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INTERVIEW!『花より男子 The Musical』道明寺司役・松下優也(X4)さん&演出・鈴木裕美さん Part1
INTERVIEW & SPECIAL 2015 12/24 UPDATE
遠い昔も未来も変わらない、人が恋をすることの美しさが描かれている
――チラシにも“日本一売れている少女漫画”というフレーズが躍っていますが、この『花より男子』をミュージカルとして舞台化するという一報を聞いたとき、そしてそのオファーがご自分に来たときの率直な感想は?
松下 やっぱり、びっくりしましたね。当たり前のように知っていた作品がミュージカル化されるっていうのは。そして役者さんがこんなにいっぱいいる中で、道明寺という役で僕にお声を掛けていただいたことはちょっと驚きでした。
鈴木 最初はやっぱり「……えええ?」でした。正直に言うと、よしたらいいんじゃないかと(笑)。
――モノが大きいだけに迂闊に手を出しては、というような?
鈴木 それもありますね。原作人気はもちろんドラマもすごく話題になって、ある固定されたイメージがすでにあるものだから、チャレンジャーだなぁというのが正直ありました。でも熱心に口説いていただいたこともあり、おずおずと「……じゃあ、やってみる?」と。若い俳優さんとご一緒できるのが楽しみだったというのもあります。
――お二人はこの『花より男子』という作品に、もともと何らかの形で触れていましたか?
鈴木 ドラマが放送されてた頃は子供でしょ?
松下 中学生ぐらいでしょうか。だからあまり記憶にないですが、台湾版のドラマが日本で再放送されていたのは、昔見ていましたね。
鈴木 もともとものすごく熱心に漫画を読むほうではないので、お話をいただくまでは読んだことがなくて……と言うと「そんなヤツにやらせておけん!」と言われそうで、軽々しく言えないなと思うんですけど。道明寺をやりたかった人がきっとたくさんいたのと同様に、演出したかった方もいただろうと思いますし。お話をいただいてから大人買いをし、全巻読みました。もちろん面白かったんですけど、いろいろびっくりするやら、でした(笑)。
――その“びっくり”はどんなところに?
鈴木 いろいろです。「キミたちは勉強はまったくしないのだな?」とか。
松下 学園ものですからね。確かに(笑)。
鈴木 「将来何の仕事に就こうとかいうことは基本的には考えないのだな?」とか(笑)。で、「とにかく恋をするのか。なるほど!」と。遠い昔も未来も何ら変わらない、人が恋をするとこういうことを言ったりやったりする、そのことの美しさが描かれているんだなと思いました。脚本の青木(豪)さんも、自分たちのような中年世代にも観てもらって、「確かに高校生の頃って夢中で恋してたよね、みたいなことを思い出してもらえればいいなぁ」とおっしゃっていました。
原作に敬意を持って、俳優の魅力をお客様のお目にかけられるように
――今お話に出たように、脚本は青木豪さん。青木さんと鈴木さんのコンビというのが発表されたとき、いわゆる一般的な“2.5次元”とはちょっと方向性が違うだろうという予測というか、印象は受けました。
鈴木 私その、“2.5次元”というのもいまいち把握できていなくて。どういう区別があるんでしょうか?
――『日本2.5次元ミュージカル協会』ウェブサイトにある定義によると、“2次元で描かれた漫画・アニメ・ゲームなどの世界を、舞台コンテンツとしてショー化したものの総称”とのことです。その中でも原作にビジュアルが近いかとか、出ている俳優さんの系統で、より風味が強い/弱いというのが、観客個々の基準としてあるんじゃないかと思いますが。
鈴木 なるほど。まず、元の絵があるっていう。
松下 僕も2.5次元の仕事もやらせていただいていますが、役者は、「これは2.5次元の作品だから」と区別して取り組んでいるわけじゃないと思います。
――鈴木さんも今回は、普段の作品づくりと変わらない?
鈴木 そうですね。私、漫画原作の作品って初めてなんですけど、小説原作のものなんかと似た作業でした。ただ美術打ち合わせをやっていると、「いや、ここはこうでないと。この絵をお客さんはきっと覚えているから」みたいな話は確かに出ますね。
松下 照らし合わせたときに絵と同じものが観られるっていう、原作好きな方にはそこの感動はあるかもしれないですね。
――キャラクターのビジュアルについてはどうなりそうですか?
鈴木 あまり原作に忠実に、とは考えていないです。稽古をしている中で、「いや、もうちょっと、漫画原作であるということを気にしたほうがいいのではないか?」という、それこそ風味を(笑)感じてもいるんですけど。もちろん原作に敬意を払うというのは、小説を舞台化するときも同じこと。敬意を持ちつつ、俳優さんの魅力をお客様のお目にかけられるようなビジュアルにしたいなと思っています。
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