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インタビュー & 特集

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INTERVIEW!『ブロッケンの妖怪』倉持裕さん

竹中直人と生瀬勝久による“竹生企画”第二弾が誕生! 今回は、孤島に佇む洋館を舞台に、霧に不思議な影と虹が映るというブロッケン現象=“ブロッケンの妖怪”を巡る奇妙なドラマが展開します。作・演出の倉持裕さんに、竹生企画の魅力と、本作に込めた世界観を語っていただきました。(取材・文/高橋彩子 稽古場撮影/渡部俊介)

INTERVIEW & SPECIAL  2015 10/29 UPDATE

BY_126_303――竹生企画では第一弾『ヴィラ・グランデ 青山~返り討ちの日曜日~』(2011年)に続いて作・演出を手掛けられます。座付き、というわけではないんですよね?
そういうわけではないのですが、第一弾をやったあと、「できればまたぜひ呼んでください」と僕のほうから言いました。やはり、竹中さんと生瀬さんの絡みを書くことができ、演出することができるというのが、本当に楽しかったですから。すぐまた第二弾で呼んでくださるとは思わなかったですけど、嬉しかったですね。
――第二弾『ブロッケンの妖怪』では、第一弾をどう引き継ぎ、あるいは変化させていますか?
竹中さんと生瀬さんの役の関係性は第一弾を踏襲して、そんなに仲良くないのに長々と続く、腐れ縁の二人にしました。前回は、30年来の付き合いになるデザイナー(竹中)とカメラマン(生瀬)でしたが、今回は竹中さんが絵本作家で、生瀬さんが彼の長年の担当編集者です。単純に、あの二人が諍いを起こしているところが面白いので、それを今回もやろうと。やり残しがあったわけではないのですが、より掘り下げたい、深化させたいと考えました。
――前回の舞台はマンションの一室で、今回は孤島の中の洋館。ほぼワンシチュエーションで展開するというスタイルも似ています。
そうですね、今回は途中で少し変わってきますけれども。やはり竹中さんと生瀬さんのお芝居をじっくり作りたいので、転換の数を少なくして二人の絡みを見せることにしたんです。もちろん、それが大丈夫なキャストだというのは大きいです。

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BY_208_308――倉持さんの目に、竹中さんと生瀬さんはどう映っていますか?
絶妙な緊張感がありますよね、お二人には。芝居に対するアプローチのしかたも、芝居を離れたところでも、人間的な美学・哲学がかなり違っていて、交わるところは少ないのではないかと思います。稽古をしていても、同じ方向を向いて同じ地点を目指すというより、違うほうを向きながら、でも最終的には同じ場所を目指さなきゃいけないというところで、緊張感が生まれる。互いに引っ張り合っている感じというのかな? その状態でコメディーをやるので、なんとも言えない味わいが出るんです。
――具体的にはどういう“引っ張り合い”があるのですか?
生瀬さんは、観客にしっかり届けよう、置いていかないようにしようという意識が強いので、少しでも笑いがわかりにくい可能性があると、こうしたほうがより意図が伝わるんじゃないかと提案をくれます。それに対して、竹中さんは、わかりやすさよりテンションを重視するところがありますね。笑いが小さく収まりそうになると破壊していくというか、想定外のほうへ行こうとするというか。身勝手にやっているわけではないですけど、敢えて壊して展開していく。
だけど実は、最初に仕掛けるのは生瀬さんだったりするんですよ。こっちの方向はどうだろう、あっちの方向はどうだろう、というふうに、煽ったり引っ張ったりする第一歩を踏み出すのは生瀬さんで、竹中さんは生瀬さんが行きたい方向がわかったら逆のほうに行って、そこに生瀬さんも、乗っていったり、行き過ぎたら引き戻したり……。そういう作業の繰り返しですね。

BY_104――タイトルにもなっている“ブロッケンの妖怪”は、前作『虹とマーブル』の虹と同じく、ある条件が重なった時に起こる自然現象ですよね。
構想した時期は違うのですが、結果的に公演時期が近くなり、似たモチーフが重なることって、よくあるんです。“ブロッケンの妖怪”は実際に見たことはないのですが、子供のころ手塚治虫の短編で読んで知りました。漫画の影響から、すごくおどろおどろしい怖い現象のような印象を持っていましたね。実際にはそこまで恐ろしいものでも巨大なものでもないようですけど。
――先程、ワンシチュエーションだったのが少し変わるというお話がありましたが、この“ブロッケンの妖怪”が象徴的な役割を果たし、劇の途中で思いがけない展開を見せます。もう一つの自分、もう一つの世界みたいなものも現れますが、そうした世界には、以前からご興味が?
ありましたね。ただ、あまりにドラマティックだから避けていたんです。今回はそこに寄りかかり過ぎていない芝居なのでいいかなと判断しました。そんなに凝ったことはしないけれど、色々な仕掛けがあるので、スタッフは大変かもしれません。今は「これ、伝わるのかな?」という俳優達の不安が演出家席に伝わってきていて(笑)、その不安を汲むあまり、分かり易過ぎる芝居にならないよう気をつけてジャッジしなければ、と。観ているお客さんが「それはもう分かっているよ」と感じる時間を作らず、舞台のほうが半歩先を行くべきなので、その辺の塩梅を探りながら作っています。
BY_093_302――独特の設定がどう形になるのか、本番が楽しみです。今回はバラエティに富む俳優の方々が、このユニークな舞台を構築します。ここで、竹中さん、生瀬さん以外の出演者についての印象もお教えください。
全体的にすごくいいバランスですよ。
初舞台の佐々木希さんは、ご存じの通りすごくかわいいですし、演技への取り組み方が本当に素直で、吸収率、浸透力といったものが高い。そんなに器用ではないかもしれないけれど、こちらが言ったことをすべてやろうとしてくれます。ああいう姿勢で芝居に臨むなら、今後、色々な演出家と組んで、どんどん成長していくだろうなあと感じますね。
大貫勇輔さんは、ダンスだけでなくアクロバットもできる人だから、今回もその身体能力を活かすかたちで演出しています。本当にとんでもない動きをするので、見ものですよ。使用人として頭を下げたりする役ですが、それが卑屈に見えず、堂々として凛々しいのがいいですね。弱々しくせず若者らしさを見せたいという意図があったのですが、見事にはまっています。
安藤聖さんは、2008年に僕の劇団公演(ペンギンプルペイルパイルズ 『審判員は来なかった』)に出演してもらった時は可憐なヒロイン役でしたが、今回は竹中さん演じる作家の愛人役で、三枚目なところもやってもらっています。彼女も可愛らしいだけじゃないものも出てきていて、久しぶりにご一緒するのっていいなと思いましたね。佐々木さん演じるヒロインと対立する女性像を作りたかったのですが、ヒロインに嫉妬する様子などもよく表現してくれています。
田口浩正さんは、竹中さんも生瀬さんも最初から「田口君は出るべきだね」と言っていて(竹生企画第一弾にも出演)、具体的な理由もなく決まったというか(笑)。稽古をしていても、田口さんが出てくると、竹中さんもリラックスした顔になるんです。田口さんは船頭役ですが、竹中さん生瀬さんのお二人だけではなく、色々な方の橋渡しというか、バランスを取ってくれている気がします。
そして高橋惠子さん。人里離れた洋館の女主人という、あまり現実感のない役に、説得力を持たせてくれています。それこそ絵本から出てきたみたいな雰囲気で、しかもコミカルなところもあって、本当に面白いですね。今回のキャスティングは、竹中さん生瀬さんのお二人と、田口さん、そして若い女性二人、若い男性一人、という構成が前回と同じで、高橋惠子さんのポジションだけが新しいのですが、登場なさるだけで場が締まる。素晴らしいです。

BY_169_306――この劇では“ブロッケンの妖怪”なのか何なのか、大きな嵐のようなものが起き、そこで何かを得た主人公達がそれぞれの世界へ帰っていきます。
そうですね。冒険に出て、成長して帰っていくというのは、一つの典型。そこは敢えて王道路線で作りました。ただし、ちょっとした番狂わせもありますけど。
――気が早いですが、この作品を経て次に繋がりそうな発見や、見えてきつつあるものがあれば、教えていただけますか?
いつも、反動というか、一つの方向に行ったら逆を行きたくなるところがあります。今回がファンタジーだったので、次はリアルなものを書きたいという気持ちになっていますね。竹生企画でいつかまた呼んでくださるとしたら、もうちょっと日常的な問題をメインに扱ってみたいです。前回も、場所は日常的なマンションの中庭だったけど、娘の元カレに刺されて、という突飛な状況だったので、もう少し、そこら中に転がっているような日常的な題材でも書いてみたい……。そんなふうに、色々な状況、色々な役でやっていただきたくなるような、可能性豊かな座組ですし、今回もその面白さを十分に感じていただけると思います。

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倉持裕(くらもち・ゆたか)
1972年生まれ、神奈川県出身。2000年に劇団『ペンギンプルペイルパイルズ』を旗揚げ、主宰。
以降すべての劇団作品の脚本・演出を手がける。
『ワンマン・ショー』にて第48回岸田國士戯曲賞受賞。舞台脚本・演出作品多数、近年ではTV ドラマの脚本も手がけ、
活動の幅を広げている。

公式サイトhttp://www.penguinppp.com/member/kuramochi-yutaka/

STORY
ある秋の日の午後。絵本作家の打越(竹中直人)と担当編集者の黒柳(生瀬勝久)、そして、打越の放浪癖と浮気性を心配する恋人の桃(安藤聖)が、高地にある大きな湖の真ん中に浮かぶ小島を訪れていた。そこには城のような洋館が建っており、それが島の敷地のほとんどを占めている。 
霧の濃い日はその霧に洋館の影が映り、湖の上にもう一つの洋館が現れるという。「ブロッケン現象」と言われるものだ。霧に映った洋館の影を虹が囲む、その美しい光景を、打越たちは取材にきたのだった。 
洋館には日ノ原虹子(高橋惠子)という女主人と娘の小真代(佐々木希)、使用人の若い男・稲井(大貫勇輔)が暮らしていた。他に、生活に必要な品を本土から運んでくる船乗り・泊(田口浩正)も出入りしている。
だが、会話や態度にどこかしらギクシャクしたものが感じられる日ノ原家の人々。
不審に思う打越と黒柳らは、嵐の夜にこの洋館と家族を巡る、驚くべき秘密に遭遇することになる。

『ブロッケンの妖怪』
作・演出:倉持裕
出演:竹中直人 生瀬勝久 佐々木希 大貫勇輔 安藤聖 田口浩正 高橋惠子
東京公演:10月30日(金)~11月1日(日) シアター1010
11月12日(水)~11月29日(日) シアタークリエ
各地公演:11月3日(火・祝)~9日(月)、12月1日(火)~12月12日(土)
広島、大阪、静岡、名古屋、福岡、鹿児島、鳥取、新潟、岩手、栃木にて
公式サイトhttp://www.tohostage.com/brocken/

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