インタビュー & 特集
mag special INTERVIEW! 『貴婦人の訪問』山口祐一郎さん
ミュージカル界を牽引している俳優たちが集結し、質の高いサスペンスに仕上がっていると話題のミュージカル『貴婦人の訪問』。東京公演も終え、残すは名古屋公演のみとなりました。…が!ファンの皆さんにはうれしいお知らせ。好評につき早くも来年秋の再演が決定しました! そんな話題作『貴婦人の訪問』に主演している山口祐一郎さんにお話をうかがいました。撮影/熊谷仁男、文/小柳照久、ヘアメイク=古田世津子 スタイリスト=風戸ますみ
INTERVIEW & SPECIAL 2015 9/8 UPDATE
――山口さんが演じられているアルフレッドとはどんな人物なのでしょう。
私が演じているアルフレッドは、10 代の時に、涼風さん演じるクレアと愛し合い、付き合っていました。しかしその後、クレアとは別れ、春野さん演じるマチルデと結婚します。そのまま田舎で、妻と共に平和に雑貨屋を営んでいたのですが、ある日、昔愛したクレアが、世界クラスの億万長者になって戻ってきました。しかも、財政難の街を救ってくれるというのです。ただし、それは、アルフレッドの命と引き換えならばという条件付きだった……。アルフレッドの立場からいえば、若い時分に奔放な人生を歩むと、その後どんな目に合うかという教訓が込められているお話です。そういうことも含めて、みなさまにこの作品を楽しんでいただければと思っています。
――演出の山田和也さんによると、この作品はカラッと明るいコメディではなく「乾いた笑いがふんだんに盛り込まれた文明批評の劇」とのことですが。
クレアは、財政難の街に約2000 億円寄付する代わりに「アルフレッドの命」を求めるのですが、それに対しての街の人の変化が衝撃的です。最初はみんな、“お前が死ぬわけがない、ありえないよ”と、アルフレッドを擁護する雰囲気だったはずなのに、やがて誰かがお金に目がくらんで動き出したら、我も我も…と止められなくなります。拝金主義や残酷な集団心理による人間社会の醜い面が、見事に浮かび上がってくる作品です。
――東京公演も大好評のうちに終了し、あとは最後の名古屋公演。そして、来年の秋の再演も決定しました。これから劇場に足を運ばれる方にメッセージをお願いします。
これは、普通の人の話です。誰にでも起こる可能性があります。明日はあなたの身に起きるかもしれません。ただのフィクションでは済まされない、現実と芝居の間にあるこの作品から、何かを感じ取っていただければうれしいです。
※インタビューのロングバージョンは『omoshii mag vol.3』 でお読みいただけます。