連載
第1回ゲスト『小林顕作のオレ哲学』第2週
タレントでありながら舞台・役者・声優・ミュージシャン・プロデューサーとしてマルチに活躍の川本成(あさりど)さんがホストとなって、エンタメ業界のみなさまに聞く、「オレの哲学とは?」。
「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)は、第1週に引き続き、ゲストは小林顕作さんです。先週の哲学は、お芝居に対するスタンスから語られましたが、今週はプライベートでの哲学を披露してくれた小林さん。さて、どんなこだわりが登場しますか!?!(写真/下坂敦俊、構成・文/中村恵美)
COLUMN 2011 12/30 UPDATE
川本:第1週は、顕作さんのお芝居での哲学をききましたけど、なにかプライベートでの哲学はあります? たとえば、酒を飲む時は絶対にビールだ、とか、たまごがけごはんには絶対これだ、みたいなこととか。
小林:何だろう。…あれ、ないなぁ。
川本:別にないですか?
小林:逆に、
「こだわらないこと」が哲学かもしれないですね。
コロコロ変わっちゃう。
川本:なるほど。
小林:たとえば、酒飲むときも、「この人と一緒の時はキリンビールがいいだろう」と思ったら、とことんビールになるし、家で飲んでる時は、日本酒いって、ワインいって、と日によってバラバラだったり。おとといは、ずっと「発泡酒がうまい!」と(笑)。
川本:(笑)飲みますね~。僕もよく飲むけど、なぜ酒を飲むんですか?
小林:何だろうねぇ、でも、単純に美味しいんだよねぇ。
川本:グラス、持つでしょ、それを、口に持ってくるじゃないですか。すると、手首のへんが曲がるでしょ。俺、最近、この作業に飽きちゃって。ルーティン作業だし。何で酒を飲んでんだろうって思うんですよ。
小林:わわわわぁ!
川本:酒の味っておいしいかっつったら、そうでもない。ビールとか苦いしね。
小林:うん。それが、たまんないけど。
川本:そう。たまんなくなってくるでしょ。それで、何でなんだろうっと。
小林:それは、人間の文化。嗜好だよ。
川本:タバコ吸いましたっけ?
小林:吸うよ。
川本:俺は吸わない。酒は飲むけどタバコは吸わない。
小林:ほう。それは何だろうねえ。
川本:これは、またわからない。酒とタバコはちがうのか?
小林:うーん。それはタバコのとらえ方があってさ、「依存するもの」と「文化として嗜好するもの」。
川本:なるほどね。
小林:僕は確実に文化として嗜好する人間であるから、必ず、
タバコ一本一本に、意識がありますよ。
これ哲学ですよ。
川本:キターーーー。意識がある! 詳しく聞きたいな。
小林:ただイライラするから、はあーって吸って誤魔化すんじゃなくて、ワインを嗜む人と一緒。そこに含まれている葉の成分を味わって、どのくらい自分が煙を肺の中に入れるか、そしていかに煙をくゆらせて出すかという、文化的行為を意識して、タバコと対話をしているんです。
川本:対話してんですか?
小林:はい。5回に一度はやります(笑)。
川本:(笑)。2割ですよ、5回に1回。そんなに? ほんとに?
小林:うん。あくまで文化として僕はタバコを吸ってる。だから絶対無くしちゃいけないと思う。
川本:酒も煙草も、共有感があるでしょ。俺は最近舞台やると絶対飲みにいく。毎日。そういうはちょっといいですね。
小林:何だろうね。演劇人は特にだねぇ。
川本:顕作さんって、自分のカテゴリー、「演劇人」だって思ってるんですか? 僕は「小林顕作」だと思ってる(笑)。
小林:演劇人だって思いたいの。でも、どっぷり入れないんすよね。凄い座組みに入ってもすぐになじめちゃうタイプなんだけど、どこか、別の自分がいて。
川本:うんうんうん。
小林:第3の目をものすごく感じて、没頭できない、絶対に。
川本:どこか醒めてる部分、不感の自分がいるって言うんでしょ。
小林:常にいる。だから「僕、演劇人なんですよぇ、だってこんなにやってんだもん」と思ってる自分がいる。だけどその実、全然そう思えてない自分がいる。
川本:わかるなあ。
小林:それは、なる君も、結構同じなんじゃないかな。
川本:顕作さんは気ぃ遣いだしね。
小林:どうなんだろうねぇ
川本:俺もそうなんですよ。要は、どこかで酷い自分っているでしょ。酷いって言い方おかしいけど。
小林:みんなでウワーって熱くなる瞬間に、サーってもう冷めてて。
川本:うんうんうん、人と、逆に。
小林:もう、全然逆になっちゃう。
川本:それが計算だって見る人いるでしょう?
小林:ああ。
川本:それが計算じゃない。
小林:そう。
川本:でしょう。本能なのか、無意識に、生物的に。人はそれを、ちょっと気ぃ遣いすぎって言う。でもそういう意識があんまりない。
小林:でも、
アフリカの大自然には、僕みたいなタイプって、必ず一つある種族だと思うんですよ(笑)
川本:(笑)。
小林:ゾウとかライオンの中に、これ動物?っていうかさ。飛べないフクロウみたいな(笑)。
川本:(笑)。フクロウが超集まってるのに、3メートルぐらい離れたところで木の陰でずっと見てるってやつでしょ。
小林:そうそうそう。
川本:非常にわかるなぁ。
小林:珍種というか。
川本:そうなると周りの人が「気ぃ遣ってるでしょ」とか言う。陶酔できる人ほどそう言う。
小林:ああ、そうね。
川本:うらやましいんですよね。そこまでよく入り込めるなって、思っちゃう。
小林:たまに入り込みたいって思っても、ものすごい間を外して入っていっちゃうの(笑)。やっぱり皆と一緒に陶酔できてないんだろうね。でも、お芝居でからむのは全然大丈夫で、一緒に入り込んでできる。何だろうねぇ。
川本:気おくれしちゃうのかな。
小林:お芝居だとできる。お芝居してる時の方が緊張しないですもん。
(第3週に続く)
ゲスト・プロフィール 小林顕作(こばやし・けんさく)
1996年、ジャンルにこだわらず、舞台を形成していく演劇ユニット『宇宙レコード』(※レは丸囲みが正式)を、西村たけお・中村たかしとともに結成。同年、男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開するダンスカンパニー、コンドルズに立ち上げから参加。作品中のコント脚本を担当。客演も多数。現在、NHK教育『みいつけた!』(月~金曜日 午前 7:40~7:55、日曜版:午前7:25~7:55)オフロスキー役でレギュラー出演中。2012年2月にはコンドルズのイスラエル公演が決定している。
ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。
★お知らせ★
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