連載

第6回ゲスト『清水宏のオレ哲学』第3週

タレントで、舞台・役者・声優・ミュージシャン・プロデューサーとしてマルチに活躍の川本成(あさりど)さんがホストとなって、エンタメ業界のみなさまに聞く、「オレの哲学とは?」。連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。第6回目のゲストは、役者・コメディアン・演出家の清水宏さんです。エジンバラで世界をうならせた清水さん、日本では!?(撮影/熊谷仁男 構成・文/中村恵美)

COLUMN 2013 3/23 UPDATE

川本:清水さんは、エジンバラでウケて、海外マスコミからの取材も受けた。そういう清水さんに対して日本人は何してるんですかね? 清水宏を放っておいちゃだめでしょう。

清水:いや、でもね、意外と……あれ、考えたけど、やっぱりほっとかれてるね。Yahooニュースに取り上げられてもいいのにね。取り上げないよねー、Yahooニュース。

川本:(笑)。演劇界で言えば、米倉涼子さんがブロードウェイに立ったときのように何かフラッグをゲットしたら、日本て一気に取り上げるでしょ。海外で活躍すれば、ガーンと注目度が上がるんじゃないですか?

清水:バックアップもなく、地道に自分の力でやってるからね、オレの場合。でも、オレはいいと思ってんの、こっちの方が。自分でイチからやることが原動力になってるし。

うまくいかないことが怒りとなってパワーにだってなる

 
川本:清水さんのそのパワーの源ってどこにあるんでしょうかね。リングに立つような気持ちというか、怖さってどうでしたか?
 
清水:怖さはね、日本でやってるときと同じかな。客の前に立ってるときの闘争心というかな。246億に出てるときと同じだよね。ただ、まるでだめなときあるじゃん。俺の芸風って、

20歳前後の人の前でやるのと、外人の前でやるのと変わんなかったりする。

川本:はぁ、なるほど。そういう意味じゃ同じかもしれない。

清水:でもさ、怖さっていうのは、そういうのだけじゃなくて、事情をよくわかってる人が観に来ると怖いってこともあるし、隣近所の人が観に来ても怖いこともあるし。まぁ、いろいろだよね。

川本:なるほど。

清水:だから、エジンバラで外国人を前にしても、もうやるしかないなーってなるね。オレがやらなきゃ誰がやる、状態だから。舞台監督も音響も全部オレがやるんだよ。客の入れ替えも15分ぐらいでして。結局

オレがGOって言えばGO

の。

川本:へー!

清水:それに政治がないから。まぁ、深くやっていくと出てくるのかもしれないけど、今はそれに気を使わなくていいから。日本だと、この人を立てたりあの人を立てたりとかしなくちゃならないけど、そんなのは全くないし。その点ではやりやすいよね。日本でもそういう風にしなくちゃいけないと思うし、本当はやれるとは思うけどね。

川本:人には照れくさいとか、これやったらこうなるとか、恥ずかしさを想定したりとか、そういうことがカセとなって、1歩前に出られないことがあるでしょ。でも、清水さんのレベルは想像を超える。怖さのレベルが半端ないでしょ。こんな人いないもん。

清水:だって、もう、そういうこと気にしてる場合じゃない。最終的にそう思っちゃうんだよね。

川本:どうやってそこまでたどり着いたんですか?

清水:もちろん恥ずかしいことはしたくないって境地には陥るよ。今回だって、撮影しながら、「今、誰も見てないし、こんなことで恥かいてどうすんだ」って、つまんないことで、カメラマンにキレたりして。「ネタにならないことは、細かく撮ることはやめようよ。嫌な気持ちになるし」とかごねたりする。カメラマンにしてみれば、「はぁ!?」って感じになるでしょ。でも、結局「オレが言い出したことだから、いきますけどね」って撮影を続けて、そういうような、同じことぐるぐる繰り返してる。

川本:経験を組み重ねると、どんどん新しい挑戦ができなくなるじゃないですか。そことは逆行してるでしょ。

清水

むしろ挑戦していける年齢になってきたと思う

よ。38歳とかだと難しいかもしれないけど。

川本:オレ38歳ですよ。

清水:それがもう少し過ぎて、45歳になるといけちゃうんだよ。多分

50歳とかになると、野球とかも普通に始めちゃうと思う

よ。

川本:(笑)。

清水:オレ野球コンプレックスで、子供の頃、キャッチボールとか、ちゃんとできないから嫌いだったの。あの頃って野球しか選択肢なかったし。何だお前、野球できないのかよって感じで見下されたりしたでしょ。で、オレはプロレスとかに逃げちゃった。

川本:オレも、全く同じ。女投げだったから。

清水:Jリーグに野球が押されたとき、「ヒヒヒッ」って思ってたからね(笑)。

川本:(笑)。

清水:でも逆にね、50歳になると、失ったものを親父ボーイが取りに行く。そんな感じになるんだよね。だから、子供の野球チームに「オレをチームに入れてくれよ」ってお願いして、本気になってやる。エラーしたら、子供たちから「何やってんだよーオヤジ!」とか文句言われて。で、オレよりも若い監督から、「清水さんだって、頑張ってるんだから」って、かばってもらって(笑)。

川本:(笑)。

清水:それによって、

過去に逃げたことを取り返したい。

そして、昔、負けたやつに、1人1人仕返しに行きたい。

川本:(笑)。掘りますよね、清水さん。とことん掘る。

清水:こういうことがやってられるのも、ネタとして話せるからだよね。エンターテインメントとして背中を押してくれるものがなければ、スポンサー探しだってしんどくてやってられない。失敗もネタにできるから、話せるからやっていられる。

川本:失敗が裏を返せば物語になるから、失敗ではない、と。

清水:そう。話す場所がなくて、日常が小さな敗北ばかりだったら、やってられないよね。「46歳にもなって何やってるの、あんた。これまで何やってきたの!」とか、「演劇の世界じゃいいかもしれませんけどね、普通は違いますよ、ちゃんとしたらどうですか」とか、大の大人が説教されるような、ね。でもまぁ、こっちも静かに聞いてるわけじゃなくて、「じゃあ言いますけどね!」と、ムキになって言い返すんだけどね。

川本:(笑)。

清水:最終的に協力してくれた今治でも、随分お世話になって、しかも車で送ってもらってたときに、「何で、今治にしたのか、もっとよく考えたらどうですか。リサーチもきちんとして…」とか言われたんだよ。そうすると、またキレちゃって、言い返しちゃってね。最後には呆れたように、「ホントに君は聞く耳がないね」とか言われて。

川本:ふり幅、広いですよね。

清水:公演後も毎日飲みに行くでしょ。そういう時もね。

川本:行きましたよね。僕がちょっとだけ遅れて行ったら、さっそく焼き鳥屋で清水さんがやり合ってるんだもん。

清水:「何言ってるんだ!」ってね。

川本:でも正論なんだよね、清水さんの言ってること。すごくよくわかる。店員さんも結局納得してくれて、結果、よくしてもらったよね。

清水:そういうこともあったし、そうでないこともあった。あのときは、わかる店員さんだったからね。でも、……面倒だね。

川本:(笑)。

清水:オレは必ず、店員さんに要求するわけ。「1対1で話し合いましょう!」って。でも、みんな忙しいじゃん。当たり前だけど。そういう台詞を聞くとね、「1対1なら……もう、店長の所に行って下さい」って言われるんだよね。

川本:ほんと、面倒ですね(笑)。

清水:(笑)。さすがに、見えてくるとすごく恥ずかしいね。

(次週に続く)

 

ゲスト・プロフィール 清水宏(しみず・ひろし)  

愛知県出身。俳優であり、演出家であり、声優であり、コメディアン。本人曰く、演劇出身のテンション爆発芸人。早稲田大学演劇研究会を母体とした劇団「山の手事情社」出身。退団後、石井光三オフィス所属を経て現在はフリー。舞台、ラジオ、テレビなど、幅広いジャンルで活躍中。2011年、2012年連続でイギリスのエジンバラ・フリンジ・フェスティバルに参加。〈2011年4ツ星を獲得〉

ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)

欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ「絶滅寸前男子」、へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』(2012年4月~)他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。

 

★お知らせ★その1

清水宏さん、川本成さん出演舞台のお知らせです!
時速246億「No.721」再演
日程:東京7月2日(火)~9日(火)/名古屋7月13日(土)~14日(日)
劇場:東京・赤坂レッドシアター/名古屋・テレピアホール
作・演出:御笠ノ忠次
出演:飯野雅彦、海老澤健次、郷本直也、清水宏、DAIZO、豊永利行(SET)、藤原祐規、宮下雄也(RUN&GUN)※50音順/川本成
時速246億オフィシャルサイトhttp://www.jisoku246.com/

その他、清水宏さん出演情報はオフィシャルブログをご覧下さい。http://ameblo.jp/hiroshimizuflamingcomedy/

★お知らせ★その2
川本成さん出演舞台のお知らせです!
WBB vol.4「川崎ガリバー」
日程:4月20日(土)~4月28日(日)
劇場:青山円形劇場
演出:佐野瑞樹
作:佐野大樹
出演:佐野大樹/佐藤永典・根本正勝/加藤学・小野友広・千田聖也/川本成(時速246億)・河野まさと(劇団☆新感線)他
料金:前売・当日共 ¥5,000(全席指定・税込)
チケット:イープラス・チケットぴあ・ローソンチケットにて発売中
詳しい情報はWBBオフィシャルサイトをご覧下さい。http://www.w-b-bros.jp/

★お知らせ★その3
川本成さん出演舞台のお知らせです!
男子はだまってなさいよ!⑨「聖バカコント」
日程:6月6日(木)~6月16日(日)
劇場:下北沢・本多劇場
作・演出:細川徹
出演:荒川良々・皆川猿時・ラバーガール・シソンヌ・川本成・大堀こういち
詳しい情報は男子はだまってなさいよ!オフィシャルサイトをご覧下さい。
http://www.dansiwa.com/

 

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