連載

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第5回ゲスト『島口哲朗のオレ哲学』第2週

タレントで、舞台・役者・声優・ミュージシャン・プロデューサーとしてマルチに活躍の川本成(あさりど)さんがホストとなって、エンタメ業界のみなさまに聞く、「オレの哲学とは?」。
連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。第5回目のゲストは、剣伎衆かむゐ主宰の島口哲朗さんです。第2週の今回はなんと、サムライ・ソードアーティストの島口さんが殺陣の業界を、ズバッと斬る!?(撮影/熊谷仁男 構成・文/中村恵美)

COLUMN  2012 9/22 UPDATE

島口:僕の今の野望は、ちっぽけなんだけど、一つ道を作ることなんです。

川本:ほうほうほう。

島口:剣道や柔道、合気道、空手道はありますよね。茶道、華道もある。笑いにも、音楽にもあるだろうし、みんな自分なりの道がきっとある。

僕の中では剣の道。

でも、剣で人と繋がる道は、ちょっと時代違ったら、究極の殺人の疑似なんで、簡単に危ない思想になっちゃうと思ってるんですよ(笑)。

川本:(笑)。

島口:日本の文化は、長年育んできた、目には見えない美しさや、型を凄く大事している部分がありますけど、それをただ大事にすればいいのかといえば、単純にそうでもなくて。でも、目に見えないものにたどり着かないと目に見えるものもいかせないし、逆もしかり。

川本:うんうん。

島口:そういうことを思ってから、殺陣について考えると、カテゴリー自体の脆弱さを感じたんです。僕の中では、NHK(の時代劇)とか東映(の映画)とか歌舞伎とか、色んな物の殺陣にちょっとずつですけど触れて、その時にこれだ!というものがなかったんですね。

川本:ほうほう。

島口:取り入れられるものもあるんですけれども、しっくりこなかった。

川本:殺陣っていうのもジャンルですよね?

島口:はい。一応カテゴライズされてます。

川本:今の話をきいていて、素人ながら、テレビの時代劇とか映画とかで、殺陣をいっぱい見る機会もありますが、舞台とか時代劇とか、殺陣にはいろいろあるということですか?

島口:さまざまな物はあるんですけど、逆にある意味では、全部同じです。

川本:同じ?

島口:はい。僕は出演しながら、振付することが多いのですが、振付師、殺陣師と言われてるのは振りや殺陣をつける立場。業界の中で、殺陣のプロと言われるのは、いわゆる斬られ役の人たち。タレントさんなどのメインキャラクターがいて、その周りで斬られる、絡みの人たちが、今一般的に言われる殺陣のプロの人たちなんですよ。

川本:ああ、なるほど。

島口:だけどそれって、一方的ですよね。本来は、殺陣でコミュニケーションを取ってるわけで、普通、コミュニケーションってそんなに一方通行じゃないじゃないですか、

川本:ほうほう。

島口:殺陣も、要はコミュニケーションなんですよ。それができてない。

川本:なるほど。

島口:それに、演劇だったらその世界を構築する人として、作家や演出家がいて、演じる人として俳優がいる。でも、殺陣の世界は、構築する人としての振付師がいるけど、演じる人は斬られ役、死ぬほうのプロの人しかいない。決して殺陣そのもののプロではないんです。そういうカテゴライズがずっと、続いてるんですよ。

川本:興味深いお話ですね。

島口:さらに言うなら、この業界には、一般的には、殺陣が上手いと言われてる人は、いっぱいいますよ。でも本当の意味で、

僕が上手いと思った人には、ほとんど会ったことない

ですね。

川本:そうなんですか?!

島口:絶対負けないと思うし。斬るも斬られるも知っている人はなかなかいないから。受けだけをもの凄くやって、プロだと思っている人が、ほとんどなんですよ。

川本:なるほど。

島口:もちろん両方やれる人もいますよ。だけど、危ないことをやればリアルだと思ってるプロも多い。

川本:うん。

島口:でも、毎回危ない目にあうわけにはいかないじゃないですか。

そこには技術があるべき

なんです。さっき脆弱って言ったのは、歌舞伎や能、狂言みたいなものにはちゃんとした型とか技術があるけど、殺陣にはない。結局、身体の動く人が、なんとなく出来ているように見えるけど、結果、危なかったりする。それが地位のある人だったりしたら、もう、無条件に褒められちゃうから、いいか悪いか気付かないんですよ、本人も。

川本:なるほどねー。

島口:型や技術がないから、それが芸となって次の現場に生きるのかと言ったら、残念ながら生きないんですよ。

川本:OKラインが見えないってやつですね。

島口:それから、アクションの人で多いのは、「アクションやるから、身体動きます」って、それで殺陣もやっちゃう。じゃあ、80歳になってバク転できるかっていったら、できないでしょ。

川本:できないできない(笑)。

島口:たとえできたとしても、それが日本のサムライかっていったら、違うでしょ。

サムライの究極は、抜かないこと

なんで。でもまぁ、抜かないと僕らも商売にならないですけど。

川本:え、究極は抜かないこと?

島口:結局、勝てないと思わせちゃうくらいのオーラがあれば、闘いにもなんないんですよね。剣を抜かないから。

川本:すごいですねぇ。

島口:刀を、ただ差してるのがサムライじゃないんです。戦士がサムライじゃない。サムライは教養人で、文化人なわけですよ。だって、当時、一番いい教育を受けてるんですよ。

川本:ああ、確かにそうだ。

島口:農民なんかは字も書けない時代なわけですよ。サムライはそんな時代に高等教育を受けた人々なんです。だから海外の人が来るとよく言うんですけど、サムライは剣で闘うけれど、戦士じゃないんだと。

川本:そうかぁ、戦士じゃないんだ。海外の人がっていうのがなんだか不思議ですけど。

島口:要は、

戦士じゃなくて武士

なんです。武士道という道がある。だって、よく考えてみれば、サムライって、実は、そんなに人を斬ってないんですよ。

川本:え?そうなんですか?

島口:たしかに江戸時代の最初と最後あたりはガンガン斬り合ってますよ。でも、それ以外の江戸幕府の約200年ほどの間は平和な世の中だったわけですよ。その200年の間、ほとんどのリアルサムライは人を斬らないで過ごしていたんですよ。

川本:ああ、なるほど、そうですね。これは面白いですね。僕ら実は日本人なのにサムライのこと、よく知らないなぁ。

島口:ということ言えば、今の時代も心の持ちようでサムライと同じなんです。

川本:うんうんうん。

島口:赤穂浪士とかもそうですけど、かたき討ちでお家断絶になったり、江戸時代にだって、人を斬るには覚悟がある。結局、殺人ですから。

川本:そうか!

島口:現代と同じなんですよ。それじゃあ、人を斬るのがいけないなら、

何故、剣を極めるのかっていったら、道だから

なわけですよね。

川本:そうかそうか。

島口:それぐらい、剣の世界って深いものなのに、アクションの振りだと思ってる人が大勢いるんですよね。やる側も、キャスティングする側も。

川本:ああ。

島口:もちろん、アクションとしてもやりますよ、『キル・ビル』でやった様に。布袋さんのギターの曲に合わせてやったり、生でもやります。美しくもみせる。つまり、僕らは、剣を通じて、喜怒哀楽を表現したり、いろんな見せ方ができなきゃいけないと思ってますから。

川本:なるほどなるほど。

島口:結局話はもどるけど、

コミュニケーションを取るツールが、僕にとっては剣

というだけなんです。剣を持ったからこそ、いろんな人と出会うことが出来たし、強くいられるし。

川本:うん。

島口:要は、喧嘩も絶対負けないし、ある意味では、美しく魅せるってこともパフォーミングアーツとマーシャルアーツをミックスしたものだと思っているし。

川本:なるほどなるほど。

島口:たとえば、香港のアクションって、見ていてすごくいいじゃないですか。

川本:はい。大好きです。

島口:あれはなぜ良いかと言ったら、彼らが本物だからなんですよ。ジェット・リーだって本当の少林寺のチャンピオンで、武術を知っていながら香港アクションをやっている。

川本:そして魅せる。

島口:そうなんです。でも日本で売れている時代劇の人たちって言うのは、ナントカ流の師範ですっていう人はいないじゃないですか。

川本:うんうん。

島口:そういう類の人は、殺陣師としてほとんど世に出てこないんです。

川本:そうなんだ。

島口:僕は、新陰流という剣術をやらせていただいていて、いろんないい出会いがあった。それに加えて、プロとしての初舞台が歌舞伎だった。それで両方を知って、剣という世界は、歌舞伎とか日本舞踊みたいなパフォーミングアーツを

ミックスしていかないと、通用しない

なって思ったんです。

川本:うん。

島口:それで、自分なりの道として、剣伎道という道を見出した。それで、剣伎衆かむゐというチームを、今やってるんです。

川本:ほうほうほう。

島口:剣伎の伎は歌舞伎の伎と同じで、芝居すると言う意味。歌舞伎は歌、舞、芝居、ですよね。僕ら剣伎衆は、剣の伎、つまり、剣の芝居、剣のプレイなんです。

(第3週へ続く)


ゲスト・プロフィール 島口哲朗(しまぐちてつろう)  
日本大学芸術学部映画学科出身。歌舞伎などの舞台で経験を積んだ後、1998年「剱伎衆かむゐ」を創設、主宰を務める。自らの俳優活動(舞台・映画・イベント)の他、2003年「KILL BILL vol1」に出演・振付、地球ゴージャス「クラウディア」や「星の大地に降る涙」公演の振付を担当し、殺陣師としても活躍。日本舞踊七々扇流名取。最近はアメリカやヨーロッパなどの海外のメディアに特集されることも多い。日本文化を発信する【SAMURAI SWORD ARTIST】である。

ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ「絶滅寸前男子」へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』(2012年4月~)他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。 


★お知らせ★その1
「剱伎衆かむゐ」の今後の予定です。
10月2日(火)~28日(日)明治座創業140周年記念
梅沢富美男・中村玉緒特別公演 出演・演舞、殺陣振付
10月27日(土) 日本流伝心祭「クサビ-楔-」於:渋谷公会堂 出演(島口)
11月中旬~12月上旬 かむゐヨーロッパツアー2012公演&サムライ道場(イギリス・スペイン・ポーランド・イタリア)
詳細は、剣伎衆かむゐHP http://www.k-kamui.com/・島口哲朗HP http://www.kamui-tetsuro.com


★お知らせ★その2
川本成さん主宰「時速246億」次回公演のお知らせです!
「時速246億vol.06『リボン』」
日程:東京2012年10月23日(火)~28日(日)
   名古屋2012年11月3日(土)・4日(日)
劇場:東京 赤坂RED/THEATER
   名古屋 テレピアホール
総合演出・作とか:御笠ノ忠次
作とか:川尻恵太(SUGARBOY)・川本成・喜安浩平(ナイロン100℃・ブルドッキングヘッドロック)・小林顕作(宇宙㋹コード・コンドルズ)※50音順(全員か行だけど)
出演:増田裕生・寺崎裕香・中村龍介・渡部紘士・飯野雅彦・津田英佑/川本成
料金:前売¥4,500 当日¥4,700<全席指定・税込>
チケット:e+・ローソンチケット・カンフェティにて9/17(月・祝)10:00~発売
http://www.jisoku246.com/

★お知らせ★その3
川本成参加CDのお知らせです!
「エンリコ・イリソギ/WAO!AMUSEMENT PARK 第4弾バンドやろうぜ!編」
品番:VCCA-2004
価格:¥2,100
http://vocez-record.com/enricoirisogi/

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