インタビュー & 特集
mag4連動企画 4 中屋敷法仁さん
東京・サンシャイン劇場で上演され、大好評のうちに幕を下ろした舞台『黒子のバスケ』THE ENCOUNTER。稽古真っ盛りの3月に、脚本・演出を手がけた中屋敷法仁さんにお話をうかがいました。(撮影/笹井タカマサ 文/片桐ユウ)
INTERVIEW & SPECIAL 2016 5/2 UPDATE
「僕が東京で演劇を始めた頃、漫画原作の舞台というのは演劇界では当たり前のようにあったものでしたし、気が付けば同年代の役者が演じているものも“2.5次元”でした」
中屋敷法仁が上京した2003年、ミュージカル『テニスの王子様』の初演が東京芸術劇場にて開幕。その後続くブームの“幕開け”ともなった年である。
「かつて世阿弥が…すごい壮大な広げ方をしますけど(笑)、世阿弥が能を始めた時も、完全なオリジナルではないんですよね。あれは世阿弥が『源氏物語』や日本に古くから伝わるいろいろなお話をアレンジして作っていったもの。歌舞伎の『忠臣蔵』も、みんながよく知っていた事件を元にして作った舞台。シェイクスピアでさえ最初は歴史劇ですから。みんなが分かる共通認識を劇場で表現することで、改めて感動し直してつながるんです。世間でアニメが流行っているならば演劇はそれを取り入れて使う。演劇って懐の深いものなので、アニメ・漫画の舞台化というよりは、舞台・演劇とはそもそもそういうものなんだと思うんです」
演劇とアニメ・漫画文化の力を全面で信頼している中屋敷が、初めて漫画原作の脚本・演出を手掛けた作品が舞台『黒子のバスケ』THE ENCOUNTER。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2009年〜2014年に連載され人気を博した、高校バスケットボール漫画が原作である。
「以前、歌舞伎の“黒子”について勉強しようと思ってネットで調べたら『黒子のバスケ』のことしか出てこないという事態に見舞われたんです! 作品名は知っていたんですけど、その時にここまで人気がきているんだと思いました。それが僕と『黒子のバスケ』のエンカウント(笑)」
『黒子のバスケ』の“黒子”とは主人公・黒子テツヤの名前だが、同時に影が薄くサポートに徹していた彼のキャラクターも表している。そしてその由来こそ、歌舞伎や文楽の舞台上で“居ないもの”として様々な面を幇助する“黒子”という存在だ。
「この作品の“光が当たる・影ができる”“注目される・されない”というテーマは、まさに演劇の“見せる・見せない”“一枚目・二枚目”や“脇役”と通じるものがあるんです。ロジカルがとても演劇的だなと思いました。僕は『黒子のバスケ』を演劇だと思ってしまったので、今回ぜひ演劇にしたい、と思っています」
(『omoshii mag』vol.4より抜粋)
[プロフィール]
中屋敷法仁
なかやしき・のりひと
1984年4月4日生まれ、青森県出身。
高校3年生の時に『贋作マクベス』で全国高等学校演劇大会・最優秀創作脚本賞受賞。青山学院大学在学中に「柿喰う客」を旗揚げし、のちに劇団化。劇団の全作品の脚本・演出を手がけ、出演もしている。
[公演情報]
舞台『黒子のバスケ』THE ENCOUNTER
2016年4月8日(金)〜24日(日) サンシャイン劇場
脚本・演出:中屋敷法仁
出演:小野賢章 安里勇哉 牧田哲也 秋元龍太朗 阿部快征 松本享恭 鍛治本大樹 田野アサミ 黒羽麻璃央 松村龍之介 和合真一 平野宏周 畠山 遼 山田ジェームス武 Spi 竹ノ内大輔 小沼将太 林 明寛 松藤和成 赤楚衛二 杉 ありさ
お問い合わせ:インフォメーションダイヤル03-5793-8878 (平日13:00-18:00)
※公演は終了しました。
[DVDリリース情報]
DVD発売決定!
発売日:2016年8月26日(金)
価格:¥7,800+税
発売・販売元:バンダイビジュアル株式会社
DVD 2枚組
▼特典
・特典ディスク(稽古場やバックステージのキャストたちに密着!)
・ブックレット
詳細は下記公式サイトでご確認ください。
http://www.kurobas-stage.com