヴェスター・リーヴァイ
演出/訳詞 小池修一郎

出演 花總まり・蘭乃はな/城田 優・井上芳雄/田代万里生/古川雄大・京本大我(ジャニーズJr.)/未来優希/涼風真世・香寿たつき/山崎育三郎・成河 ほか

 

 

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