インタビュー & 特集
SPECIAL!『サウンド・オブ・ミュージック』映画版製作50周年コンサート
ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』映画版50周年記念コンサート&パーティの模様をお届けします!(取材・文/長谷川あや、写真/水本圭亮、取材協力/ザルツブルク市観光局、A&M Coordination copyright “Tourismus Salzburg/Franz Neumayr”
INTERVIEW & SPECIAL 2015 11/14 UPDATE
トラップ一家の実際の実話をベースにした物語を、ロジャース&ハマースタイン・コンビが珠玉のナンバーで紡いだ、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』。このミュージカルをもとに、ジュリー・アンドリュース主演で製作され、世界的に大ヒットを博した映画版が今年製作50周年を迎えた。
これを記念して、物語の舞台であるオーストリア・ザルツブルクでは、さまざまな記念イベントを実施している。2015年10月、映画版でトラップ一家が「エーデルワイス」を歌った祝祭劇場のフェルゼンライトシューレでは、モーツァルテウム管弦楽団の演奏、ザルツブルク州立劇場の演出によって、1日限りのガラコンサートを開催。トート役(『エリザベート』)のオリジナルキャストとして知られ、2011年の初演以来、ザルツブルク州立劇場で上演中の『サウンド・オブ・ミュージック』ザルツブルク公演でトラップ大佐役を務めているドイツ語圏のトップミュージカルスター、ウヴェ・クルーガーが司会を務めた。
映画でもおなじみだが、岩壁をくりぬいて建てた馬術学校を改築して造られたフェルゼンライトシューレは岩肌が露出した珍しい構造となっている。ガラコンサートのオープニングでは、この岩肌をたくみに用いた演出を採用。岩壁の穴のあいた部分に配された、修道女たちが前奏曲を歌い始めると、1300人を超える観客で埋め尽くされた客席からため息が漏れた。
コンサートでは現在、ザルツブルクで上演中のミュージカル版の進行に沿い、作中の楽曲が披露されていったが、子どもたちの登場シーンでは、思わぬサプライズが!
映画版に子役として出演した、フリードリッヒ役のニコラス・ハモンドさん、ルイーザ役のヘザー・メンジーズさん、クルト役のデュアン・チェイスさん、マルタ役のデビ―・ターナーさんが子役たちとともに登場(そこで見せた、ウヴェの戸惑いの芝居もなんともキュート。「子ども」たちの数を確認して、目を丸くした驚きの表情は遠めの席からもはっきりとわかるほどだった!)。故マリアさんの息子のヨハネス・フォン・トラップさんも舞台に上がった。
コンサート終了後のパーティーにも姿を現したウヴェは、瞬く間にファンや各国のメディアに囲まれ、その人気の健在ぶりを披露。
激しいウヴェ争奪戦(?)のなか、この日の感想を尋ねると、「まだ感情が高ぶっているよ」と興奮が冷めやらない様子。
作品、そして、トラップ大佐役への思いについて話を向けると、「この作品に出演できることをとても光栄に思っている。とくに今、ヨーロッパには今たくさんの難民が集まってきている。トラップ家も難民としてアメリカに渡ったこともあり、演じていてさまざまな感情が湧いてくるよ。トラップ大佐役はすでに僕の人生の一部になっているんだ」。最後は、「ドウモアリガトウゴザイマス」と日本語で返してくれた。
『サウンド・オブ・ミュージック』のザルツブルク公演は、現在、4期目に突入。チケットは、2015年12月6日公演分まで販売中だが、上演は不定期になるので観劇の計画を立てる際は事前に公演日程の確認を。
ザルツブルクの街は、『サウンド・オブ・ミュージック』の世界をそのまま堪能できるのが魅力。映画版でマリアが見習いをしていたノンベルク修道院は今も岩山の中腹にある(実在のトラップ夫妻はここで結婚式を挙げている)。映画版の「ドレミの歌」で印象的に使われたミラベル宮殿はザルツブルク州立劇場に隣接しており、トラップ大佐の屋敷として使われたレオポルドスクロン宮殿も中心地からほど近い。
ミュージカルファンにとっては、モーツアルトが洗礼を受けた大聖堂やモーツァルトの生家、コンスタンツェとレオポルト・モーツァルトが隣り合って眠るお墓(聖セバスチャン教会)も興味深いのではないだろうか。観劇の合間に、ミュージカルでおなじみの場所を訪ねる旅に出かけてみては?
ザルツブルク州立劇場
http://www.salzburger-landestheater.at/de/start/index.html