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インタビュー & 特集

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INTERVIEW! 『あわれ彼女は娼婦』浦井健治さん

シェイクスピアと同時代に活躍したイギリスの劇作家ジョン・フォードが、1620年ごろに執筆した彼の代表作『あわれ彼女は娼婦』。純粋にお互いを愛するがゆえにあやまちを犯してしまうジョヴァンニとアナベラ兄妹を中心に、二人を取り巻く人々の欲望が壮絶に描かれる愛憎劇に挑んでいるのは、俳優・浦井健治。エリザベス朝演劇の衝撃作が21世紀の東京で新たに蘇る。(文/小柳照久、撮影/猪瀬紀子、ヘアメイク/山下由花、スタイリスト/宮崎智子)

INTERVIEW & SPECIAL  2016 6/11 UPDATE

_DSC5913――愛した人が妹だったというセンセーショナルなストーリー。二人を取り巻く人々の欲望が壮絶に描かれる愛憎劇ですが、フランスの実話をベースにした作品だそうですね。

日本でも何度か上演されている作品で、過去には豊川悦司さん×西牟田恵さんたちのチーム、三上博史さん×深津絵里さんたちのチームによる上演などがありました。今回、蒼井優さんとやらせていただけるのが凄く光栄ですし、頑張らねばと気合いが入っています。
演出の栗山民也さんからジョヴァンニ役に僕の名前をあげていただいたと聞いて、「絶対やりたいです!」と即答しました。ちょうど『デスノート』の稽古中に「あれ面白い作品だから楽しみだな」と言われました、それもトイレで(笑)。
中世のキリスト教が支配していた時代に、妹・アナベラを愛しすぎたあまり、気持ちを伝えてしまう兄・ジョヴァンニ。兄妹で愛し合い、近親相姦もあれば不倫もあり、最後には心臓をえぐりだしたり、次々に殺人が繰り広げられたり、本当に問題作。自分にも妹がいるし、当初理解できない部分が多々ありました。エリザベス朝の時代って、結婚に関して女性は物として捉えられていて、政略結婚が当たり前。そういった中、兄の「妹を守りたい」という気持ちが、やがてタガが外れて、歯車が狂ってしまったという部分もあるのかなと、今は思っています。二人が愛し合えば合うほど、人間のエゴや、社会の中でのさまざまな問題、キリスト教における結婚観にまで露呈されるのですが、エネルギーの矛先が結局のところ権力とか世間に向かってしまいます。やりすぎるとジョヴァンニがハムレットのようになってしまうから、ロミオ的な、ピュアで純粋な部分も残していきたいと思っています。

_DSC5966――やがてアナベラはジョヴァンニの子を孕み、それを隠そうと、求婚者の一人で裕福な貴族・ソランゾのところに嫁ぎますが……。

登場するのは感情移入しやすい人物たちです。ソランゾ、可哀想ですよね。利用されての結婚で、「これはアナタの子よ」なんて嘘をつかれていたら、それは怒るでしょう。今とちがって情報社会ではなかったので、その場で起きていることが全て真実。頭で考えすぎるとドロドロした暗い話で終わりかねないけれど、今も昔も、人間の持つ感情は変わっていません。中世の作品特有の長台詞があるのですが、それだけ登場人物たちの、しゃべりたい、伝いたい気持ちがみなぎっています。さらに、小田島雄志先生の台詞がキレイで、そこにもこの時代の作品を演じる喜びがあります。もっとも、喜びの前には苦しみがあって(笑)。台詞はきちんと自分の体に落とし込んで、やっと発することができるものなので、まずは台詞が自分のものにできるよう、苦しまなくてはと思っています。兄妹を恋人と呼ぶことに高揚する二人ですが、蒼井さんとは以前にも共演させていただいているので、その信頼関係で役に飛び込んでいけそうです。栗山さんの手の中で化学反応を起こせるのではないかと思っています。

_DSC5864――演出の栗山さんとはミュージカル『阿OKUNI国』(2003年)『デスノート The Musical』(2015年)を経て、4月上演の『アルカディア』、6月上演の本作『あわれ彼女は娼婦』といった舞台作品、さらには朗読劇でもご一緒していますね。数多くのお仕事を一緒になさっていますが、どのような印象をお持ちですか?

役者一人一人に愛情をかけて大切にしてくださる演出家。ダメ出しというよりもアドバイスをくださいます。的確でわかりやすく教えてくださるんですよ。栗山さんは演劇に対して「今を記録する」という思いを常にお持ちで、お芝居と役者から出てくるものをリンクさせているのかなと、漠然とですが感じています。何も出さないで栗山さんに悲しい顔をさせたくないので、役者としていろいろなエネルギーを出していきたいと思っています。

――蒼井優さんとは『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』(2012・13年)以来の共演になります。女優としての蒼井さんの魅力はどんなところですか?

クレバーな方で、感性もずば抜けて素晴らしいです。戯曲に対する向き合い方が、情報もしっかり入れて、年齢的に上の方のような読み込み方をされているようにみえます。それは監督や演出家の方、共演者の方々との素晴らしい出会いよるものであるのと同時に、本人の才能だと思うんです。今回は劇団☆新感線『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』でのお互いの役の印象をぬぐい去ってからスタートするのが、二人の課題だと話していました(笑)。

(C)安藤毅

(C)安藤毅

『あわれ彼女は娼婦』

2016年6月8日(水)~26日(日)
新国立劇場 中劇場

作:ジョン・フォード
翻訳:小田島雄志
演出:栗山民也

出演:
浦井健治 蒼井 優
伊礼彼方 大鷹明良 春海四方 佐藤 誓 西尾まり 浅野雅博 横田栄司
宮 菜穂子 前田一世 野坂 弘 デシルバ安奈
川口高志 頼田昂治 寺内淳志 峰﨑亮介 坂川慶成
鈴木崇乃 斉藤綾香 髙田実那 大胡愛恵
石田圭祐 中嶋しゅう

公演詳細URL
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/special/16whore.html

初日コメント:

浦井健治
演出の栗山さんにジョヴァンニ役としてご指名いただき、「絶対にやりたい!」と思った作品です。
近親相姦というのは理解しづらいですが、兄として大切な妹を守りたい気持ちから始まって、
段々歯車が狂っていくのだと思っています。
ジョヴァンニとアナベラ兄妹の愛が純粋なほど、周囲の人々のエゴや欲望が浮き彫りに
なってくる仕組みで、古典でありながら現代人にも共感できる部分が多くあると感じます。
それがお客様に伝わるよう、エネルギーを持って演じ切りたいです。

*****

蒼井 優
兄妹の悲恋だけでなく、むしろ人のモラルや常識を核として、人間の業をドラマチックに
描いた舞台だと思います。何が「正しい」というのは人間が勝手に決めていることですよね。
その点で、今を生きる私たちも考えさせられる作品です。
また、栗山さん曰くアナベラは「女性の履歴を駆け抜けた女性」。少女が恋をして母になり、
最後には娼婦と呼ばれてしまう。その成長の早さをどう生き抜くかを、お客様にしっかりと
お見せしていきたいです。

 

 

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