インタビュー & 特集

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子供だけでなく大人の心にも寄り添った『シークレット・ガーデン』、出演の石丸幹二さん

6月11日に初日をむかえ、7月11日まで東京・シアタークリエにて、その後、全国ツアー公演と続くミュージカル『シークレット・ガーデン』。アーチボルド役を演じる石丸幹二さんにお話をうかがいました。(取材・文/小柳照久、撮影/熊谷仁男)

INTERVIEW & SPECIAL  2018 6/18 UPDATE

――ついに6月11日、ミュージカル『シークレット・ガーデン』が開幕しました。この作品にご出演の石丸幹二さん。こちらは一言でいうとどのようなお話ですか?

『小公子』や『小公女』で有名なバーネット原作『秘密の花園』のミュージカル版です。孤児となったメアリーのひねくれた心がどんどん変わって、回りの人に影響を無意識に与え、最後、僕が演じる叔父のアーチボルドの閉ざされていた心まで開いてしまうという、ハートウォーミングな作品です。

_DCS1174_pp――omoshii読者にはミュージカルファンも多いのですが、石丸さんが、ミュージカルの道に進まれたきっかけを改めて教えていただけますか?

もともと東京音楽大学でサックスを学んでいたのですが、たまたまNHKの『芸術劇場』という番組で、アメリカのソプラノ歌手、ジェシー・ノーマンのリサイタルを観たんです。シューベルトの『魔王』を歌っていたんですね。子ども・父親・魔王の三役を彼女は声だけで見事に演じ分けていた。人間の声の持つ可能性と、物語を音楽に乗せて伝える魅力にとらわれ、「歌をやってみたい!」と思ったんです。もちろん、サックスは好きなんですが、言葉を使った音楽表現に強く興味を持ち、東京藝術大学を受験しました。

――クラシックの最高峰の学校に入学され、あっというまに新橋演舞場の舞台に立たれていました。まだ藝大在学中でしたね。

劇団四季のオーディションを受け、1990年、ミュージカル『オペラ座の怪人』のラウル役でデビューしました。ミュージカルというものをよく知らず、『オペラ座の怪人』がどんな作品かも知らずに飛び込んだ。ただ目の前にある課題をクリアしていたら、真夏の新橋演舞場にたどり着いていました。当時、演出家や共演者たちの「今回はシャンデリアの代わりに演舞場の提灯が落ちてくるからな」という冗談を真に受けて「そうか、今回は提灯なんだ」と信じたくらい、無知でした(笑)。

――劇団四季に入団されてからは、歌うだけでなく、踊ったり、時にはストレートプレイにも出演されたり、常にチャレンジの時代を過ごされましたね。

無知だからこそ飛び込めたんでしょうね。劇団四季がもともと芝居の上演から始まった劇団だと知っていたら、もっと身構えていたと思いますし、『CATS』で自分も踊ることになるなんて分かっていたら、入団オーディションは受けなかったと思います(笑)。応募要項に「踊りとセリフを見てもらいたい人はチェックを」という欄があるということは……いずれ入ったらそれがあるってことなんですよ。たくさんの石につまづきながら歩んだ劇団時代でした。

――今でこそミュージカル俳優になりたくて藝大に進学される人も増えているようですが、石丸さんが学生時代はいかがでしたか?

私が入学するちょっと前にはいらしたようですが、私の在学中はあまりいませんでしたね。その後、ミュージカル研究会ができて、ミュージカルをやりたいという声楽専攻の人が増えてきたようです。劇団四季にも僕の後に何人も入団してきました。

_DCS1188_pp――石丸さんのデビュー当時、新橋演舞場は来日公演の招へいに力を入れていて、そのときに『シークレット・ガーデン』の来日公演がありました。

1993年ですね。偶然、当時の広報の人に「あなたができるような役はないけれど、こういうミュージカルがあるんだということを知っておくべきだ」と言われて観に行きました。

――スタッフを女性で揃え、美術や演出に凝った美しい舞台でしたね。

子役の演技が、こんなにも観客の心を打つんだと感激しました。観客の心を揺さぶっていくのを体験し、「ミュージカルってすごいな」と改めて実感しました。

――1993年のトニー賞で、子役にも関わらず、メアリー役のデイジー・イーガンが助演女優賞を受賞した作品ですから。

すごいことですよね。大人の自分がノックアウトされました。でもね、メアリー役は、一女優としての意気込みがないと演じきれないんですよ。今回の僕らが演じる『シークレット・ガーデン』のハードルを上げるようですけど。

――あれから25年という歳月を経て、当時メアリー目線で眺めていた人も、今回は石丸さん主演ということもあり、大人目線で観る楽しみがあります。作品を多方向から観ることは、観客にとっても豊かな体験です

僕も来日公演はメアリーに寄り添って観ていました。アーチボルドに対しては全然意識してなくて(笑)。でも、今回の台本を初めて読んだとき、子どもだけじゃなくて大人の心にもしっかり寄り添っているのに気付いた。どの世代の人が観ても、何か影響を与えてくれる作品だなと思いました。

――石丸さんとしては久しぶりにほっこり系の作品に出演される印象があります。

確かに『ジキル&ハイド』『パレード』と悲惨な物語が続きましたね。いろんな苦難を乗り越えて幸せをつかんで、お客様がほっとして家路につける、最近の僕にしては珍しいですね(笑)。

――ルーシー・サイモンさんの楽曲はいかがですか?

ミュージカル通をうならせるような、珠玉の名曲の数々で、素晴らしい作曲家です。ソロだけでなく、対話しながら歌うナンバーにしびれますね。重唱も多く、それも次元が違うところで歌っている。だから、お聴きになるにはちょっとコツが必要です。『オペラ座の怪人』の七重唱のように、誰かに意識を寄せると、言わんとしていることを聞き取ることができます。アーチボルドは、花總まりさんが演じる最愛の妻に思いをはせ、医師ネヴィル役の石井一孝さんと一緒に歌い上げる、「リリーズ・アイ」という大ナンバーが控えています。兄弟で掛け合うナンバーは珍しいので、楽しみにしていてください。

――聴いているには美しくて幸せですが、歌うには難しそうな曲が多い作品という印象があります

歌のプロであっても、簡単には歌えない曲が多いですね。具体的に言うと、転調が多いんです。それも(『ジキル&ハイド』、『スカーレット・ピンパーネル』などの)ワイルドホーンのように、ガラッと転調するのではなく、徐々に少しずつ調が変わっていくタイプの転調なんです。手法としては、(『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』の)ソンドハイムに近いですね。また、重唱については(『オペラ座の怪人』などの)ロイド=ウェバーに近い。

――初演当時は、歌を得意とする男性が求められる作品が多い時代でした。『シークレット・ガーデン』も、マンディ・パティンイン、アンソニー・ワーロウ、ラミン・カリムルーら、そうそうたる俳優たちが出演してきました。

我々、歌出身の役者からすると、やってみたいと駆り立てられる作品だと思います。『オペラ座の怪人』以降、より難しい曲に対応できる俳優がミュージカルの世界に入ってきていると感じます。

――音大組の経歴を存分に活かした、テレビ番組『題名のない音楽会』での司会もすっかりおなじみになりましたね。

思いがけず、クラシックと再会しました。一流アーティストと毎週出会える刺激は限りなく大きくて、役者の引き出しの一つにもなるのかなと思っています。天才に近い人たちばかりですからね。技術だけじゃなくて、観客の心に訴える才能はどうやって身につくんだろうと思いながら見ています。

――クラシックの番組ではありますが、クラシック以外のアーティストも出演される番組ですね。

ご覧になった方にいろんなジャンルに目を向けてもらえる。そういう働きかけをする使命があると感じてます。時々ミュージカルの楽曲を演奏してもらったりして、少しずつですけれど、クラシックしか聴かなかった人がミュージカルにも興味を持ってくださったら嬉しいですし、そういう努力をしなければと思っています。

――作品目当て、役者目当てで足を運ぶ劇場と異なり、テレビはたとえそのジャンルに興味を持っていなかった人も偶然見ることができる場でもあります。

ミュージカル経由で番組をご覧になった方には、クラシックを怖がらず、刺激を受けてもらいたいなと思っています。『題名のない音楽会』で僕は音楽のコンシェルジュとしての立ち位置です。番組の打ち合わせでは、初めてその音楽に触れた方でも楽しんでいただけるようなテーマを選んでいます。一流=難しいのではなく、凄いけれど楽しくわかりやすい番組を目指しています。
ミュージカルの世界でも、ミュージカルをずっとやってきた役者だけでなく、2.5次元作品を得意とする人、芝居畑の人、時にはお笑いの人と一緒に演じるなど、作品によって、求められる人材が違います。もっとすそ野を広げていかなくてはと思ってます。

――テレビを経験することで改めて感じる劇場の魅力はありますか?

客席への扉を開けることは、夢の世界、非現実の世界に入ることなので、日常とチャンネルが変わります。職場、友人、家族などから離れ、一人の世界になれるんです。

最近は劇場が閉館になったり、長期の改修工事があったりで、ミュージカルがなかなか上演できない地域が出てきました。やはり上演可能な劇場が全国に欲しいですね。そうしてミュージカルを根付かせることが、僕たちの世代の役目です。

――最後に、『シークレット・ガーデン』への意気込みをお願いいたします。

会話が中心のミュージカル。過去と現在が交差し、パズルを解くように人間関係を紐解きながら、「この先、どんな方向に進むんだろう?」と観ていただきたいと思います。東京のほかにも全国ツアーもありますので、劇場でお待ちしています。

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<公演情報>
『シークレット・ガーデン』
6月11日(月)~7月11日(水)東京 シアタークリエ
7月14日(土)~16日(月) 神奈川 厚木市文化会館
7月20日(金)~21日(土)  福岡 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
7月24日(火)~25日(水) 兵庫 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

脚本・歌詞: マーシャ・ノーマン
音楽: ルーシー・サイモン
原作: フランシス・ホジソン・バーネット「秘密の花園」
演出: スタフォード・アリマ
出演:石丸幹二、花總まり、石井一孝、昆夏美、松田凌
池田葵/上垣ひなた(Wキャスト)、大東リッキー/鈴木葵椎(Wキャスト) ほか
http://www.tohostage.com/secretgarden/

 

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