インタビュー & 特集

INTERVIEW!『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』古田新太さん&賀来賢人さん

古田新太がケラリーノ・サンドロヴィッチとタッグを組んで送るナンセンスコメディ第三弾『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』。座長の古田、そしてシリーズ初参加の若手実力派俳優・賀来賢人は、7月の公演を前に何を思うのか!?(取材・文/高橋彩子 写真/石原敦志 ヘアメイク/SHUTARO[vitamins](賀来) スタイリング/伊藤省吾(賀来))

INTERVIEW & SPECIAL 2016 6/29 UPDATE

蜿、逕ー譁ー螟ェ縺輔sテ苓ウ€譚・雉「莠コ縺輔s・・_45A1451――今回のタイトルのもう一つの候補は「調理器具としてのヒトラー」だったとか?
古田 どっちでもよかったんです。KERAっちがヒトラーというアイコンに興味を持っただけで、ほぼ意味はない。ヒトラーが出てくる、かもしれないという程度です。シリーズ第一弾の『犯さん哉』は映画「踊らん哉」、第二弾『奥様お尻をどうぞ』は映画「奥様お手をどうぞ」からきていて、今回は「ヒトラー最期の12日間」という映画もあるみたいだけど、まあ関係ないですね。ナンセンスコメディですから。
賀来 僕はナンセンスコメディが初めてなんです。KERAさんの作品は『わが闇』『グッドバイ』などの舞台や映像を観て、渋くてオシャレだと思っていましたが、『奥様お尻をどうぞ』の映像を拝見したらとんでもない内容で(笑)。観るぶんには死ぬほど笑ったけれど、やるのは難しいんだろうなとドキドキしています。
――お二人は劇団☆新感線『五右衛門vs轟天』(GVG)で共演されましたね。
賀来 GVGでは古田さんから本当に色々なことを教わりました。
古田 気持ちで動けっていう(橋本)じゅんさんや大きい声出せっていう(池田)成志さんと違って、おいらはテクニカル論しか言わない。あそこでいったん笑いがくるから、その落ち際にセリフを言ったら、とかね。
賀来 見守ってくださって、もうダメだなっていう時に助言をくださるのが嬉しかったです。
古田 ゲステクニックの浅い引き出しなら、いっぱい持っているから。深い引き出しはないけど(笑)。
賀来 その引き出し、ほしいです! 古田さんは押したり引いたりのバランスが絶妙ですよね。観客掌握術もすごくて。
古田 芝居に集中していないから(笑)。そう見えればいいわけで。新感線の舞台はショー寄りなので、ここでキメたらお客さんが喜ぶとか、このスピードとこのトーンで言ったら笑うとか、そういうことしか考えてない。
賀来 ネタも瞬発的にやっているんですか?
古田 うん、その場で思いついたことがお客さんの代弁になるからね。こないだやった『乱鶯』には、おいらが演じる十三郎と稲森いずみのお加代とがいい雰囲気になって、村木仁演じるなまずの又次が「お腹痛い」とか色々言いながら去るシーンがあったんだけど、その色々があまりに長いから「詰め込み過ぎてよくわからなくなってるよ」ってツッコミ入れたら客席がドッカーン。みんなそう感じてた(笑)。ナンセンスコメディにもこういうシニカルな目線は必要。没頭するのは、主役気質の人達だけでいいの。
蜿、逕ー譁ー螟ェ縺輔sテ苓ウ€譚・雉「莠コ縺輔s・・_45A1464――今回の出演者の中には、没頭するタイプの方はいらっしゃいますか?
古田 強いて言えば、そういう芝居が必要な時の犬ちゃん(犬山イヌコ)? 大倉(孝二)は違うし、入ぽん(入江雅人)は役になりきることの意味がわかってないし(笑)、八十ちん(八十田勇一)は意外にそうかなあ。でも、同じKERA作品でも『わが闇』や『フローズンビーチ』は全員が主役だし、『グッドバイ』もコメディだから集中する芝居でいいけど、ナンセンスはいわば長いコントだから、俯瞰で見てないと、スベった時に軌道修正できないんだよ。
賀来 そこなんですよね……。
古田 だけど、賢人は若手の中ではシニカルなところをもった俳優だと思うよ。先輩連中の中で評価が高い松尾(スズキ)さんの『悪霊』でもそう感じたし、GVGでは没頭して狂気を出す成志さんやじゅんさんの横で「困った人達だなあ」っていう雰囲気がよく出てた。
賀来 GVGでは、ちょっとウケたと思ったら翌日、成志さんから「それ要らねえ」って言われたりしながら(笑)、なんとなく押し引きがわかってきた気もするんですけど、今回はほぼアドリブなしで、計算して作るんですよね?
古田 そうだね。スラップスティックではなく台詞劇だし、ストーリーはないんだけど「筋が通っていない」という“筋”を作らないといけないから、“コケたスベった”も練習してやる以外、ありえない。恋愛の行方とか犯人を見つけるとか、そういう収束がない中で、飽きさせずくだらないことをやり続けるのはしんどいよ(笑)。
賀来 ホンを読んだ時点で、方法論として何パターンか考えられる感じなんでしょうか?
古田 やり方によっては。でも基本的に、KERAっちは自分のやり方で笑いを取りたい人だから、正解のトーンが求められるね。こういう笑いに対する理解や愛がある人なら、ホンを読めば、何をどうすれば面白くなるかはわかるようにできているけど、それを実現するには、労力も脳の力も必要になってくる。あとは、信じる力。たとえば窓枠の向こうに母子の別れがあるとして、本当に涙を流しているんだけど、実は窓を取り払ったら下は裸だった、とか。ズボンを穿いている、と信じる力が要るわけ。
賀来 なるほど! すごくわかりやすいです。
古田 時には、完全に理解してやっているにもかかわらずお客さんには伝わらないっていう、ものすごく面白い現象も起きるけどね。山西(惇)さんに多いんだけど、やっていることがハイブロウ過ぎて、袖にいるおいらと大倉しか笑わないことがある(笑)。八十ちんも毎回「伝わらねえ」って苦しむ時が二度くらいあるね。でも、みんなこういう笑いが好きなメンバーだし、(成海)璃子ちゃんも賢人も楽しめると思うよ。

※このインタビューの続きは雑誌『omoshii mag vol.5』でお読みいただけます。
お二人のロングインタビューのほか、撮り下ろしのポートレイト、過去の舞台写真などを掲載しております。

蜿、逕ー譁ー螟ェ縺輔sテ苓ウ€譚・雉「莠コ縺輔s・・_45A1664

ふるた・あらた
1965年生まれ、兵庫県出身。劇団☆新感線の看板役者。劇団公演以外の近年の出演作に『いやおうなしに』『ツインズ』などがある。映画・ドラマ・バラエティでも幅広く活躍中で、近年の出演映画に『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』『超高速!参勤交代 リターンズ』『ルドルフとイッパイアッテナ』(吹替)など多数。


蜿、逕ー譁ー螟ェ縺輔sテ苓ウ€譚・雉「莠コ縺輔s・・_45A1603

かく・けんと
1989年生まれ、東京都出身。2007年にデビュー以来、数々の映像作品で活躍。舞台でも『RENT』 『悪霊-下女の恋-』『五右衛門vs轟天』などに出演し力をつけている注目の若手俳優。近年の映像出演作品に、ドラマ『グッドパートナー 無敵の弁護士』や、7月9日に公開予定の映画『森山中教習所』など多数。

『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』
2016年7月24日(日)~8月21日(日)下北沢 本多劇場
8月27日(土)、28日(日)北九州芸術劇場 中劇場
9月1日(木)~4日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
9月10日(土)、11日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:古田新太、成海璃子、賀来賢人、大倉孝二、入江雅人、八十田勇一、犬山イヌコ、山西惇

2007年にスタートしたKERA×古田新太企画。第一弾『犯さん哉』では古田扮する少年アラタを筆頭に出演者達が荒唐無稽なギャグを連発し、観客を圧倒した。2011年の第二弾は第一弾と違う「残酷で生々しいブラックコメディー」になる予定だったが、東日本大震災を経て「第一弾に準ずるデタラメな芝居」である『奥様お尻をどうぞ』に結実。時局を皮肉る設定も見せつつ、客席を衝撃と笑いの渦に巻き込んだ。第三弾でもKERAの才智と出演者の芸達者ぶりが炸裂すること間違いなし。


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