インタビュー & 特集
INTERVIEW!『レディエント・バーミン』高橋一生さん
英国の劇作家フィリップ・リドリーが放つ奇妙で先鋭的な世界に、『マーキュリー・ファー』に続いて高橋一生が挑む。若い夫婦オリーとジルの前に謎の女性ミス・ディーが現れ、政府の住宅開発の一環と称して夫婦に新しい家を渡す。だがその家にはある犠牲がつきもので……。(取材・文/高橋彩子、写真/須田卓馬、ヘアメイク/佐伯憂香、スタイリスト/秋山貴紀)
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INTERVIEW & SPECIAL 2016 6/10 UPDATE
――『レディエント・バーミン』の戯曲を読まれていかがでしたか?
僕の場合、先入観を持ってしまうと稽古に入った時に邪魔になりそうなので、できるだけ感想を持たないようにしているのですが、風刺というかたちで、世界とシームレスに繋がっているホンだと思いました。しかもそれが具象的ではないところが興味深くて。
――この劇は、オリーとジルが自分達の身に起きたことを語るという形式で進みます。一見、非現実的な話でありながら、実は現実そのものを描いているようなところがありますね。
リドリーは現実を描くために、一番わかりやすいスタイルを採ったのではないでしょうか。僕らは毎日、間接的に人を犠牲にしていくようなことをしていて、それは生きていく上でしかたのないことかもしれないけれど、人間としてどうなの?ということを、リドリーは強い怒りと諦観をもって書いている。自分を含め人間をあざ笑いながら、違うぞ!と言っている感じがするんです。人間は、見たくないものから目を背けたり見て見ぬふりをしたりすることも多いけれど、せっかく理性があり、他の動物より感情も豊かなのだから、無責任ではいられない、自分と向き合わなくてはいけないと思うんです。『マーキュリー・ファー』もそうでしたが、『レディエント・バーミン』はさらにそのことを突き付けてきているような気がします。
――私達観客に、皮肉なかたちで問いを投げかけるラストも印象的です。
それを、生の肉体をもつ俳優が、お客さんの目の前でやるところに意味があると思うんです。2Dの映像にも呼吸が聞こえてくるような作品はありますが、演劇はまさに3Dで、本当に生きている人が呼吸しながら演じている。映像では表現できない、演劇ならではのものになるのではないでしょうか。
※このインタビューの続きは雑誌『omoshii mag vol.5』 でお読みいただけます。
『omoshii mag vol.5』の詳細はこちらhttp://omoshii.com/news/2016/05/11360/
高橋一生さんのロングインタビューのほか、撮り下ろしのポートレイト、白井晃さんのインタビュー、過去の舞台写真などを掲載しております。
高橋一生(たかはし・いっせい)
1980年生まれ、東京都出身。映像・舞台で幅広く活躍。舞台『元禄港歌-千年の恋の森-』、テレビドラマ『民王』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『僕のヤバイ妻』など出演作多数。『4 four』で2012年第67回文化庁芸術祭賞演劇部門芸術祭新人賞受賞。
『レディエント・バーミン Radiant Vermin』
2002年の『ピッチフォーク・ディズニー』を皮切りに、『宇宙でいちばん速い時計』(2003年)、『ガラスの葉』(2010年)、『マーキュリー・ファー』(2015年)と、大きな話題を呼んできたフィリップ・リドリー×白井晃シリーズ。リドリーは64年生まれ、白井は57年生まれと、脂の乗った二人だからこそ描ける現代の風景は必見だ。今回、2015年に世界初演されたばかりの三人芝居『レディエント・バーミン』を、高橋、吉高由里子、キムラ緑子がどう演じるかにも注目したい。
[東京公演] 2016年7月12日(火)~31日(日)シアタートラム
[兵庫公演] 2016年8月3日(水)~4日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
作:フィリップ・リドリー
演出:白井晃
翻訳:小宮山智津子
出演:高橋一生、吉高由里子、キムラ緑子
写真:二石友希