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インタビュー & 特集

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INTERVIEW! 『夜への長い旅路』満島真之介さん

数々のドラマや映画に出演し、最近ではドラマ『恋愛時代』の演技も印象的だった満島真之介さんが、9月から舞台『夜への長い旅路』に出演します。そのお話を伺いました。(文・武田吏都、写真・齋藤ジン)

INTERVIEW & SPECIAL  2015 7/30 UPDATE

――映像のイメージが比較的強い方だと思うのですが、実は俳優デビューは舞台なんですよね。
2010年の『おそるべき親たち』(ジャン・コクトー作)がデビュー作で、脚本が木内(宏昌)さん、演出が熊林(弘高)さん、そして麻実(れい)さんがお母さん役という、今回の『夜への長い旅路』と同じチームでした。


――演技未経験でいきなりジャン・コクトー! かつ、すごい方々に囲まれたデビューだったんですね。
 セリフも膨大で、演じたミシェルという役は主役みたいなものでしたし、あり得ないところに放り込まれた状態だったんですけど、自分の中では全然あり得なくなくて、「あ、来た!」って感じだったんです。今もそうなんですけど、芝居を仕事としてとらえる考えはないんです。「今の自分自身はどういう状態なの?」ということしか考えていない。初舞台のときは、なんでもない真っ白な少年がそこにいたという感じだったと思います。この話は家族が崩壊していく話。演じているときは愛に包まれているからいいんですけど、家に帰ったら毎日大泣きしていました。愛に包まれた状態から離れた瞬間、全て押し寄せてくるんですよね。「今、俺は何をやってるんだろ?」って。怒りでも苦しみでもなく、体験したことのない複雑な感情があふれ出てきたんです。初舞台のときのあの感覚は、忘れられないです。


――その初舞台に満島さんを抜擢したのが、今回の演出も手掛ける熊林さんだったんですよね。
 はい。僕は学童保育の先生や映画の助監督をした後、自転車で日本一周の旅に出たんですけど、旅の途中で朝陽を見た瞬間に、ぶわー!って血が蒸発する感覚になって、「何かを表現しないと俺やばいかもしれない!」という溢れるほどのパワーが降りてきたんです。すぐになけなしのお金で公衆電話から、今の事務所の社長に連絡をしました。そこがたまたま俳優の事務所だったというだけで、自分のありのままのパワーを素直に出せるものであればよかったんだと思うんです。もしかしたら音楽やダンス、大道芸だったかもしれないんですけど。そこから事務所に入って数か月たった時、手塚とおるさんと岡本健一さんがやっていた“自分の体を知ろう”というワークショップに行ったんです。体のことにはとても興味があったので。そこで、息子役を探していたらしい熊林さんに『おそるべき親たち』の台本を急に渡されて。戯曲なんて一切読んだことがなかったので、困惑しましたが。


――いわば、俳優・満島真之介さんを発掘した熊林さんとは、『おそるべき親たち』初演・再演に続き、今回が3度目のタッグになります。満島さんから見て、どんな演出家ですか?
 お互いにもってるものが全然違うので、すごくいいバランスでいられているかなと思うんです。発想やアプローチの仕方が真逆なんですよ。すごく近いところもあるけど、つかめない。それがいいんです。不思議な縁で繋がってるなぁと思える関係。本当にステキな人ですよ。その方とまた作品を作れるのはとても幸せです。


――そしてまた今回、熊林さんからのご指名で与えられた役は、作者のユージン・オニール自身がモデルといわれる次男エドマンド。
 自伝劇で作者本人を演じるっていうのはなかなかない不思議な体験ですよね。でも「あ、選ばれてしまったな」っていう感じがあります。役者としてではなくて、人として。それに対してプレッシャーは感じていない。生きていく過程として、通るべき道だなという想いが強いです。稽古も始まっていないので (※取材時)、ユージン・オニールに対してどう思っているかは自分の中にまだないんですけど、一人の人間が生きてきた時間を、僕の人生の時間の中でどう生きればいいんだろうかというようなことだけを考えていますね。いずれにせよあまり難しいことは考えていなくて、「ユージンさんに呼ばれてしまったな」という感じなんです。


――作品に対してどんな印象を抱きましたか?
 雨が降っている、夜中2時くらいのイメージ。嫌な雨じゃなく、しとしとと、ミストのような、浄化していくような雨が降っている。星空ではあるんだけど、なぜか雨が降ってるというイメージ。不穏な感じなのに、安らぎがある美しい空間になるはずです。


――熊林さんと組む作品はいずれも家族劇。満島さん自身、家族とのつながりが強い印象がありますし(四人姉弟で実姉は満島ひかり)、結婚によって新しい家族もできました。“家族”にはどんな思いがありますか?
 自分の家庭を持ち始めて思ったのは、こうやってひとつの家族から独り立ちしたところにまた新たな家族が生まれるって、すごく不思議な流れなんだなって。根本的なことなんですけど、そんなことあんまり考えないと思うので。僕が産まれる前には父と母の2つの家族があって、その前にも2つずつの家族があって。それらが結集して今の僕の家族があるんだということを身近に感じることができ始めている。いろんな家族があって愛情もいろいろだし、正解も答えもない旅のようなものだと思うんですけど、やっぱり誰もが切っても切り離せないものが家族なんですよね。大切にしたいなと思います。


――『夜への長い旅路』の家族も互いに強く愛しているからこそ逆の方向に向かってしまう、というところがありますよね。
 そうなんです。実は今日初めて公演チラシを見たんですけど、まさにこの感じ。僕の中では、4人でひとつの心臓を作っているイメージなんですよ。動脈があって静脈があってポンプの役割の人がいて。それぞれの役割があるから互いに干渉しすぎず、だけど体の中心にあって、これがないと生きていけないものの象徴のような。家族4人が血管のようなものに縛られて、固まって写っているこのチラシを見たとき、心臓に見えて仕方がなくて。
 この作品には美しくて愛に溢れた時間が流れそうな気がします。ひとつの感情で片付けられるものではなくて、愛と憎しみと恐怖と欲望と……挙げたらきりがないほど人間の全てが詰まっている気がします。悲劇的ではあるんですが、でも根底には家族の切り離せない深い愛情が美しさを引き立ててくれるはずです。
この作品の話をするとき、なぜかわかんないんですけど、すごくゆったりした気分になるんですよね。母体に戻る感覚といいますか。こんな感覚は初めてだなぁ。

 

★★満島さんからの動画メッセージです★★

★★演出の熊林弘高さんからもコメントをいただきました!★★

 言葉で相手を傷つけながら求め合っている家族、けんかをしながら一緒にいる家族の物語。自分にとって、この『夜への長い旅路』はどういう意味を持つのでしょう。ぼくは去年父を亡くし、10年前に母も亡くしています。ひとりっ子だったぼくには、『夜への長い旅路』の家族のような、人間の尊厳を賭けた会話を、父や母とした記憶がない。ぼくが家族劇を演出する理由、その中で、人間同士の激しい愛と憎しみを表現する理由は、それが、欠けたピースを埋める作業だからでしょう。今まで演出した家族劇の中で、今回が一番の難関、難所。この作品を乗り越えて初めて、家族というものを、自分の中のある落としどころに落とすことができると思うんです。

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みつしま・しんのすけ●1989年、沖縄県生まれ。2010年舞台『おそるべき親たち』で俳優デビュー。以降数々のドラマ、映画、舞台などに出演。最近では、ドラマ『恋愛時代』(日テレ系)、『リスクの神様』(フジ系)に出演。

『夜への長い旅路』
9/7~ 23東京・シアタートラム
9/26~ 29大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
[作] ユージン・オニール
[翻訳・台本] 木内宏昌
[演出] 熊林弘高
[出演] 麻実れい/田中圭/満島真之介/益岡徹
http://www.umegei.com/schedule/455/

問い合わせ先:梅田芸術劇場 0570-077-039

 

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